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ねぇ君。俺の恋人にならない?

額から血を流し打たれた肩を抑えながら少々息を荒らげた様子の男は言う。

綺麗な色をした桃色の髪も血がこびり付いていて最早綺麗とは言えない。

命乞いですか

こんな話の逸らされ方は初めてだったけれど

もう勝ち目のないと理解した人間は皆殺されまいと話を逸らす。

どうせこいつも。

命乞いかぁ。

目の前の男は笑った。

...なにか。おかしなことを言いましたか。

男はまだ立っている。相当辛いだろうに。 何故まだ足掻く。

いや。ただそう思われても仕方がないなって思っただけだよ

呼吸が薄い。 これ以上足掻いたところで死ぬのは決まっているのに。

それじゃあ..

けどこれは命乞いなんかじゃないんだ。

これは本心からの告白だよ

肩を抑えていた手が動かされる。

その手が俺の頬へと触れそのまま唇にキスをひとつ落とされた。

直後男の意識は途絶えた。

何を考えたのか過去の自分に問いたい。

何故俺は今見知らぬ男を自室で看病しているのだろうか。

しかも自身で痛めつけ殺しかけた男を。

俺はあの日目の前で気絶をした男を自室へと連れ帰り看病をしている。

出血も多く瀕死の状態だった。

あのまま放置していれば確実に男は死んだのに。

1週間は寝たきりのままだ。

...けれどあれだけやっても死なないなんて。

急所を全て交わされただけでなく攻撃の一つ一つが重たく早かった。相当強い。

こいつは共に居た人達に守られるような形で戦っていたし

もしかすると相当な役職に着いているのかもしれない。

だとしたらここに連れてきたのが上にバレれば相当面倒なことになるのは目に見えている。

俺らしくない。

面倒なことは嫌いだ。

目が覚め次第さっさと返してしまおう。

ため息をひとつ付いた。

ん...あれ、、

男の目が開かれる。

目が覚めましたか

反射的に声がでた。

あれ?君あの時の...なにわざわざ助けてくれたの

ヘラヘラと笑っている。

俺の苦手なタイプだ。

なにか問題でもありますか

男はニヤリと笑う。あの時同様手がこちらへと伸びてくる。

いーや。俺に問題はないけど...君にはあるんじゃない?

突然攻め入って来た敵対してるマフィアの幹部を部屋に匿うなんて

その手が俺の頬を撫でる。

ずっと死んだ目をしている

やっぱり君俺と付き合わない?♡

意味がわかりません

なんて言うんだっけ?こういうの

しりません。

突如ドアをノックする音が部屋に響いた。

おい誰かいるのか

幹部の声だ。

こいつが居ることがバレたらまずい。

音をなるべく殺して男の腕を掴み共に衣装ケースへと隠れた。

扉の開く音がした。

気配を隠し息を潜める。

数十秒後扉が締まり足音が遠のいて行った。

部屋に人の気配はもうない。

何とかバレずにすんだようだ。

ねぇ君さ。

なんですか

告白してきた男とこんな狭い空間に閉じこもるってもしかして馬鹿?

しょうがないでしょう。ここしか隠れられる場所なかったんですから

何を言い出すかと思えばそんなこと。

面倒事は嫌いなんだ。

やっぱり俺君のこと欲しくなっちゃった

俺の入ってる組に入らない?

....無理です

こいつをさっさと返さなければ。

戯言に付き合っている暇はない。

男を押し出し自身も衣装ケースから出た。

なに。弱みでも握られてるの?

それともボスに忠誠誓っちゃってる系ー?

...違います

ふーん。じゃあ質問を変える。この組の殺人ロボットくんって君のことだよね?

今まで何人殺してきた..?

一瞬時が止まったような心地がした。

無言は肯定と受け取るけど

....俺は....ロボットじゃありません、

否定するのはそこなんだね。

...力づくで持ち帰りたいとこだけど勝てないことはもうわかってるからね

仕方ないからここのアジトぶっ壊すことにしたわ

......は?

突如響く爆発音。

漂う火薬の匂いと銃声の音。そして見知った人間の悲鳴。知らない人間の匂い。足音。

...何時。仲間に指示を出した

ひみつ

...アジトが潰れるのも時間の問題だよ。何せ君がいないんじゃこの組は雑魚ばかりみたいだからね。

助けに行かなくていいの?このままだと仲間全員死んじゃうけど

わかっている。そんなこと。

けれど。

俺は…

いいの?行かなくて。それとも俺の話し相手でもしてくれんの?

ちがっ

話し相手などするつもりは毛頭ない。

.....やっぱり君は動けないんだね。命令じゃないと人を殺せない

その首輪は君を制御するための物だろ

男の手が俺の首輪に触れた。

けど何故だろう。あの日君は上に命令された筈だ。侵入者を全員殺せと。

...君は何故俺を殺さなかった

双眸がこちらを見ている。

目を逸らせないのはいつもの癖か。 それとも...

再び口付けをされた。

角度を変えながら長い間。

こういうのは苦手だ。

抵抗の仕方が分からない。

必死になって男の胸板を押すが一向に離れてはくれない。

その時かちゃりと鍵の外れる音がした。

ごとんと音を立てて俺の首に巻ついていたそれが落ちていく。それと同時に唇が離れていった。

俺はむせるように咳を吐き出した。

なに、して、、、

キスだよキス♡

そっちのことじゃ...

あー首輪の方?それは俺の優しさだよ可哀想だから外してあげた

....首輪ははずれた。これで君は命令に従う謂れはない

いや、命令なんかされなくても君は今仲間を助けにいける。

助けに行くべきじゃないか?仲間を

....足が重たい。

どうして俺は今足を動かすことが出来ない?

そんなことはなから頭が否定している。

俺はボスの許可なしに人を殺してはいけない。

たとえ首輪がなかったとしても。

それは...ボスの命令では無いので

首輪なんか関係ない。

ま、そう答えるだろうと思ったよ。

だから君は俺の仲間になる。これは抗いようのない運命だ

再度響く爆発音に自らの立っている床が崩れる。

身体が宙に浮く感覚。

俺の居た側が崩れて、そして俺だけ落ちていく。

男が遠のいてく。

ここは10階。

落ちれば流石に死ぬ。

咄嗟に差し出した手を目の前の男が愉快とでも言いたげな顔で掴んでいた。

チャットノベル挑戦です(՞ ܸ. .ܸ՞)︎ ずっと書いてみたかったマフィアパロ 今回はメンバー全員出てくるかも...? 桃赤メインの赤愛されの予定です..!

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1,817

コメント

3

ユーザー

すきーーー!!!

ユーザー

もう好きです楽しみです…🥹🫶🏻 ブクマ失礼します!!

ユーザー

1話からすでに最高すぎます🥹 神展開の予感✨続き楽しみです!

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