桃
額から血を流し打たれた肩を抑えながら少々息を荒らげた様子の男は言う。
綺麗な色をした桃色の髪も血がこびり付いていて最早綺麗とは言えない。
赤
こんな話の逸らされ方は初めてだったけれど
もう勝ち目のないと理解した人間は皆殺されまいと話を逸らす。
どうせこいつも。
桃
目の前の男は笑った。
赤
男はまだ立っている。相当辛いだろうに。 何故まだ足掻く。
桃
呼吸が薄い。 これ以上足掻いたところで死ぬのは決まっているのに。
赤
桃
桃
肩を抑えていた手が動かされる。
その手が俺の頬へと触れそのまま唇にキスをひとつ落とされた。
直後男の意識は途絶えた。
何を考えたのか過去の自分に問いたい。
何故俺は今見知らぬ男を自室で看病しているのだろうか。
しかも自身で痛めつけ殺しかけた男を。
俺はあの日目の前で気絶をした男を自室へと連れ帰り看病をしている。
出血も多く瀕死の状態だった。
あのまま放置していれば確実に男は死んだのに。
1週間は寝たきりのままだ。
...けれどあれだけやっても死なないなんて。
急所を全て交わされただけでなく攻撃の一つ一つが重たく早かった。相当強い。
こいつは共に居た人達に守られるような形で戦っていたし
もしかすると相当な役職に着いているのかもしれない。
だとしたらここに連れてきたのが上にバレれば相当面倒なことになるのは目に見えている。
俺らしくない。
面倒なことは嫌いだ。
目が覚め次第さっさと返してしまおう。
ため息をひとつ付いた。
桃
男の目が開かれる。
赤
反射的に声がでた。
桃
ヘラヘラと笑っている。
俺の苦手なタイプだ。
赤
男はニヤリと笑う。あの時同様手がこちらへと伸びてくる。
桃
桃
その手が俺の頬を撫でる。
桃
桃
赤
桃
赤
突如ドアをノックする音が部屋に響いた。
ー
幹部の声だ。
こいつが居ることがバレたらまずい。
音をなるべく殺して男の腕を掴み共に衣装ケースへと隠れた。
扉の開く音がした。
気配を隠し息を潜める。
数十秒後扉が締まり足音が遠のいて行った。
部屋に人の気配はもうない。
何とかバレずにすんだようだ。
桃
赤
桃
赤
何を言い出すかと思えばそんなこと。
面倒事は嫌いなんだ。
桃
桃
赤
こいつをさっさと返さなければ。
戯言に付き合っている暇はない。
男を押し出し自身も衣装ケースから出た。
桃
桃
赤
桃
桃
一瞬時が止まったような心地がした。
桃
赤
桃
桃
桃
赤
突如響く爆発音。
漂う火薬の匂いと銃声の音。そして見知った人間の悲鳴。知らない人間の匂い。足音。
赤
桃
桃
桃
わかっている。そんなこと。
けれど。
俺は…
桃
赤
話し相手などするつもりは毛頭ない。
桃
桃
男の手が俺の首輪に触れた。
桃
桃
双眸がこちらを見ている。
目を逸らせないのはいつもの癖か。 それとも...
再び口付けをされた。
角度を変えながら長い間。
こういうのは苦手だ。
抵抗の仕方が分からない。
必死になって男の胸板を押すが一向に離れてはくれない。
その時かちゃりと鍵の外れる音がした。
ごとんと音を立てて俺の首に巻ついていたそれが落ちていく。それと同時に唇が離れていった。
俺はむせるように咳を吐き出した。
赤
桃
赤
桃
桃
桃
桃
....足が重たい。
どうして俺は今足を動かすことが出来ない?
そんなことはなから頭が否定している。
俺はボスの許可なしに人を殺してはいけない。
たとえ首輪がなかったとしても。
赤
首輪なんか関係ない。
桃
桃
再度響く爆発音に自らの立っている床が崩れる。
身体が宙に浮く感覚。
俺の居た側が崩れて、そして俺だけ落ちていく。
男が遠のいてく。
ここは10階。
落ちれば流石に死ぬ。
咄嗟に差し出した手を目の前の男が愉快とでも言いたげな顔で掴んでいた。
チャットノベル挑戦です(՞ ܸ. .ܸ՞)︎ ずっと書いてみたかったマフィアパロ 今回はメンバー全員出てくるかも...? 桃赤メインの赤愛されの予定です..!
コメント
3件
すきーーー!!!
もう好きです楽しみです…🥹🫶🏻 ブクマ失礼します!!
1話からすでに最高すぎます🥹 神展開の予感✨続き楽しみです!