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ホソク
体温が忙しいが状態が状態なだけに仕方がない。
目を開けるのとほぼ同時に布団から飛び出して、数時間前に着た真冬の部屋着を脱ぎ捨てた。 勿論靴下も。
それからそのままの格好でベッドサイドのスポーツを一気に半分以上飲んで、熱を測る。 デジタルの体温計を脇の下から取り出せば37.9。
汗でベタベタの身体。 微熱程度まで下がったのなら善は急げで、脱ぎ捨てた部屋着を片手に洗面所に向かった。
軽くシャワーを浴びてスッキリした矢先。 まるで見計らったようなタイミングで鳴ったインターホン。
まだ少し身体は重いが対応出来なくはない。 だからリビングに向かってインターホンを確認する。
ジミン
画面に映っているジミンの第一声は可愛く小聡明いやつだった。 開けない選択肢はないのに。
ジミンが2回目のインターホンを鳴らす前に足音を聞いて先にドアを開けるなんて、だいぶ怖い事かもしれない。 でもジミンに会いたいなんて恋する乙女な事を考えて眠りについたから動かずにはいられなかった。
ジミン
ジミン
まだ靴も脱いでないのに、俺の顔を見て真っ先にジミンが言った。
ホソク
ジミン
多量に汗をかいて寝て、身体が治そうと努力していたから疲れて見えたのも無理ない。
ホソク
ホソク
ホソク
ジミンの眉毛が少し下がって
ジミン
ジミン
靴を脱いでまだ一歩しか足を踏み入れてないのに、俺の額の首に手を当てて確認するジミン。 僅かでも心配してくれるその素振りに簡単に絆される。
ジミンの目が俺の安否を確認するように揺れているのも堪らなくて
ホソク
ジミン
こうやってジミンを見ていると 風邪も熱もどうでもよくなる。
もしかしたらまた熱が上がる可能性もあるけれど、ジミンのせいならそれも醍醐味かな、なんて思ってしまう程。
1人分だけのコーヒーを入れてソファに座るジミンの前に静かに置く。 身体を傾けた瞬間にふわっと浮くような眩暈がして、そのまま'あっ'なんて言いながらソファに倒れ込む。
それを支えたジミンも変な形で倒れ込んだ。 俺の上に。
重いとかそんなのは思わなかった。 ただソファがあって良かったって、フローリングに頭から倒れるなんて大惨事を避けられて良かったって。
ジミン
ぼーっと天井を見上げたまま安心してる俺とは違って、ジミンが慌てて言った
ホソク
慌ててるジミンを初めて見る気がして嬉しいやらおかしいやら自然と笑いが込み上げた。 しかも大丈夫なんて聞いといて、まだ俺の上から退こうとしないジミンの近さに胸を高鳴らせたりもしていて。
ジミンの頬に手を添えてみれば、愛しい体温が伝わってまた熱が上がる。
ジミン
ジミンの婉美な目が俺を見てると思うとそれだけで高揚する。
ホソク
ジミン
ホソク
イエスもノーも言わないかわりに、ただジミンのキスが降って来た。
ホソク
両腕で身体を支えていたのに、もうそんなの諦めてまた俺の上に覆い被さって その両手はもう俺の服の中に潜り込もうとしている。
まだ少しふわふわと眩暈がする中での激しさを増すキスの酸欠は俺の感覚を鈍らせた。 ここが何処で、今何時なのか。
ジミン
一瞬の隙もなく行われる愛撫の最中、今の俺の頭では答えられない質問をジミンが口にした。
ジミン
生温い吐息と声を漏らすだけの俺にジミンの手がまた良い所に圧を掛ける。
ホソク
ジミン
溶けそうな視界に映るジミンのその目が卑猥で、その唇が妖艶で、言葉が意地悪で極上で。 吐息が愛しくて。
"ジミンしかいない"と言うかわりに、抱き付いてキスを強請る。
ジミン
ホソク
早くジミンで埋めて。 だってもうとっくに熱なんか上がってる。
この目まぐるしくて情熱的な時間がいつ終わるかなんて、俺には到底考えられなかった。
悪い事をしてるつもりはない。 ただ嘘はついてるけど。 それがいつ白日の元に晒されるかは時間の問題だった、ただそれだけだったんだ。
ガチャンと音がした時には既に手遅れだった。
グク
いやむしろ様子から察してもう少し前から、ドアの向こうにいたのかもしれない。 真相を確かめるまでもなく、ただ酷く冷静なジョングクがそこにいた。
もう今はそれだけ分かれば充分過ぎて、俺もジミンも"ストップ"と言われた通りに身体を離す。 もし何かしら幸いだと言えるなら、まだ挿入前だったという事だけ。 寸前ではあったけど。 そして少し乱れた着衣を直して思った。
バレた。
俺の横でジミンが細く長く息を吐いた。 それが溜息なのか、ただ単に意図せずしたものなのかは分からない。
俺の目はソファに座る自分の手を見てるだけだったから。
誰も何も言わない空間でジョングクだけがキッチンの中を行ったり来たりしていて、その後で遂にこっちに。 そしてソファにゆっくり腰を下ろして。
ジミン、俺、ジョングクという並びに。 地獄絵図に益々顔が上げられない。
グク
口火を切ったのは、ジョングクだ。
グク
ぐうの音も出ない言葉が静かに響いた。
ジミン
ジミン
そう言ったジミンのその声も落ち着いている。 俺だけが双方の顔を見られず、依然として黙ったまま。
グク
その言葉でやっと顔を上げる事になった。
ジョングクと目が合った。 いつから見てたんだろう。 ジョングクの目が俺から逸れない。
グク
また。 呆れた様に小さく笑って、それと同じくらい小さくジミンがまた頷いた。
何をどう言っても今目の前の現実は変わらない。 でもこのまま何も言わないのは卑怯で狡くて、そこまで最低な自分にはなりたくなくて。
ホソク
何に対してなのかは分からない。 全部か、どれかか。 ジョングクの目を見てたら無意識のうちにそう呟いていた。