ジミンは俺の頭を軽く撫でて帰って行った。 玄関まで見送りは出来なかったから、それを受けたのはリビングのドアの前だった。
2人が玄関で何か話してる声に耳を傾けて聞いてみたけれど、内容までは分からなかった。 でも声のトーンが落ち着いていたのだけでも分かったから、胸を撫で下ろした
"俺のせいで" などと烏滸がましい事は思わないが、2人がこんな馬鹿馬鹿しい事で仲違いするのは避けたいから。
俺がそんな事言えた義理でもないのに。 この状況の原因は俺なのに。
数時間前まで熱が出ていたとは思えないくらい、頭が冴えている。 現実をしっかり体感している。 ジミンが飲み切らなかったコーヒーが残ったマグカップを見つめてソファに浅く腰掛けている俺の耳に、リビングのドアが閉まる音がして
グク
ジョングクが戻って来た。
ホソク
額に手を当てて答えた。 そんな事したって熱いかどうかなんて分からないのに。
というより熱とか風邪とか、考えてる余裕がない。
直ぐにこっちに戻って来ないジョングクはコーヒーを淹れにキッチンに向かった。 そして俺は額に当てた手をぬるぬると下ろす。
グク
冴えた頭でも思い浮かばない言葉を頻りに考え出そうとしていたが、マグカップ片手にソファに再度腰を下ろしたジョングクが名前を呼んで無駄に終わった
グク
一貫して平然としているジョングクのそれに騒つかずにはいられなかった。 'いつから…'と意図せず零れ落ちた一言にも気付かないくらい。
そしたらジョングクがコーヒーを一口飲んだ後クスッと微かに笑って
グク
グク
その言葉で一気に今までの数回分の記憶が頭の中に押し寄せる。
いつから気付いてたからか。
ホソク
グク
グク
俺の言葉を遮ってジミンと同じ言葉を口にしたジョングクがテーブルに静かにマグカップを置いた。
平然としていて落ち着いていて穏やかだったジョングクの目の色が変わった。
グク
何も考える隙なんか無かった。 構えたり覚悟をする隙も。 "痛い"なんて言うなんて事も。
ジョングクが俺の腕を痛いくらいの力で掴んで引っ張ってリビングを出て、ジョングクのベッドに半ば放り投げられる様に寝そべるまで、あっという間で。
ジョングクがそんな俺の肩を押し倒して、上に跨っている今の状況になるのもあっという間だった。
グク
ジョングクの体重が腰にのしかかっていて抜け出す事は不可能だ。 そんな状態で俺を見下ろすジョングクが訳の分からない事を言う。
ホソク
グク
じゃあ覚えてる訳ないじゃん、いつもならそう突っかかっているのだろうが今はその"いつも"とは違う。 ジョングクが着ていたスウェットもその下のTシャツも一気に脱いで、見事に鍛え上げられた上半身が露わになる。
見慣れているはずなのに、今日はその身体にくらくらと眩暈がしそうになった 風邪のそれじゃない。
グク
そんなの、分かるわけない。 寝てる俺に言うなんて。 いつの事だかも記憶に残ってないのに、俺だけ。
ジョングクの利き手が俺の両手首を簡単に押さえつけてしまって、その力の強さにまた圧倒される。 完全に男だ、と。
どういう理由で心臓がバクバクと馬鹿みたいな大きさなのか探る事は困難で。
グク
ジョングクは見た事ない表情で、見た事ない呼吸の荒さで。
グク
ぐっとジョングクが押し付けたそれ。 今まで何度一緒に寝てもどれだけ一緒にいても、見た事も感じた事もなかったそれ。
それから俺の顔にグッと近寄って僅かに口角を上げたジョングク。
グク
目の奥を妖しく光らせた後、俺の首に噛み付いた。 痛みなのかよろこびなのか怯えなのか。 何にせよ望んでない状況なのにも関わらず、上擦った声は直ぐに出た。
ホソク
だからジョングクの手が一気にTシャツの中に滑り込んで来て
グク
笑いながらそう言われて震えた。 想像も出来なかった事だ、でも"100%"なんかこの世の中に存在しなかったんだ。 あの時の俺が今の俺をどう思うだろう。
ジミンの手とは違う。 容赦なくて自分勝手で、なのに気持ち良くて声が出る。 本当に"やらしい"自分。
頭上で拘束された両手はもう痺れて痛い。 いつの間にかジョングクの手じゃなくて、ジョングクのベルトがそうしてるから余計に。 それに対してもこの行為に関しても"やめて"と言えない。
もう何ヶ所噛まれたか分からない。 ジョングクの歯形で俺の身体は埋め尽くされてるんじゃないかと思う程。
確認できるところだけで言えば両二の腕だけだが、今さっき内太腿も噛まれたばかりだ。
グク
肩で息をするジョングク。 俺の名前を呼ぶその声にも吐息が混じっている。
グク
グク
散々噛むだけ噛んだ後のジョングクの声は満足そうで愉快そうで。 虚な目に映るそのジョングクに武者震いした。
俺の鎖骨辺りに舌を滑らせたジョングクの髪から汗が滴って頬に落ちた。 その後でわざと顔を覗き込んだジョングク。
グク
愉しそうなジョングクと唇が重なった。 それと同時に背筋にびりびりと。 ジョングクが俺の身体に入ってくる。
ホソク
口の端から悲鳴にも似た声が漏れるけれど、ジョングクの容赦ない舌は引っ込みそうにない。 むしろジョングクの動きは激しく荒荒しくなるばかり。
ホソク
グク
ホソク
グク
グク
嘲笑ったジョングクがそう言って、俺の世界を反転させた。
グク
腰だけを引き上げてまた一気に挿入されて。 ジョングクの言葉通り、だらしない卑猥な声が響いた。
ホソク
しがみ付く枕からジョングクの匂いがして安心しそうなのに、猛烈な快楽が次から次へと押し寄せてきてそうさせてくれない。
俺の身体がその波に耐えかねて痙攣すると
ホソク
グク
背後からジョングクの静かな声がそう言ってまた身体が視界が揺れる。
腰が折れそうで、身体が割れそうで、頭が沸騰しそう。 そんな中、背後からジョングクの切なそうな声の合間に確実に聞こえたのは
グク
こんな俺には甘過ぎて身に余る言葉だった。
コメント
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いつも語彙力凄くて感動してます…🙇🏻♀️ 主様のペースで頑張ってください💪🏻❤️🔥
次回も楽しみです✨