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1 - こと様の作品『俺を見て』第11話〜わっふる雨ver.〜

♥

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2024年09月25日

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わっふる雨

えー、ご無沙汰しておりますわっふる雨です

わっふる雨

今回はですね、別枠の【crnvBLなど集】にて、こと様からいただいたリクエストにお応えし、こと様ご本人による作品『俺を見て』第11話の《何かを忘れている?》わっふる雨ver.を書かせていただきます!

わっふる雨

とはいえ、元作品の方をお読みいただかないとなんのこっちゃわからないです

わっふる雨

とても読み応えのある作品でしたので、ぜひ元作品の方ご覧になられてください!

わっふる雨

https://teller.jp/se/4b4nf1bfumfv-8274390362

わっふる雨

↑こちらが元作品のリンクです。
問題等ございましたらお申し付けくださいませ……

わっふる雨

ってなわけで、とりあえず諸注意です

*諸注意* この短編集はnmmnというジャンルに属しています。 ご本人様や現実の出来事には一切関係しておりませんので、悪しからず。 病み要素など、一部の方にとっては不快に感じられる描写も多く含むため、苦手な方はブラウザバック等の極力この作品を読まずに済む回避方法をお勧めします。 問題等ございましたら、教えてくださると幸いです。

わっふる雨

それでは、どうぞ

今日は、三日目。最後の日だ。

ついに、やってきてしまった。 いるまの運命の分かれ道である、今日というこの日が。

暇72

……いるま!

暇72

今日が最後かもしれんのに、兄ちゃんたち外せない急用があるから来れないんだと

暇72

マジ酷くねw?

誤魔化すために溢した笑いは、誰にも突っ込まれない。

暇72

……杏仁豆腐食わせてやるって、約束したろ? だからさ、早く戻ってこいよ

暇72

お前のこと、一人になんてしねえから

暇72

……なあ、杏仁豆腐食いたくねーの? 好きじゃん、お前

暇72

一人が嫌なんだったら、二人で食べようぜ。そんなん、易いことだし

暇72

早く、戻ってこいよ……っ

酷い虚しさに、どうしようもなく息が詰まる。

暇72

……いるま

暇72

次は絶対、ずっと一緒にいような

暇72

俺はお前を『見てる』から、

暇72

お前は__『俺を見て』……っ?

いるま

__ぁ、れ?

俺、もしかして寝てた?

つうか……どこだ、ここ……列車の中か?

起きたばかりでボーッとしていると、不意にアナウンスが流れた。

アナウンス

えー、発車の前にご確認ください

アナウンス

安全ベルト、お荷物等、お忘れないでしょうか

いるま

安全ベルト……

いるま

って、なんだこれカバンじゃん……俺の?

そこには、何の変哲もないカバンがポツンと置かれており、俺はそれを寝ぼけ眼で漁り出した。

いるま

……なんだ、これ。写真?

その写真は、俺を含めた六人がピースサインをして写っているものだった。

恐らく、六人のはずだ。

はずだ、と言ってしまったのはなぜか。 それは、写真に写る俺以外の人間たちの顔にモヤがかかっていて、手の本数と身体の数でしか人数を把握できない状態だからである。

これは、誰だ?

このモヤは一体、何なんだ?

しかも、この写真……

いるま

一人だけ、消えかけてる……

???

いるまっ!

……さっきの、消えかけてた人?

つか、また変な場所に飛ばされて……

暇72

今日はアイツらいねえし、思う存分楽しもうぜ!

アイツら……?

まただ……何なんだよ、これ……

???

もう、離さないから……ッ

???

俺も!

???

俺も……!

さっきの人、泣いてんのか……?

ってか、そもそもだけどコイツらは一体……

__誰、なんだ?

???

約束な!

また、さっきの人……って、

__約束?

???

なあ、いるま

俺は

???

俺はお前を『見てる』から、

もしかして

???

お前は『俺を見て』?

忘れてはいけない何かを

いるま

おう、約束な!

"忘れている"?

アナウンス

__間もなく、発車いたします

そのアナウンスに、くいっと引き戻された感覚がした。

アナウンス

しばらくの間不安定な揺れが続きますが、ご安心ください

アナウンス

この旅の揺れは、安全ですので

いるま

……気色悪い言い回しだな、このアナウンス

アナウンス

……また、

アナウンス

くれぐれも"眠らない"こと"戻らない"ことを遵守していただきますよう、ご協力くださいませ

"眠らない"こと? "戻らない"こと?

いるま

なんだ、それ……

いるま

……ま、ただの聞き間違いだろ

いるま

ふわあ……眠いし、寝るか

そして俺はすーすーと寝息をたて、眠りについた。

アナウンス

……あーあ、眠ってしまわれたか

アナウンス

またのご乗車、当車は快くお待ちしておりま〜す

ふわり。

意識が浮いた。

と同時に、身体ごと地に置いていかれた感じがした。

いるま

ぅ、ん

暇72

__いるま?

いるま

な、つ……

暇72

おま……"戻ってこれた"んだな

暇72

よかったあ……

暇72

__約束、覚えてるか?

やく、そく……

__そうか。

さっき夢で見た写真の消えかけてたあの人は、

そのあとに見た記憶にもいたあの人は、

他の何かでも、誰かでもない、

今、この目に映っている……

"なつ"だ。

いるま

__おう、覚えてるに決まってんだろ

暇72&いるま

俺はお前を『見てる』から、お前は『俺を見て』

いるま

だろ?

重なった声に、自信の満ちた言葉が漏れる。

暇72

ああ、正解!

暇72

……いるま、さ

暇72

あと、一週間しか持たねえって

一週、間……そうだよな、癌……だもんな。

いるま

……、……

暇72

心臓移植してくれるドナーがいても、手続きの関係で間に合わないんだと

いるま

そう、なんだな

暇72

……なあ、あと二つの約束は覚えてんの?

いるま

当たり前だろ

いるま

『もう離さない』、『ずっと一緒にいよう』

いるま

……っ、だよな!

暇72

ああ……ああ!

その言葉の温かさに、どうしようもなく息が詰まる。

暇72

安心しろよ、俺たちはちゃんと約束してんだ

暇72

だから……

暇72

お前は絶対、一人なんかじゃない

いるま

……はは、なつもな

そうやって、二人で泣きあった。

すると、コンコンと病室の扉を叩く音がした。

医者

__なつくん、いるまくんの調子は……

医者

って、いるまくん……!

いるま

先生……!

医者

目を覚ましたんだね、よかったよ

いるま

いえ、ご心配をおかけしてすみませんでした……

医者

あはは、謝らなくていいのに

医者

……起き抜けで悪いんだけど丁度いいタイミングだし、すこし提案をさせてくれないかな

いるま

なん、すか?

医者

……医者としてはね、残りの一週間もここで入院してもらいたいんだよ

いるま

……はあ

医者

でも、それだとあまりにも不自由じゃないか。何だか、病院に囚われてしまっているみたいでさ

医者

だからね、これは一人の人間としていう言葉なんだけれど、

医者

……このまま、帰ってしまうというのはどうだろう?

いるま

え、

まさかの提案に、思わず声が漏れた。

医者

医療人たるもの、患者の病態とは真摯に向き合わなければいけないんだけど……まあ、心と向き合うのもまた治療かなと思って

医者

……っていうのは建前で、僕も人間だから情が湧いてしまった、というのが本音だ

医者

もちろん、君の意思を尊重したいから、帰りたくなければこのままでもありなんだよ……いるまくん、君はどうしたい?

いるま

俺、は……

医者

うん

……あそこは、帰りたい場所なのだろうか。 果てしなく惨めな気持ちになってしまう場所じゃ、なかったのだろうか。

だとしたら、俺は……

いるま

__帰りたい、です

暇72

いる、ま……

医者

そうか

いるま

……すみません、なんか

医者

いいよ、構わないさ

医者

どちらにせよ、僕の提案したことだ。外出届の手続きはこっちねやっておくから、そこら辺の心配はしなくて大丈夫だよ

いるま

ありがとうございます……!

暇72

……、……

看護師

いるまくん、車椅子ここに置いておきますね。よかったら使ってください

いるま

すみません、ありがとうございます

看護師

いいえ〜、精一杯楽しんできてください

いるま

……はい!

暇72

……なあ、いるま。家、帰りてえの?

不安げななつの問いに、俺は振り向いてこう返した。

いるま

_____いいや? 帰りたいっつか、外に出たかっただけ

暇72

そっ、かあ

そう返すと、なつはどこか安堵した表情を見せた。

暇72

じゃあさ……あの場所、行こうぜ!

いるま

ん? ……ああ、あの場所か

暇72

ここで出会った着いたら、丁度夜とかだろ?

いるま

確かにそんくらいか……また、見れるんだな、あの景色

暇72

ふはっ……なら、決まりだな!

いるま

おう!

そして俺たちは、間もなくして病院の外へと出ていったのだ。

いるま

久々に来たな、この駅

暇72

そうよな……久しぶりだよな、いるまは

いるま

ははっ、んな辛気臭え顔するなって

暇72

俺、あの車椅子用の板使うん初めてで、なんかドキドキした

いるま

ああ、スロープ板

いるま

……いや、使ったのどっちかといえば俺じゃね?

暇72

あ、確かに

いるま

……なつ、疲れてない? 大丈夫?

暇72

え、なんで?

いるま

だって、ずっと車椅子押してるし……

暇72

そんな気にせんでいいよ。つか、全然平気

いるま

そっか

暇72

結構暗くなったな……

いるま

あと、もうちょっとぐらいじゃなかったっけ?

暇72

そうそう。なあ、楽しみ?

いるま

うん、楽しみ

暇72

……はあ、やっと着いたな

いるま

ああ

果てしなく続く星空が、限りなく澄んだ海に丸ごと映っている。

いるま

……いつ見てもここ、綺麗

暇72

はは、そうだな

いるま

なんか、落ち着くっつうか、家より家って感じ

暇72

確かに、それはわかるかもw

いるま

だよなw

なんでもない会話で、俺たちは笑う。

すると、なつが神妙な声で訊いてきた。

暇72

……いるま

暇72

お前の感じた、辛かったこと、悲しかったこと……いま全部、吐いてみねえ?

俺の、感じた……?

いるま

……いいの?

暇72

いや、いいに決まってんだろw?

暇72

……人に話したら楽になることもあるけえさ、言ってみっていっぺん

温かな声色に、赦されたような気がする。

いるま

そっ、か……うん、言うよ

暇72

そして、不安ながらも俺は語った。

なつに気づかれる前から、ずっといじめられてきたこと。

よくわからない場所で、閉じ込められてたときのこと。

兄たちのこと。

双子の弟たちのこと。

その四人に、それぞれ思ってること。

心臓癌のこと。

薬のこと。

自分の苦しんできたこと、全部全部吐いた。 言葉に詰まりすぎて、何言ってるか全然わかんなかったかもしれないけど。

暇72

__いるま

名前を呼ばれて、後ろに振り向こうとする。

いるま

なに、どした……の、

振り返る間もなく、伸びてきたなつの腕が俺をぎゅうっと抱きしめていた。

いるま

え、っ?

抱きしめられた理由がわからずあたふたしている俺に、なつはゆっくりと言い聞かせるように声を発した。

暇72

泣いていいんだぞ、こういうときは

暇72

……俺も似たようなことあったから、わかる

なつにも、俺と似たようなことがあった……?

暇72

まあ……つっても喘息持ちなだけでお前ほど身体悪いわけじゃねえから、そっちの苦しさはわからんよ?

暇72

けどさ、いじめだったり家におるときの惨めさと寂しさは、わかるから

暇72

その感覚がいるまと一緒かどうかってのは微妙だけど、俺がいつでも『見守ってる』ってのぐらいは絶対やけえね

いるま

なつ……

温かい。やっぱりすごく温かい。

自然と、涙が溢れそうになった。

いるま

……っ、!

いるま

なつ、俺を『見守って』くれてありがとう

いるま

『見てくれて』ありがとう

暇72

うん、全然いいよ

優しく笑って、そう返してくれた。

するとなつは、さっきとは打って変わって真剣な顔を見せた。

暇72

……いるまは、さ

暇72

残り一週間、癌と戦って苦しみながら死ぬの?

急に何を言い出すのか、と思った。

いるま

……いや、まあそうなんじゃねえの?

暇72

えっと、そうじゃなくて……

暇72

いるまとしては、どう思ってる?

いるま

どう、って……?

暇72

苦しみながら死ぬの、いいって思ったりしてるんかなって

いるま

それ、は

いるま

……いやだ

暇72

そうよね、やっぱ……

いるま

生きられるんなら、生きたいって思う

暇72

でも、死からは逃げられんしな……

いるま

うん……

暇72

__いっそのこと、ここで二人して死んでみっか!

いるま

……は?

何を言っているんだ、コイツは。

暇72

うん、死のう。どうせ死ぬなら今がいい

いるま

え、なん……つか、どうやって……

暇72

ん? ああ……この海で溺れ死ぬ、とか

いるま

なつは、それでいいの? 俺のために死のうとか思ってたり……しねえ?

死ぬって、そんな簡単に決心していいもんじゃねえだろ。

そう思って、つい訊いてしまった。

暇72

……いるまが一週間癌に耐えてんの、俺は見てることしかできんわけよ

暇72

見てることしかできんのに、いるまは結局おらんくなる

暇72

俺はさ、いるまがおらん生活送るぐらいなら死にたい

暇72

っていうか、そうせんとやってられん

暇72

……いるまがいいなら、一緒に死にたいよ

そう返事をしたなつの瞳には、少しの濁りも澱みもなかった。 ただしっかりと、透き通っていた。

いるま

そっ、か

いるま

なつがその気なら、いいよ

暇72

んじゃ、決まりだ

いるま

決心してから、ふと自分の座っているものが気になった。

いるま

……あ、車椅子どうしよ

暇72

あー……たしかに

暇72

どうする? 下降りてからにする?

いるま

いや、降りるよ。別に立てねえってわけじゃねえし、シンプルに不自由

暇72

ははっ、そっか

なつは、軽く微笑んだ。

いるま

……入水って、苦しいかな

暇72

さあ?

暇72

ま、苦しくてもそんときはそんときっしょ

いるま

ま、そうだな

暇72

うん

暇72

……なあ、手繋ごうぜ

いるま

ふはっ、無邪気か

いるま

暇72

ありがと

暇72

……次は絶対、ぜっったい

暇72

"離さないから"

いるま

おう、絶対な!

そう約束した俺たちは、笑っていた。

果てしなく続く星空のごとく、限りなく澄んだ海のごとく、清々しい表情である。

暇72&いるま

せーのっ!

俺たちは、飛んだ。

海に飛び込んでみて、わかったことがある。

死の間際は、本当にスローモーションになるってこと。

水面に打ち付けられるのが、意外と痛いってこと。

だけど、それは苦痛にはならないってこと。

むしろ、心地がいい。

不安は全部、崖の上で流してきたから。

誰かに『俺を見て』って、必死に踠かなくてもよかったんだ。

こんな近くに、『俺を見て』くれる人がいたんだ。

ああやって、約束を交わしてくれる人がいたんだ。

暗い暗い闇の中でその顔が見えたような気がして、思った。

大好きだよ。

その言葉から、俺たちの音は途切れた。

アナウンサー

__続いてのニュースです

アナウンサー

都内の男子学生二人が、○○沖の崖下にて"遺体"となり発見されました__

アナウンサー

__警察は自殺と断定し、調査を進めています

アナウンサー

__、____

いるま

なつ、ありがとう!

暇72

いるまも、ありがとうな

『俺を見てくれて』

わっふる雨

いやあ……頑張りました、本当にありがとうございます

わっふる雨

ご本人様直々にお話くださることって中々ないじゃないですか

わっふる雨

物書きとしては最大の賞賛ですよね、こんなん

わっふる雨

だから、まあ……一週間掛かってしまったわけなんですけれども……

わっふる雨

でも、できる限りの丹精を込めました! こと様いかがでしょうか!

わっふる雨

この度は書かせていただき、誠にありがとうございました!

わっふる雨

それでは

この作品はいかがでしたか?

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