わっふる雨
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わっふる雨
わっふる雨
わっふる雨
問題等ございましたらお申し付けくださいませ……
わっふる雨
*諸注意* この短編集はnmmnというジャンルに属しています。 ご本人様や現実の出来事には一切関係しておりませんので、悪しからず。 病み要素など、一部の方にとっては不快に感じられる描写も多く含むため、苦手な方はブラウザバック等の極力この作品を読まずに済む回避方法をお勧めします。 問題等ございましたら、教えてくださると幸いです。
わっふる雨
今日は、三日目。最後の日だ。
ついに、やってきてしまった。 いるまの運命の分かれ道である、今日というこの日が。
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誤魔化すために溢した笑いは、誰にも突っ込まれない。
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酷い虚しさに、どうしようもなく息が詰まる。
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いるま
俺、もしかして寝てた?
つうか……どこだ、ここ……列車の中か?
起きたばかりでボーッとしていると、不意にアナウンスが流れた。
アナウンス
アナウンス
いるま
いるま
そこには、何の変哲もないカバンがポツンと置かれており、俺はそれを寝ぼけ眼で漁り出した。
いるま
その写真は、俺を含めた六人がピースサインをして写っているものだった。
恐らく、六人のはずだ。
はずだ、と言ってしまったのはなぜか。 それは、写真に写る俺以外の人間たちの顔にモヤがかかっていて、手の本数と身体の数でしか人数を把握できない状態だからである。
これは、誰だ?
このモヤは一体、何なんだ?
しかも、この写真……
いるま
???
……さっきの、消えかけてた人?
つか、また変な場所に飛ばされて……
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アイツら……?
まただ……何なんだよ、これ……
???
???
???
さっきの人、泣いてんのか……?
ってか、そもそもだけどコイツらは一体……
__誰、なんだ?
???
また、さっきの人……って、
__約束?
???
俺は
???
もしかして
???
忘れてはいけない何かを
いるま
"忘れている"?
アナウンス
そのアナウンスに、くいっと引き戻された感覚がした。
アナウンス
アナウンス
いるま
アナウンス
アナウンス
"眠らない"こと? "戻らない"こと?
いるま
いるま
いるま
そして俺はすーすーと寝息をたて、眠りについた。
アナウンス
アナウンス
ふわり。
意識が浮いた。
と同時に、身体ごと地に置いていかれた感じがした。
いるま
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いるま
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やく、そく……
__そうか。
さっき夢で見た写真の消えかけてたあの人は、
そのあとに見た記憶にもいたあの人は、
他の何かでも、誰かでもない、
今、この目に映っている……
"なつ"だ。
いるま
暇72&いるま
いるま
重なった声に、自信の満ちた言葉が漏れる。
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一週、間……そうだよな、癌……だもんな。
いるま
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いるま
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いるま
いるま
いるま
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その言葉の温かさに、どうしようもなく息が詰まる。
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いるま
そうやって、二人で泣きあった。
すると、コンコンと病室の扉を叩く音がした。
医者
医者
いるま
医者
いるま
医者
医者
いるま
医者
いるま
医者
医者
医者
いるま
まさかの提案に、思わず声が漏れた。
医者
医者
医者
いるま
医者
……あそこは、帰りたい場所なのだろうか。 果てしなく惨めな気持ちになってしまう場所じゃ、なかったのだろうか。
だとしたら、俺は……
いるま
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医者
いるま
医者
医者
いるま
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看護師
いるま
看護師
いるま
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不安げななつの問いに、俺は振り向いてこう返した。
いるま
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そう返すと、なつはどこか安堵した表情を見せた。
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いるま
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いるま
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いるま
そして俺たちは、間もなくして病院の外へと出ていったのだ。
いるま
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いるま
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いるま
いるま
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いるま
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いるま
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いるま
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いるま
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いるま
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いるま
果てしなく続く星空が、限りなく澄んだ海に丸ごと映っている。
いるま
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いるま
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いるま
なんでもない会話で、俺たちは笑う。
すると、なつが神妙な声で訊いてきた。
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俺の、感じた……?
いるま
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温かな声色に、赦されたような気がする。
いるま
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そして、不安ながらも俺は語った。
なつに気づかれる前から、ずっといじめられてきたこと。
よくわからない場所で、閉じ込められてたときのこと。
兄たちのこと。
双子の弟たちのこと。
その四人に、それぞれ思ってること。
心臓癌のこと。
薬のこと。
自分の苦しんできたこと、全部全部吐いた。 言葉に詰まりすぎて、何言ってるか全然わかんなかったかもしれないけど。
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名前を呼ばれて、後ろに振り向こうとする。
いるま
振り返る間もなく、伸びてきたなつの腕が俺をぎゅうっと抱きしめていた。
いるま
抱きしめられた理由がわからずあたふたしている俺に、なつはゆっくりと言い聞かせるように声を発した。
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なつにも、俺と似たようなことがあった……?
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いるま
温かい。やっぱりすごく温かい。
自然と、涙が溢れそうになった。
いるま
いるま
いるま
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優しく笑って、そう返してくれた。
するとなつは、さっきとは打って変わって真剣な顔を見せた。
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急に何を言い出すのか、と思った。
いるま
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いるま
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いるま
いるま
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いるま
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いるま
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いるま
何を言っているんだ、コイツは。
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いるま
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いるま
死ぬって、そんな簡単に決心していいもんじゃねえだろ。
そう思って、つい訊いてしまった。
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そう返事をしたなつの瞳には、少しの濁りも澱みもなかった。 ただしっかりと、透き通っていた。
いるま
いるま
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いるま
決心してから、ふと自分の座っているものが気になった。
いるま
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いるま
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なつは、軽く微笑んだ。
いるま
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いるま
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いるま
いるま
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いるま
そう約束した俺たちは、笑っていた。
果てしなく続く星空のごとく、限りなく澄んだ海のごとく、清々しい表情である。
暇72&いるま
俺たちは、飛んだ。
海に飛び込んでみて、わかったことがある。
死の間際は、本当にスローモーションになるってこと。
水面に打ち付けられるのが、意外と痛いってこと。
だけど、それは苦痛にはならないってこと。
むしろ、心地がいい。
不安は全部、崖の上で流してきたから。
誰かに『俺を見て』って、必死に踠かなくてもよかったんだ。
こんな近くに、『俺を見て』くれる人がいたんだ。
ああやって、約束を交わしてくれる人がいたんだ。
暗い暗い闇の中でその顔が見えたような気がして、思った。
大好きだよ。
その言葉から、俺たちの音は途切れた。
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
アナウンサー
いるま
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『俺を見てくれて』
わっふる雨
わっふる雨
わっふる雨
わっふる雨
わっふる雨
わっふる雨
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