月島蛍
スヤァ...

黒尾鉄朗
(あぁ゛ーもう、何この子
天使?赤ちゃん?バブちゃん?もう、食べちゃいたい...弟に死ぬほど欲しいな...)

黒尾鉄朗
(ツッキーお兄ちゃんいたんだっけ、くそ羨ましいわ...あ、でも親族だから結婚できねぇわ、はっはっはっ、ツッキーは貰ったぜ兄貴さんよ)

黒尾鉄朗
...ジー

黒尾鉄朗
(...メガネかけてない姿...いいな、可愛い、そそる)

月島蛍
ん...

黒尾鉄朗
!、あ、起きた?

月島蛍
パチッ(...ここどこ)

月島蛍
(布団の上じゃない...)

月島蛍
(...確か悪夢見て...でも、そこからなんか自然と落ち着いたんだよな、暖かくて...いい匂いで...)

月島蛍
(...ん...目ぼやぼやする...てかメガネどこだよ...)ガサゴソ

黒尾鉄朗
ん?(見えてないのかな)

月島蛍
(てか、...今きずいたけど僕どんなところで寝てんの?...!何故か人の上にいるし...なんだろ、赤い...ジャージ...音駒の?)ボヤボヤ

月島蛍
チラッ(そして黒髪の人...)

黒尾鉄朗
おはよー

月島蛍
!?(黒尾さん!?)ビクッ

黒尾鉄朗
あ、わかった?黒尾サンデーズ

月島蛍
...(放心状態)

黒尾鉄朗
え、あ、ツッキー?

ちなみに距離感近いです
15cmぐらいですかね
尊いです
月島蛍
バッ(離れる)

黒尾鉄朗
うがっ

月島蛍
はぁ...はぁハラハラ
(いやいやいやいや、ちょっと待ていまいち状況が分からない
なんで黒尾さん?しかもここ廊下?なんで?)

黒尾鉄朗
あ、眼鏡教室だ...まぁ、いいや眼鏡なし姿貴重だし

月島蛍
????

黒尾鉄朗
えっとー...とりあえず

黒尾鉄朗
『大丈夫?』

月島蛍
...

月島蛍
『はい』

月島蛍
(いや、何が大丈夫?だよ全然大丈夫じゃない、いや、まぁ体調とかはいいけどさ)

黒尾鉄朗
『気分はどう?』

月島蛍
『まあまあです』

黒尾鉄朗
そっか、良かった

月島蛍
『あの...どうなってこのような状況になったんですか?』

黒尾鉄朗
『あー、えっとな、カクカクがシカジカが起こって、でクロ月尊い...』

黒尾鉄朗
『〜という訳です』

月島蛍
『そうなんですか...すみません。迷惑をおかけしm』

黒尾鉄朗
ガシッ(月島の手を止める)

月島蛍
?

黒尾鉄朗
『迷惑じゃない。謝るの禁止』

月島蛍
...『はい...』

やはり、僕の記憶通り悪夢を
見ていて、
過呼吸になり、唸らせていたらしい
それを、澤村さん、菅原さんが気づいて廊下に一旦でて
落ち着かせようとしたこと
悪化して行く中で
黒尾さんが気づいて
助けてくれたこと
月島蛍
(そういえば悪夢から救ってくれた、あの時の匂い、黒尾さんの服の香りと一緒な気がする.....だから懐かしかったのか)

黒尾鉄朗
...プルプル

月島蛍
?(下向いて何してんだこの人)

黒尾鉄朗
ギュッ(ツッキーを抱きしめる)

月島蛍
っ!?(うわっ、急にびっくりした)

黒尾鉄朗
ツッキー、いなくなんなくて、よかっ、たぁ...ポロッ

月島蛍
チラッ(...泣いてる!?)

黒尾鉄朗
ツッキー、がぁ、過呼吸なってるの見て、自分の手で存在確かめないと、ツッキー消えちゃいそうで、すげぇ...怖かった...ポロポロ

黒尾鉄朗
でも、また目覚ましてくれて、すげぇ安心した...ポロポロ

黒尾鉄朗
ほんと、よか、った

月島蛍
.....

月島蛍
...(なんて言ってるか僕には分かりませんよ、黒尾さん...)

最後に黒尾さん...いや、みんなの声を聞いたのはいつだったか
どんな声だったか、もう、覚えてない
音自体、どのようなものだったのかも
忘れかけている
力のこもった手からは
言葉では言い表せないような
熱い感情が伝わる
こんなにも想ってくれてるなんて、思わなかった
愛されてたなんて、知らなかった
そしてその気持ちを感じた時、
事故に対する気持ちも軽くなる
難聴にならなければ、
この感情は、味わえなかったと
月島蛍
(やっぱ暖かいな...)

今、黒尾さんが抱きしめたことが
まるで、鍵のようで
月島蛍
...っ(黒尾さん...)

月島蛍
ぁ...

黒尾鉄朗
...?(口動かしてる...何か伝えたい...のか?)

月島蛍
...っ...ぁ...

黒尾鉄朗
どうした、ツッキー?
そんなに無理して声だそうとしなくても...

月島蛍
ありが、とう...ございま、す...
ボソッ

黒尾鉄朗
!!??
(喋ったっ...?)

黒尾鉄朗
いっ今...!

小さくて、耳をすまさないと聞こえないかもしれない
それでも、月島ははっきりと言った
そしてはっきりと聞こえた
黒尾鉄朗
ガシッ!ツッキー今っ...今...

月島蛍
っ!?(今...言葉にできてた?...声にできてた...のか...?)

黒尾鉄朗
『喋れてたぞ?』

月島蛍
今、声で...た...っ

黒尾鉄朗
...っマジで、

黒尾鉄朗
『良かったな!』ニコッ

月島蛍
あ、はい...っ

月島蛍
...っポロッポロッ

月島蛍
!、(やば、わかんないけど涙止まんない、なんで)

月島蛍
あ、すみま、せポロッ

黒尾鉄朗
.....

黒尾鉄朗
...泣け、泣きたい時は我慢するな、
(背中をぽんぽんする)

月島蛍
!、

月島蛍
っ(高校生にもなって、恥ずかし...笑)ボロポロッ

黒尾鉄朗
(ずっと辛かっただろうな...)

黒尾鉄朗
...サスサス

月島蛍
ヴ.....ポロポロ

僕は黒尾さんに背中を撫でてもらいながらしばらく泣いた
黒尾鉄朗
『落ち着いたか?』

月島蛍
...だいぶ、ありがとうございます

黒尾鉄朗
『そう、良かった...にしても、話せるようになったの、どうしてなんだろな』

黒尾鉄朗
(急に喋れるようになるって...そもそも、なんで今まで喋れなかったんだ?事故った時に喉を痛めたとかだと思ってたけど、喋れたってことは違うだろうし...でも、生まれつきならまだしも、途中で聴覚障害になって、喋れない、てことはない、はず...?)

月島蛍
なんでですかね...ケホッ

黒尾鉄朗
『しばらく喋ってなかったんだし、あんま無理して声だすなよ?』

月島蛍
はい...

月島蛍
.....

喋れないことは、事故による
物理的な損傷とかそういうのでは無い
さっきも思ったが
自分が気づかない間に
心を閉ざしていて
黒尾鉄朗
ツッキーの声久しぶりに聞いたけど、やっぱイケボだよな...

黒尾鉄朗
いいなー...ナデナデ

月島蛍
あの、頭撫でるのやめてください。澤村さんに黒尾さんがいじめてくるって言いますよ

黒尾鉄朗
それは困るなー笑

黒尾鉄朗
でも、やっぱかーわいーナデナデ

月島蛍
ムスッ(言葉ではああ言ったけど、できればもう少し撫でて欲しい...あったかくて気持ちi...
って、いやいやいやいやいや、そんなこと思ってない断じて思いたくない。うん。)

黒尾鉄朗
ナデナデ
(ツッキーの髪の毛ふわふわだぁ...すげぇ)

月島蛍
(...凄くニヤニヤして見てくるじゃん...)

月島蛍
というかそれより黒尾さん、ずっと僕を看護してくださっていて、あまり寝てないですよね、今からでもいいので寝てきてください

黒尾鉄朗
『ツッキーと一緒にいたいからやだー』ヘラッ

月島蛍
っ...そうですか(なんか断れない...)

黒尾鉄朗
(...久しぶりに喋ったからか、耳が聞こえないからか分からないけど、やっぱり芦舌が上手く回ってないし、発音も少し変わってるな...でも、このこと言ったら傷つけそうだし...とりあえずいいか)

黒尾鉄朗
そういや、『ツッキー、喉の調子良くなってきた?』

月島蛍
あぁ、まあまあですかね...さっきよりは断然良くなりました

黒尾鉄朗
ふーん、ニヤニヤ(じゃあ)

月島蛍
何ニヤニヤしてるんですか、気持ち悪い

黒尾鉄朗
『みんなにドッキリ仕掛けようぜ』

月島蛍
.....は?ドッキリ?

月島蛍
(いや、僕がこういう系苦手なの知ってるよね...?)

黒尾鉄朗
『ツッキーが声出るようになったんならさ、せっかくだしみんなにドッキリしたいじゃん?』

月島蛍
その思考回路僕には理解できないです

黒尾鉄朗
まーまー

黒尾鉄朗
『そんな大きなドッキリじゃないけどさ、ツッキーが「おはようございまーす」って大声でみんなを起こすっての』

黒尾鉄朗
『そしたら、ツッキー声出たのー!?って驚くだろ?』

黒尾鉄朗
『そこまで難しくもねぇし、ドッキリというよりも、驚かしみたいなもんだから簡単だろ!』

月島蛍
いやいやいや、嫌です。やりたくないです

黒尾鉄朗
『お願い!』

月島蛍
そもそもそんな大声だしたくないですし

黒尾鉄朗
『そこを』

月島蛍
僕がそんなことやったら異様な目で見られそうですし

月島蛍
めんどくさいですし...

黒尾鉄朗
...へー、『やってくれないのかー』

月島蛍
...なんですか

黒尾鉄朗
ふーん、じゃあ

月島蛍
?

黒尾鉄朗
ツッキーが満面の笑みで黒尾さんに体をあずけて寝てる写真ばらまいてもいーのかなー?
(月島に写真を見せる)

月島蛍
っ!?//
(察した)

月島蛍
なんですかそれ!?今すぐ消してください!

黒尾鉄朗
ツッキーがドッキリやってくれるなら消してあげるー笑ニヤニヤ

月島蛍
くそ、腹黒ドブ猫が...ボソッ

黒尾鉄朗
『おい、全部聞こえてんぞ』

黒尾鉄朗
『...で、やんの?やんねーの?ニヤ』

月島蛍
ゔ...(この写真ばらまかれたら僕の人生終わる...この人ならほんとやりかねないから怖い
...しょうがない、ここは自分の身の安全を守るためにも)

月島蛍
...はああああああぁぁぁ
わかりました、やりますよ

黒尾鉄朗
よっしゃ!

月島蛍
やったらほんと消してくださいね?

黒尾鉄朗
『はいはい』

黒尾鉄朗
(こんな天使写った写真、消すわけねーだろ、赤葦にも秘密にしとくか)

黒尾鉄朗
『それでは、そろそろ朝だし、行きますかー!』

月島蛍
めんど...
