その頃は警備隊の隊長と長官を決める選挙があったんだよ。
トーマ隊長
うーん、毎日カリー隊長の指導で大変だし、俺が隊長になればなぁ!
そうしたら怒られなくてすむし。
カリー長官
おい。そんな事言わずに仕事しろ。
トーマ隊長
あ、カリー隊長は長官選挙は立候補しますか?
カリー長官
ああ。俺はピパロン王から推薦されているからな。
トーマ隊長
あ、あはは。そうですか。
実は俺も隊長選挙に出ようと思っているんです。カリー隊長が長官になったら、警備隊は俺が守ります!
カリー長官
・・・
まあ、頑張れ。
トーマ隊長
(え?俺応援されてない・・・?)
トーマ隊長
うーん。何か事件か何か起きないかなぁ!
そうしたら評価が上がるかもしれないし。
トーマ隊長
ムム??
これは事件の匂い。
ベストタイミング!
おばさん
あれ!?にゃおちゃんは!?
トーマ隊長
猫をお探しですか?
おばさん
いいえ!犬です!
トーマ隊長
そ、そうですか。
では、ピパロン王国警備隊員である俺が探しましょうか?
おばさん
それは助かるわ!
ルミ隊員
あ、もしかしてこの犬ですか?
おばさん
あ!それよそれ!
ありがとうございます!
ルミ隊員
いえ、このまま交番に届けるつもりでしたのでその前に見つかって良かったです!
トーマ隊長
あ、そうなんです!俺がちょっと前にこのペットを見つけて同僚に持ってくるようにお願いしたんです!
ルミ隊員
あれ?
同僚?私は___
トーマ隊長
まあ、よかったじゃないですか!
ピパロン王国警備隊員のトーマさんがペットを見つけてくれたなんて言わなくてもいいですから!
おばさん
では失礼します。
ルミ隊員
あれ?トーマさんって言うんですか?
私、警備隊員でもないんですけど・・・
トーマ隊長
まあ、いいじゃないか。
ルミ隊員
私が見つけたのに自分の手柄みたいに・・・っていなくなってる!
ついに明日が選挙の日だ。今の所、俺の支持率は低い。
トーマ隊長
う〜ん。このままじゃ隊長になれない・・・
カリー長官
おはよう。今日はちょっと用事でここを空けるからよろしく。
トーマ隊長
なんの用事ですか?
カリー長官
ピアノン王国警備隊長に顔合わせに。
トーマ隊長
へぇー。じゃあ、行ってらっしゃーい!
カリー長官
何だかすごく出ていって欲しそうだな。
わかったよ。行って・・・
ギャアアア
トーマ隊長
え、どうしましたか?
カリー長官
あ、あそこ・・・わわわ、ワニが・・・
トーマ隊長
なんだ、ワニかあ!
カリー長官
ワニかあ!じゃないだろ!
トーマ隊長
あ、食いちぎらけるのが嫌なんですか?じゃあ、口をとじさればいいじゃないですか。
カリー長官
ありがとう!助かったよ!
トーマ隊長
いやぁ、大したことは・・・
カリー長官
いや、これはルナ隊長に説明しなくては・・・
トーマ隊長
え?それってピアノン王国警備隊長___
カリー長官
みんな、聞いてくれ!
今回俺を救ってくれたトーマ隊員だ!みんな、拍手!
そうそう、これが決め手だったな。俺が隊長になるの。
そして選挙の日。そりゃあカリー隊長が褒めちぎっていたからなぁ__
今回、隊長になったのは・・・
トーマ隊員!
これからはトーマ隊長です!
みんな、拍手!
うーん、あんなに清々しい時は無かったな。
ま、俺の力が実ったということだろなあ!