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夜宵 夢
よく分からない、女が言う。
その声は、風みたいに軽くて。 消えそうで。
煙草をアスファルトに落として、指で潰した。
時雨 澪
夜宵 夢
夜宵 夢
そいつは屈んで、こちらを覗き込む。
夜なのに、そいつは目がどうも明るい。 濁りがなくて。 でも、壊れそうな瞳。
二人、傘はなくて、ザーザーと降りやまない雨に濡れて。
夜宵 夢
時雨 澪
時雨 澪
夜宵 夢
そいつは言う。 その笑顔はあまりに自然だった。 ああ、でもなんだか違和感。
でも、心の何かを引っ張りあげてくるような、そんな笑顔。
夜宵 夢
時雨 澪
夜宵 夢
小さくてスラリとしてる手を、動かして空で手を泳がす。
そこに、何も無いはずなのに。
なにかが見えているような。
夜宵 夢
不思議な言葉に、俺は何も言えない。 その透明な言葉と、夜風に攫われてしまうような声に、少し俺は息を呑んで。
何か、ほんの少しだけ目が覚めるような気がした。
夜宵 夢
時雨 澪
夜宵 夢
やっぱり、?なんて、よく分からない事をそいつは言った。 まあ、なんでもいいけれど。
時雨 澪
夜宵 夢
そいつは笑って。 そして、立ち上がって背中を向けた。
夜宵 夢
夜宵 夢
時雨 澪
何も言えず、静寂に包まれる。
そいつは去って行って。
"また" という言葉が重りのように、呪いのように胸に残る。
時雨 澪
_夜の路地裏
街灯がふっと瞬いては、また灯って。
暗い夜に、不思議と涙は零れなかった。
煙草を吸おうとライターを手に取る。
時雨 澪
そのまま、ザーザーと鳴り響く雨に打たれて、ぼーっと空を見つめていた。
彼奴は、なんだったのだろう。