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夜の街は昼よりずっと静かだ。 でも、俺にとっては静かすぎてうるさい空気だ。
「ひとりになりたい」 そんな言葉が、不意にこぼれて。
ひとりになりたいけれど、ひとりになったら、何かに押し潰されてしまいそうで。 そんな矛盾を抱えて、公園へ足を向けた。
──煙草の火をつけようとしたその時。
夜宵 夢
時雨 澪
振り返ると、ブランコに腰掛ける彼奴がいた。 白い服に、白い肌。 夜に溶け込んでしまうような存在なのに、不思議と簡単に見つけられた。
時雨 澪
夜宵 夢
時雨 澪
夜宵 夢
其奴は立ち上がり、ブランコをキィ、と鳴らして、澪に近づく。
夜宵 夢
そう言って、澪の顔を覗き込んでくる。 吸っていた煙草が、なぜか酷く苦く感じた。
──ポトッ
火が落ちた。 無意識に、俺の手が煙草を離していた。
時雨 澪
夜宵 夢
其奴の声は優しくて、でもそれ以上に深い。 底が見えない、何かに誘われているような、夜の奥底に引き込まれていくような感覚だった。
時雨 澪
夜宵 夢
時雨 澪
夢、という名前に、不思議と納得した。 夢のような存在だったからだろうか。
笑っているのに、涙が出そうになる。 此奴は、夢は、優しすぎる。いや、それとは違う。 "優しさを演じている何か" ──そう、感じた。
時雨 澪
夜宵 夢
夜の風が、ブランコを揺らす。 澪の足元に、影が二重に揺れていた。
ずっと見てた。 そんな言葉に、妙に納得した。 気になったけど、聞きはしなかった。