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時刻は深夜4時
203号室の部屋のベッドの中には服を着た、轟と加藤では無く、加藤のみが寝息を立て、熟睡していた。
その顔は、とても幸せそうだ。
そんな中、轟はと言うと・・・
〇〇宿 露天風呂 男湯
轟 健二
一日中やっている宿の温泉に入っていた。
深夜4時と云う時間帯なのか、温泉には轟以外の人はおらず、轟の独り言だけが温泉内に反響する。
轟 健二
最初よりかはそれなりに良くなったが、まだ大分(だいぶ)痛いな・・・
轟 健二
のんびりとはいかんが、こうやって温泉に浸かるのは何時(いつ)ぶりだろうな。
轟は両手で湯を掬い、顔にかけた。
轟 健二
はぁ。これで背中の痛みさえなければ、もっとゆっくりと温泉を楽しめるんだがな。
轟 健二
轟は、大きな溜め息を吐き、天井を向いた。
・・・事件の事でも考えるか。
・・・被害者の後藤大輔は佐藤邸の主人、佐藤綾香のお気に入り。
今回の事件で同じ使用人の亜希子と云う人物が後藤大輔と男女の関係にあった事から、犯人と疑われている。
遺体発見から一週間前に雪が降った。
さらに、およそ1ヶ月前から使用人の近藤が行方不明。
遺体は顔が潰され、人相は不明だが、指紋や髪のDNAから後藤大輔と判明。
しかし、何故わざわざ顔を潰した?
殺人を犯した犯人が真っ先に考えるのは、その場からの逃走だ。
仮に亜希子と云う人物が犯人だとして、わざわざ顔を潰す理由が無い。
警察も怨恨の可能性も視野に入れて捜査をする筈だ。
だが、捜査資料を見る限り、その可能性は無く、単に男女の関係で、死亡時刻のアリバイが無いと云うだけ。
この時点で犯人の可能性は無くなった。
しかしそうなると・・・
轟はブツブツと事件を頭の中で整理している。
轟 健二
すると、長湯をし過ぎたのか、少し頭がボーっとし始めた。
轟 健二
ふと、辺りを見ると数人だが温泉に浸かっているのが目に見える。
そう言えば、今、加藤は寝てるんだよな。
・・・久しぶりだったからな。なんて顔して行けばいいか判らん。
轟 健二
轟は脱衣場で自分の服が入った籠に手を掛けた。
轟 健二
よく見ると中の服は全く違う物だった。
轟 健二
右の籠を見ると、そこにはちゃんと自分の服が入っていた。
轟 健二
そんな事を言いながら、サッサとバスタオルで身体を拭き、服を着た。
轟 健二
〇〇宿 203号室
加藤 恭子
時刻は5時半
加藤はベットから起き始めた。
加藤 恭子
加藤はまだ頭が回っていない様で、起き上がったままボーとしている。
だが、徐々に頭が回りだし、昨晩の出来事を思い出した。
ボッ!
そして、完全に思い出し、顔を真っ赤にさせ、ベットへと倒れ込んだ。
加藤 恭子
昨日あんな激しく!あぁ!私もあんな顔して!
加藤 恭子
しばらく、羞恥に駆られていたが、加藤は羞恥を一旦抑え、手を胸に当て、自分の鼓動を感じた。
加藤 恭子
加藤 恭子
そして、自分の腹をゆっくりとさすった。
加藤 恭子
轟 健二
轟 健二
加藤 恭子
加藤がすぐ横を見ると、耳まで真っ赤にした轟が椅子に座っていた。
加藤 恭子
加藤は先程より顔を赤く染めた。
轟 健二
轟も顔を真っ赤に染めていた。
加藤 恭子
加藤は近くにあった枕を轟へ投げた。
轟 健二
轟は受け止める暇も無く、顔面に枕が当たった。
加藤 恭子
加藤は羞恥に駆られ、色々と危ない事を口走っていた。
轟 健二
轟がそう言うと、ピタッ!と加藤の口が止まった。
轟 健二
加藤 恭子
轟は加藤の事をからかっているが、轟も顔を真っ赤にしている。
加藤 恭子
轟 健二
加藤は突然の轟の接吻を甘んじて受け入れた。
轟 健二
加藤 恭子
第10話に続く