海色ダイアリー 非現実的？！ 結亜四季編

とうとう、鼻も聞かなくなったいま

希望が消えた

そう、思った

ここは学校

授業を聞いているんだ

目も、近いうちに無くなっちゃうんだ

私は最近入院し始めた

体が不自由となった今は、感覚はないけれども体はピンピンしているため

リハビリは必要なんだ

体を動かせないって、とても辛いことなんだろうなあ

また、クラっときた

結亜ちゃん？って、だれ？

またひとり、ひとりと集まってくる

だ、だれ？

夏目結亜！

と、現在お昼なのに病院で入院中です

たった今、リハビリも終わらせたんだ

この人は三崎さんで、私の担当の看護師さん

気軽で優しいんだ

机に置かれたのはある飲み薬

本当に、出来たんだ。薬が

結亜ちゃん！

起きて！

起きてよ！

結亜ちゃん！

おきて！

なんで…………

なんで！

結亜ちゃんが、

こんな目に？

もう、やだよ……

起きて！

起きてよ！

感覚がする

もう、意識は半分遠のいで行く

でも、そう言われた、感覚がする

私の、愛しい人に、

この声は、五つ子の誰？

いつの間にか、寝て、た？

意味深な夢だったっ！

なんだか、薬を今すぐ飲まなきゃならない気がする

やっぱり相変わらず味がしないけれど

変化は……………

変化は…………変化も、しなかった

チラリと腕時計を見る

目のマークであと5日、午後3時

もうすぐ、視力も無くなる

キーホルダーは太陽と海、岩が、描かれており岩にはピンクのヒレをもつ人魚がいる

友情の証だもんね！

〇月〇‪✕‬日は、私の視力が無くなる2日前

本当に、太陽みたいな男の子だなあ

それにしても、四季くんたち、テレビに出ちゃうんだあ

なんだか遠くいってしまったみたい

隣に、入れたらな

もう、四季くん達が大人になる頃には私はいないけれど…………

って、……………よ

え？

てよ！…………し！

なに？

だれ？

起きてよ！

私！

！？

最近、変な夢を見るようになったの

頭の中でもう1人の私に、何かを伝える

そんな夢を…………

廊下を歩いている

今日は久しぶりに学校へ行ったんだ

クラクラしている

それは久しぶりに学校へ行ったからか

体を動かしているからか

第6感覚喪失の症状の内の立ちくらみかは、分からない

っ！

とうとう、倒れ込んでしまった

私を、呼んでいる？

クラクラする

視界もぼやけてきた

なんで？まだ、目が消えるまでは4日あるのに………

私は、意識を失ってしまった

ここは、保健室？

そういえば、気を失っちゃったんだっけ？

四季くんを忘れるって、怖い

怖いよ

思わず泣いてしまった

ああ、四季くんを感じたい

感じたい

そっか、多分、私この言葉をかけて欲しかったのかな

欲張りだな、私って

今日は久しぶりに家に戻ってきたの

今日は、四季くんと二葉くんがテレビに映る日

私はひとり、自室でテレビをみているよ (テレビは置いてくれたんだ！)

テレビには、儚く遠い、あの【橘兄弟】が！

憧れるなあ

ふと、後ろに不審な動き

よくこらえてみると光る何かが……

気づいてしまった

私は杖を付きながら、急いで現場の近くに行く

よかった、近くの現場で

なんでそんなに焦ってるのって、気になるよね

見えちゃったの………

バッグにしまいこんでいる、

…………………ナイフが

もう撮影は終わっちゃったみたい

スタッフの人達がお疲れ様でしたあとザワザワしている

人は居ない。だけれど、

黒い人は、いる

私は人を疑うことはしない

でも、おかしいの

そして、男の人はナイフを出す

いまは二葉くんと四季くん

この距離だと、四季くん！

まって、待って待って待って待って！

だめ、ダメ！

これじゃあ、間に合わない！

次の瞬間、私の体が急に言うことを聞き始めた

いまはスタッフがいない！

守るひとも、四季くんも二葉くんも気づいてない！

男の人が走る

グサッ

と、鈍い音がする

刺さったのは…………

私だった

四季くんを庇うように手を広げる

お腹に、ナイフが…………

キャーっと辺りがザワつく

体の刺されたところが痛い

感覚が、もどってる？

この前に、一時的に感覚を呼び起こす薬を飲んだんだ

その効果の薬かな

口から血が垂れる

まだ、大丈夫だよ。私

声がカラカラする

痛みが、ズキズキする

どんどん感覚が鮮明になる

ナイフを突き出す

私はそのナイフを握る

心に響くように、叩き込むように

命令みたいにそう伝える

この人は、まだやり直せる

ナイフをそっと、男の人は離す

スタッフの人達が男の人を取り押さえる

手のひらを見ると、出血するほど手が切れていた

立ちくらみと同時に、ナイフを刺さるているよりももっと痛い頭痛がしたの

2人とも、泣きそう

そんな顔、しないで

私は気を失った

ごめんね

結亜ちゃん

え？

これも、夢？

結亜ちゃん。お願い、起きて

謝りたい、から

いや、違う、

これは、

これは！

結亜ちゃん！

手に巻かれている包帯を取った

手は

綺麗に治っていた

四季くんに手を握られる

温かくてほっとしてしまう

離れたくない、そう思ってしまった

ダメだよ

もうずっと居られないんだから………

……………でも

今、私と五つ子たちは水族館にいる

五つ子達が誘ってくれたんだ

今日の3時、私の視力は無くなってしまうから………

感覚は、もうほとんど無くなった

もうすぐ、私の『意識』のタイムリミットが、くる

だから、だから、気を紛らわそうと誘ってくれたんだと思う

もちろん私の今日視力が無くなってしまうから、の理由もあると思う

でも、みんなは気づいていると思うの

私が元気ないって

だから、誘ってくれたんだと思うんだ

ここは休憩所

歩き疲れてる頃かなって思って誘ったんだ

みんながまったりしているとき、

私は、今しかないと思い、あるものを出した

私は、お花畑に行ったとき売店で買った五つ子にそっくりネックレスを買ったんだ

とても素敵だけど、安くてびっくりしちゃった！

全部で紐の色が緑、紫、青、橙色、黄色。

白いサルビアの絵が描かれている小さなプラスチックが付いているの

私は立ち上がりみんなの後ろに回る

まず、一星くんから

あはは、やっぱり感覚がないからネックレスを付けるのに苦戦しちゃうな

それは、もう伝えられないと思ったからだよ

みんなは、きっと大人になっても変わらない

こんな人が、恋人だったらな

四季くんも、いつか結婚するんだろうな

って、何考えてるの私！

みんなが向かう

視界も、だんだん暗くなってくる

あと、10秒！？

イルカ、見えた！

ジャンプは、まだしていないけれど背ビレがみえる

私が見ていると

人に思いっきりぶつかりよたよたしてしまった

顔を上げた

イルカが水面から飛び出そうとしている瞬間が見える

視力も、見えなくなってくる

イルカは、

……………見れなかった

目の前は、もう真っ暗だ

手を伸ばすけれど、四季くんの体に当たらない

しゃがめば、

四季くんがいた

By四季

………嘘だ

嘘だ、嘘だ

結亜ちゃん

イルカショーと全く違う場所を見てる

察したよ

見れなかったんだ。イルカを…………

悔しいさと悲しさと後悔で涙が出てくる

顔を見られたくなくて、しゃがんでしまう

人に、見られたくない

返事をしたい

でもできない

結亜ちゃんは、とうとう目も見えなくなっちゃったんだ

誰かに掴まれる

横を見れば困った顔をした結亜ちゃん

やっぱり、見る方向に違和感がある

もう、見えないんだ

ごめんなさい。ごめんなさい

ぼくが、はやく気づいていれば、見れたかもなのに！

笑いかけながら、そう言った

ピコンと音がした

見なくてもわかる。もう、完全に視力は、失った

なんで！結亜ちゃんはこんな目に！

みんながこっちに走ってきた

ぼくは耳を貸してと言い五河に伝える

みんなで結亜ちゃんの杖になりながら、あの家へ帰ったんだ

By結亜

私はひとり、病院の病室にいるの

視力が見えないから、家にいるのは少し危ないんだって

暇だから、三月くんの創った音源を聞いているの

実は、三月くんは秘密の歌い手、『Luck』さんなんだよ

この会話も、もう聞こえなくなっちゃうんだ

恐る恐る聞いているのがわかる

この幸せが、無くなるの？

そんなの、嫌だ、嫌だよ