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LINE４１６

第1話 - あ

2023年03月10日

#恋愛

結城真矢

アン

あんた貧乏のくせにムカつくんだけど！

ミカ

え？

ミカ

アンちゃん、いきなりどうしたの？

アン

そういう態度がムカつくの！

アン

優等生ぶっちゃって！

ミカ

そんなこと言われても…

ミカ

私はまじめに勉強してるだけだよ？

ミカ

というか、勉強しかできないし…。

アン

わかってるじゃない！

アン

その勉強できますアピールがうざいの！

アン

生徒会長だからって先生からもチヤホヤされて

アン

いい気になってるんでしょ！

ミカ

いや、いい気になんてなってないよ

ミカ

それに生徒会長だからってお手伝いも

ミカ

たくさんお願いされるんだからいいことばっかじゃないよ

アン

そのマウントがうざい！

ミカ

アンちゃんのほうが友達も多いし

ミカ

学生生活楽しんでるなって思うよ

アン

そんなのわかってるわよ！

アン

でも貧乏のくせに成績良くって

アン

国立大学に合格したんでしょ？

ミカ

そうだけど…。

アン

それが気に入らないの！

アン

貧乏は貧乏らしく高卒で働きなさいよ！

ミカ

大学卒業したほうが後々の給料いいし…

ミカ

なにより国立大学は安いから

ミカ

そこに行けるように勉強頑張ったんだよ

ミカ

アンちゃんみたいに私立大学に行くのは

ミカ

私の家庭の事情でできないからね

アン

当たり前でしょ！？

アン

私のパパは社長なんだから！

アン

あんたみたいな貧乏が行ける学校じゃないわよ！

アン

そこに通う学生はみんな金持ちなんだから！

アン

もう入学前にさっそくパーティーがあって

アン

参加してきたんだ～！

ミカ

そんなのあるんだ…。

アン

あんたには知らない世界だろうけど！

アン

ホテルのレストランを貸し切ってやったわよ～

アン

羨ましいでしょ！

ミカ

はぁ…

アン

SNSでも大学のキラキラした生活を発信している人が

アン

たくさんいて今から通うのが楽しみ！

ミカ

楽しみなのはいいね

ミカ

私も大学生活楽しみだよ

アン

え？

アン

あんたのSNS、勉強のことばっかりなのに？

アン

そんなやつらが集まる学校でしょ？

アン

めっちゃキモイじゃん！

ミカ

そんな…

ミカ

勉強すると新しいことが知れて楽しいよ？

アン

あーガリ勉乙ｗ

アン

社会で生きていくには社交性のほうが大事よｗ

ミカ

確かに社交性も大事だね

アン

でしょ！

アン

だから卒業式の答辞も社交性があって

アン

みんなから慕われている私がするべきだと思うの！

ミカ

え？

アン

私に答辞を読むのを譲りなさいって言ってんの！

ミカ

なんで…？

アン

あんた頭いいくせにバカなの？

アン

あんたの答辞を聞きたい人がいると思ってるわけ？

アン

みんな私が読んだほうがいいって言ってるよ！

ミカ

そうなんだ…

ミカ

でもさすがに譲れないよ

アン

はぁ？

アン

わけわかんない！

アン

いじめられてもいいわけ？

ミカ

いじめはダメだよ…

ミカ

でも答辞は譲れない！

アン

ムカつく！

アン

勉強しかできないくせに！

ミカ

ごめんね

アン

はぁ！？何に謝ってるわけ！？

アン

謝って許されるわけないだろ！

アン

どうなっても知らないからね！

アン

ちゃんと覚えておけよ！

～数日後～

ミカ

あんなこと…さすがにひどいよ…

アン

なに？

アン

なんのことかわからないけど？

ミカ

なんでよ…！

ミカ

体育の授業の合間に私の制服をビリビリに破いたでしょ！

アン

えー？

ミカ

それだけじゃなくてスマホも画面割られてたんだけど！

アン

そんなの私がやった証拠ないじゃん～！

ミカ

アンちゃんが体育の授業サボったの知ってるし、

ミカ

アンちゃんとよく一緒にいるトモちゃんの2人だけが

ミカ

体育の授業にいなかったんだから2人がやったのは明確よ！

アン

それはあんたの推測でしょ？

アン

私に押し付けないでよ～！

アン

っていうか、制服ビリビリになったんだｗ

アン

じゃあもう答辞もできないね～ｗ

ミカ

なんで答辞できないと思うの？

アン

だってあと1か月ちょっとで卒業なのに

アン

新しい制服買うなんて貧乏なあんたには無理でしょｗ

アン

制服着てない人が答辞なんてできるわけないじゃん～！

ミカ

あぁ、そういうこと…

ミカ

それなら問題ないよ

アン

はぁ！？

アン

なんでよ！

ミカ

1月はもうあと1週間で2月はほとんど登校もないから

ミカ

それだけのために新しくするのはもったいないってことで

ミカ

学校の備品として保管している制服を貸してもらえることになったの

アン

そんなのずるい！

アン

依怙贔屓じゃん！

ミカ

なにがずるいのよ！

ミカ

愛着ある制服をボロボロにされて悲しいんだよ

ミカ

できれば自分の制服で出たかったに決まってるじゃない

アン

これで卒業式出席できないだろうから

アン

ざまあみろって思ったのに！

ミカ

やっぱりアンちゃんがやったんだね

アン

ふん！

アン

証拠ないから私がやったって言ったって無駄だよ！

アン

それに担任は私のパパとも仲いいんだから！

ミカ

それで？

アン

なによ！

アン

まだ強気で入れるわけ？

アン

このままじゃもっとひどいことするわよ？

アン

あんたの家族も夜道には気を付けないとね～

ミカ

え…

ミカ

そんな脅ししてもいいと思ってるの？

アン

私の家はパパが社長で金持ちだって言ったでしょ！

アン

いろんな人たちとつながっていて

アン

言うこと聞いてくれる人もたくさんいるんだから！

ミカ

へぇ…

アン

こういうのを権力があるって言うんだっけ？

アン

優等生ちゃんは自分のことだけしかできないかもしれないけど

アン

私は周りの人を動かすこともできるのよ！

ミカ

すごいのはあなたのパパであってアンちゃんじゃないでしょ？

アン

うるさいな！

アン

パパは私のお願いなんでも聞いてくれるもん！

アン

とにかく、もうひどいことされたくなかったら

アン

私に答辞を譲ってよ！

ミカ

何度も譲らないって言ってるじゃん

アン

なんでよ！

アン

本当にどうなってもいいんだね！

アン

警告したから！

～卒業式当日～

アン

ねぇ、答辞まだ辞退しないわけ？

アン

先生に一言「辞退しますって言えよ！」

ミカ

はぁ…

ミカ

まだ言ってるの？

ミカ

辞退しないって言ってるじゃん

アン

そんな強気でいられるのも今のうちよ？

アン

今あんたんちにパパの部下を向かわせてるの

アン

卒業式に出れなくしてやるんだから！

ミカ

そんなこともうやめたら？

アン

さすがに怖気づいた？

アン

もう遅いから！

アン

自分のやったことを後悔したらいいわ！

ミカ

後悔するのはどっちかな？

アン

なによ！

アン

あんたに決まってるじゃん！

ミカ

アンちゃんがお父さんの部下さんに何をさせたいかはわからないけど

ミカ

私もう学校にいるわよ？

アン

は？なんで？

アン

早くない？

ミカ

生徒会長だから色々しないといけないのよ

ミカ

じゃ、最後の確認に呼ばれたから行ってくるね

ミカ

アンちゃんも遅刻しないように学校来なよ

アン

くそ！！！

～卒業式終わり～

アン

ちょっと！！！

アン

あんたなんてことしてくれたのよ！

ミカ

あ、アンちゃん卒業おめでとう～！

アン

しらばっくれんじゃない！！！

アン

あんたのせいでとんでもないことになってるんだけど！

アン

なんで今まであんたにやってたこと動画に残してたのよ！

アン

それにそれらをクラスのグループラインにあげるなんて…！

アン

ひどいじゃない！

ミカ

だってアンちゃんが覚えとけって言ったじゃん

アン

へ？

ミカ

私、興味ないことは全く覚えられないから

ミカ

動画に残しておいたんだ～！

アン

あり得ない！！！

ミカ

えー？

ミカ

覚えておけるように考えたのに…

アン

白々しいのよ！

ミカ

まぁ、そうよね。

ミカ

後々有効に使えるかなって思って撮っておいたの

ミカ

正解だったよ～

アン

グループラインだから誰でもダウンロードできるんだよ！？

アン

TwitterとかSNSにあげられて炎上したらどう責任取ってくれんのよ！

ミカ

あぁ。すでにTwitterには上げられてるよ？

アン

へ！？

ミカ

炎上するのは時間の問題じゃないかな～

アン

だ、だれが上げたのよ！

ミカ

それは知らないかな

ミカ

私がアップしたのはラインまでだし

アン

だからなんでそんなことしたのかって言ってんのよ！

ミカ

あんなことされ続けて私が大人しく黙ってるって本気で思ってたの？

アン

え？

ミカ

制服をボロボロにされただけじゃなくて

ミカ

教科書とかバックにもいたずらされてたし

ミカ

挙句の果てにはストーカー行為するようにもしていたでしょう？

ミカ

夜歩いていたら後ろから追いかけられて怖かったんだから！

アン

だって…！

ミカ

それに、家のポストにあなたが加工した

ミカ

私へのいたずら写真投かんしたでしょ！

ミカ

すぐに両親を説得できたからよかったものの

ミカ

違う人に見られてたらとんでもないことになってたわよ！

アン

そ、それがなんだって言うのよ！

ミカ

いや、それが悪いことだってみんなわかってるから

ミカ

動画が拡散されてるんでしょ？

ミカ

簡単に言ってしまえば犯罪行為スレスレって言うか

ミカ

完全にアウトなものもあるよ？

アン

そんな…

アン

これ大学入学停止とかになったりしないよね…？

ミカ

さぁ？

ミカ

それは大学に聞いてみないとわからないかな～

アン

そんな…

アン

と、とりあえず家に帰ってパパに話さなきゃ！

アン

私が嵌められたんだって！

ミカ

いやいや。

ミカ

あんたの自業自得でしょ

ミカ

それに家帰っても意味ないわよ～？

アン

はぁ！？

アン

なんでよ！

アン

って、えぇ！！！

アン

なんか家に入ろうと思ったら黒服の男の人がたくさんいるんだけど！

ミカ

あ、もう家の近くにいたんだｗ

ミカ

それ、私の母の実家のボディーガードさん達ね

アン

へ！？

アン

なんでボディーガード！？

ミカ

私のお母さんのお父さん、つまり私のおじいちゃんは

ミカ

アンちゃんの親の会社のホールディングス会長なんだ～

アン

はぁ！？

ミカ

今の状況を家で相談してたら、私よりも母のほうがキレててね～

ミカ

で、私から言うのもなんだけど

ミカ

私のおじいちゃん、孫バカなんだよねｗ

アン

だ、だからなんなのよ！

ミカ

私がされてることをおじいちゃんに言ったら

ミカ

めっちゃ怒って訴えてやるって大変だったんだ

アン

そんな…

ミカ

これでも今日まで抑えてあげたんだから感謝してよ？

ミカ

私が直接やり返したかったからね～

ミカ

おじいちゃんには我慢してもらってたの！

アン

私はどうなるのよ！

ミカ

ボディーガードさんには警察に突き出すよう伝えてあるから

ミカ

警察のお世話になるんじゃないかな～ｗ

アン

え！！！

アン

そんな！？

ミカ

あ、そうそう。

ミカ

あなたのお父さんのこともおじいちゃんはしっかり調べたらしくて

ミカ

裏の人間ともたくさん繋がっていて

ミカ

お父さん本人も会社のお金を横領したりしてたみたいだから

ミカ

証拠も全部揃えて警察に突き出すって！

ミカ

もちろん、社長はクビね！

アン

へ！？

アン

社長なのにクビなの！？

ミカ

そりゃ、あなたのお父さんが立ち上げた会社じゃなく

ミカ

所詮役職としての「社長という肩書だったもの」

ミカ

退くのは当たり前でしょ

アン

そんなぁ…

ミカ

慰謝料もしっかり払ってもらうからね！

アン

え！？

アン

お金取るの！？

ミカ

何言ってんの…

ミカ

誠意見せてもらわないと

アン

私お金ないよ！

ミカ

じゃあ働いて返すことね

アン

大学は！？

ミカ

行けないんじゃない？

ミカ

お金かかるし

アン

そんな…

アン

私のキラキラな大学生活が…

ミカ

自業自得よ！

ミカ

ま、親子そろってまずは警察にお世話になるんだから

ミカ

血は争えないってことよね

アン

そんなぁ…

～後日談～

ミカ

アン親子は家族ごと逮捕され、父親は罪が重く、

ミカ

実刑判決となった。

ミカ

もちろん会社としても問題となり、

ミカ

社長は辞任、会社は同じ子会社に吸収されることとなった。

ミカ

アンとアンの母親はなんとか免れたが

ミカ

地元では後ろ指をさされ生活がしていけないということで

ミカ

母親の地元に引っ越していった。

ミカ

ミカは大学生活を機に1人暮らしを始め

ミカ

学業や学友との交流を楽しんでいる。

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結城真矢

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