テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
※うりさん目線です
近すぎると思った。
それが、正直な感想だった。
隣の席。 購買。 タオル。
うり
自分でもわかってる。
わかってるのに、止まらないのが一番まずい。
うり
いや、勘違いされる以前に、俺が一番、勘違いしてる。
だから決めた。
少し、距離を置く。
隣の席でも、必要以上に話さない。
目も合わせすぎない。
それだけでいい。
…はずだった。
朝、教室。
あいつが先に来ていた。
のあ
いつもより、少し小さな声。
うり
返事はしたけど、それ以上、何も言わない。
前なら、
「寒くね?」
とか
「今日眠そう」とか
どうでもいいこと言ってたのに。
黙るだけで、こんなに落ち着かないとは思わなかった。
授業中。
あいつのシャーペンの音が、
途中で止まる。
うり
…いつもなら、替えを出してた。
でも今日は、出さない。
我慢。
横目で見ると、あいつはペンケースを探って、 見つからなかったのか、小さな息を吐いた。
胸の奥が、きゅっとなる。
うり
自分に言い聞かせて、前を見る。
昼休み。
珍しく、あいつが誰かと話してない。
一人で弁当を開いてる。
声、かけたい。
でも、かけたら意味がない。
そう思って、スマホを見るふりをした。
…なのに。
のあ
呼ばれた。
心臓が、変な音を立てる。
うり
のあ
一瞬、言葉に詰まる。
気づかれてた。
うり
できるだけ、平坦に返す。
のあ
のあ
あいつはそれ以上聞いてこなかった。
でも、少しだけ、寂しそうに見えた。
うり
放課後。
今日はすぐ帰ろうと決めてた。
これ以上、同じ空間にいたら、何もかも無駄になる。
立ち上がった瞬間。
のあ
…また。
うり
のあ
責めるでもなく、ただ事実を言う声。
うり
嘘じゃない。
”距離を取る"っていう用事。
のあ
それだけ言って、あいつはノートに視線を落とした。
引き止められなかったことに、少しだけ、ほっとする。
…のに。
教室を出る直前、あいつが小さく言った。
のあ
足が止まった。
振り返ると、不安そうな目。
それを見た瞬間、全部、どうでもよくなった。
うり
即答だった。
のあ
言いかけて、あいつは口を閉じる。
続きを、待ってしまう自分がいる。
でも、あいつは首を振った。
のあ
その一言が、思ったより刺さった。
家に帰って、ベットに倒れ込む。
距離を取ったはずなのに、 頭の中は、あいつのことばっかりだ。
静かだった教室。 気づいた声。 寂しそうな目。
うり
距離を取れば楽になると思ってた。
逆だった。
近くにいないことで、 どれだけ当たり前みたいに支えてたか、嫌でも分かる。
うり
小さく呟く。
好きって言わない。 触れない。 期待させない。
それだけ守ろうとしてるのに。
それでも、 あいつが不安そうにするのは、耐えれなかった。
ー結局。
俺が一番、この距離に縛られてる。
明日も、隣の席に座る。
何もなかった顔で。
でももう、 「離れれば大丈夫」なんて、思えなくなってた。