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他人のくせに

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他人のくせに

第1話 - 他人のくせに第1話

567

2020年10月24日

#ミステリー

#サスペンス

#家族

冷血アッシュ

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567

冷血アッシュ

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他人のくせに
#1 他人のくせに第1話 / 冷血アッシュ

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恭治

また昨日の飯の残りかよ

唯穂

文句があるなら自分で作りなさい

恭治

飯を作るのは母親の仕事だろ？

恭治

どうせ家でごろごろしてるだけの

恭治

暇な専業主婦のくせに

唯穂

恭治、いい加減にしなさい

唯穂

親に向かってそんな言い方

夢莉

恭治、行くよー

唯穂

あ、夢莉ちゃん、朝ごはんは？

夢莉

いらなーい

夢莉

朝から肉じゃがとか無理

夢莉

購買でなんか買うから、お金

唯穂

夢莉ちゃん…

恭治

あ、俺の分も

恭治

俺も姉貴と学校で食うから

唯穂

…仕方ないわね。じゃあ、これで

夢莉

1000円ぽっちかあ～

夢莉

まあ、いいか。行くよ恭治

恭治

うん

唯穂

恭治、シャツの襟が曲がってる

唯穂

裾もきちんと入れなさい

唯穂

帰りも寄り道しないで早く帰りなさいよ

夢莉

はあ、うざ

恭治

うるさ

唯穂

ちゃんと聞きなさい

夢莉

はいはい

夢莉

あーあ、朝から気分悪い

恭治

本当にウザいよな

夢莉

もう授業出るのもだる

聖也

おう、夢莉

夢莉

あ、聖也

恭治

聖也先輩、おはようございます！

恭治

（聖也先輩、カッコいいよなー）

恭治

（こんな人と友達って）

恭治

（やっぱ姉貴、すごいや）

聖也

おー、恭治

聖也

お前、また屋上来いよ

恭治

えっ、いいんすか！？

恭治

また遊びに行って

聖也

なんなら今日、これから来いよ

聖也

俺、今日授業出るつもりないし

夢莉

あー、聖也も？

夢莉

じゃあ、あたしもー

恭治

えっ…あ…

恭治

行きたいんすけど、でもさすがに俺は

恭治

まだ入学したてなんで

恭治

あ、じゃあ放課後いいすか

聖也

お前、真面目だなー

聖也

高校なんて、適当にやってりゃいいのに

夢莉

放課後までいるかはわかんないけど

夢莉

じゃあ来る前連絡しなよ

聖也

陵が喜ぶわー

聖也

あいつ、一人っ子だから

聖也

お前のこと弟みたいだってさ

夢莉

そうなの？ウケる

聖也

だろ？

恭治

あ、はい！じゃあ今日行きます！

聖也

はは。お前、犬みたいだな

恭治

…え？

恭治

先輩たち…それって…

聖也たちがタバコを吸っている。

聖也

なんだよ？お前タバコ見るの初めてか？

恭治

あ、いや…

恭治

うち、親父吸わないし…

聖也

はは。本当にウケるなお前

陵

最近は逆におっさんたち吸わなくなってるから

陵

僕らが代わりにのーぜーしてあげてんの

恭治

は、はあ…

恭治

え、姉貴も吸ったこと

夢莉がタバコをくわえて火をつける。

夢莉

普通に吸ってるよ

恭治

マジで？

夢莉

家だと吸えないんだよね

夢莉

あいつがうるさいし

玲奈

やだ～もう恭治くんってピュアピュア～

玲奈

タバコくらいでこんな騒ぐなんて

恭治

え…だって、え…？

聖也

みんな吸ってるって

恭治

え…ええーと…？

恭治

玲奈先輩も？

玲奈

玲奈は肌荒れ気にしてるから

玲奈

吸ってないだけ～

陵

あ、ほら

陵

恭治も吸ってみたら～

恭治

えっ

陵

その反応、マジいいな

陵

新鮮～！

玲奈

あはは、キョドってる～かっわい～

聖也

はは。なあ、恭治

聖也

お前も俺らと一緒にいるなら

聖也

こんなことでビビってんじゃねーよ

恭治

あっはい、すみません！

陵

ほら、吸ってみ

夢莉

大したことないって

恭治

じゃ、じゃあ…

恭治は差し出されたタバコをくわえた。

陵が火をつける。

聖也

お、せき込まないのな

玲奈

ほら～もっと吸い込んで～

恭治

ぐっ、ごほっ、うえ…

陵

どう？

恭治

…なんか、まずいっす

陵

あ～まあ最初はね

夢莉

あ、やば

夢莉

来たよ

夢莉たちは素早く出入り口の陰に駆け込んだ。

取り残される恭治。

教師

こら！そこで何をやってる！

恭治

え…え？

教師

タバコを吸ってたのか！消せ！

教師

お前、1年生か。名前は

恭治

あ…いや…

教師

とりあえず、生活指導室へ行くぞ。来い

恭治

（くそ、逃げ遅れた…）

恭治

（まあ、先輩たちは逃げられてよかった）

唯穂

本当に申し訳ありませんでした！

唯穂

ほら、恭治！

唯穂

あなたもきちんと謝りなさい！

恭治

…すみませんでした

教師

今回が初めてだったそうですが…

教師

何も処分なしというわけにはいきません

教師

3日間の停学処分となります

唯穂

はい、仕方のないことだと…

唯穂

気のゆるみもあったかと思います

唯穂

本人にもよく言って聞かせますので

恭治

（あーあ、面倒なことになったな…）

唯穂

一体何を考えているの

唯穂

学校でタバコを吸うなんて！

恭治

…………

唯穂

ちょっと、聞いてるの

恭治

うるせーな。聞いてるよ

唯穂

どうしてあんなことを…

唯穂

…まさかとは思うけど

唯穂

夢莉ちゃんもいたの？

恭治

いねーよ。姉貴は関係ない

唯穂

なら、どうして

恭治

うるせーな！

恭治

もう吸わねーよ！だからもういいだろ

唯穂

…停学処分だなんて

唯穂

お父さんに、なんて言えば…

恭治

黙ってろよ。それが一番平和だろ

唯穂

そういうわけにはいかないの

唯穂

はあ…今週末、法事もあるし…

唯穂

次から次へと、もう…頭が痛い

唯穂

せめて、法事の席ではきちんとしなさいよ

恭治

めんどいな。俺パスしたい

唯穂

いい加減にしなさい！

唯穂

そんなこと、できるわけないでしょ！

恭治

あーあ…めんどくせ

夢莉

恭治、災難だったねー

恭治

本当だよ…ついてない

夢莉

あたし、逃げろって言ったのにさ

恭治

うん…ごめん

恭治

あ、でも

恭治

誰にも姉貴たちのことは言ってないから

夢莉

わかってるよー

夢莉

聖也もあいつなら大丈夫って言ってた

恭治

え、本当？

夢莉

うん

恭治

そっかあ…

夢莉

だいたいさー

夢莉

タバコくらいで大げさなんだよね

恭治

だよね

夢莉

ところで、あいつ。なんて言ってた？

恭治

ぐちぐちうるさかったよ

恭治

親父にも言いつけるって

恭治

あー本当ムカつくー

夢莉

うわ、最悪だねー

夢莉

あ～法事とか、思った通りウザ

夢莉

タバコでも吸わないとやってられない

夢莉

恭治も吸うでしょ

恭治

う、うん

夢莉

結構吸い方サマになって来たじゃん

恭治

本当？

夢莉

うん

恭治

親父もあいつも親戚にぺこぺこして

恭治

本家ってそんなに偉いもんなの

夢莉

さあ？知らない

夢莉

会ったことない大叔父だかの

夢莉

法事だとか言われてもね

夢莉

かったるいだけ

恭治

──あれ、誰か来る

夢莉

やば、おっさんたちじゃん

夢莉

こっち、廊下の方に隠れよ

2人は慌てて隠れた。

親戚A

それにしても、あの子な

親戚B

挨拶もまともにできないのかね

親戚A

やっぱり唯穂さんも、実の子じゃないから

親戚A

育てづらいとかあるんじゃないの

恭治

（…え？）

恭治

い、今の聞いた…？

夢莉

うん

恭治

え…？

恭治

（実の子じゃ…ない！？）