嵌永優莉
ゔ…
寝苦しさで目を覚ます。
空はすっかり 太陽が昇っていて、
青色に浮かぶ白い雲が 午後が近い事を知らせる。
嵌永優莉
( げっ )
目の前にはぐーすか 寝ている甚爾の顔。
禪院甚爾
ん……、はよ
嵌永優莉
どけ
禪院甚爾
起きて第一声がそれかよ
抱き締められていた 腕から解放され、
私はそそくさと ベッドから出る。
歯磨きをして顔を洗い、 仕事着に着替えた。
禪院甚爾
なに、今日仕事?
嵌永優莉
そうだけど?
禪院甚爾
機嫌悪いな、低血圧か?
嵌永優莉
オメェのせいだよ💢
私が準備している間も ベッドに座っている甚爾。
くあっと呑気に 欠伸までしている。
禪院甚爾
朝飯
嵌永優莉
んなもん無い
そう甚爾の言葉を ひと蹴りして、
私はキッチンに吊るされた バナナを1本頬張った。
禪院甚爾
朝飯それだけ?
嵌永優莉
そうだけど
禪院甚爾
だからそんな細っこいんじゃねえの?
禪院甚爾
脂肪も筋肉も無えし、戦えんのかよ
嵌永優莉
対呪術師の甚爾と違って、私は対一般人だから
嵌永優莉
ボディガードがいる場合もあるけど
嵌永優莉
ちょ、どこ触ってんの
そう説明していると、
いつの間にか 立ち上がっていた甚爾が
私の横腹に手を当てている。
禪院甚爾
うっす
禪院甚爾
ほら、手で覆える
嵌永優莉
去ね
禪院甚爾
いでっ
私の腹に置かれた両手に 強めにチョップをすると、
顔をしかめる甚爾。
こんなの避けられるだろうに。
嵌永優莉
( ほんと、何考えてるのか分からない )
嵌永優莉
おら、行くよ
禪院甚爾
へーい
甚爾の肩を叩いて 玄関に向かう。
外には既に送迎の車が 停まっていた。
孔時雨
2人ともおはようさん
嵌永優莉
もう甚爾が居ることに驚かないんだ
孔時雨
慣れだな
嵌永優莉
はぁ…
禪院甚爾
いってらー
嵌永優莉
ありがとうも言えねえのかテメェは!!!
これが、私の一風変わった 日常である。