_A国付近の小山
ハル
……………
クロノア
うーっわ………ホンット君達って馬鹿力だよね…
クロノア
泡吹いて倒れちゃったよ?此奴…引き摺って移動させなきゃなー
クロノア
取り敢えず死なせない為にも…止血からかなぁ……
クロノア
……救援隊呼ぶのもあれだしそこら辺の木の棒と池の水で良いかな!()
紗佳
…………
花流
……なぁ、此奴の何がそんなに気に触るんだ?
花流
お前、昔此奴に何をされた
ハル
………お願いだから思い出させないで
ハル
片隅だけ思い出しても虫唾が走る
ハル
そうなると私は此奴を今すぐにでも殺すことになる
花流
はぁ……分かった、これ以上詮索しない
花流
だからまずその殺意を抑えてくれねぇか…
ハル
…………あぁ……ごめん
ユウ
(………普通に怖イ)
ユウ
(いつものハルじゃナイ…今のハルは、ただ復讐相手を殺そうとする殺意の塊ダケ…)
ユウ
(………しのかァ〜……早く調べ上げてヨォ…)
花流
にしてもなぁ、殴って気絶させることは無かったんじゃねぇか?
花流
此奴歩かせた方が楽な気がするんだが
ハル
此奴があそこで一言も喋らなかったらそうしてた
ハル
ただ、あの勘違いの発言に腹が立ったから
ハル
…………彼奴の声なんて一言も聞きたくないんだよ
ハル
殺すのがダメと言われたけど気絶させるなとは言われてない
花流
(こいつ…案外余裕無いのか……?)
花流
……あぁ…そうかよ
花流
(いつも俺たちに話しかけてる声じゃないし、今は無理矢理抑えて話してる感じがする)
花流
(………意外と短気なのかもな)
ユウ
花流ー、こっち手伝ッテー!
花流
あ?なんで……
ユウ
こいつ地味に重イ
花流
あぁそう………いや紗佳いるじゃん
ユウ
ライフル持ってるカラ
紗佳
……………ん…
カチャ(ライフル)
花流
………難しいんだな
花流
分かった、ならユウは上持ってくれ
ユウ
エー!!
花流
手伝えっつったのお前じゃん!!
ユウ
いやそーだけどサァー!
花流
駄々こねんな年上のくせに!!
ユウ
年上マウントした事無いジャン!!
花流
そうだっけ?
ユウ
嘘デショ()
クロノア
……ねぇ花流さーん?そっちは任せて俺はもう終わりでいいんだよね?
クロノア
俺はどうした方がいい?
花流
あ?あー、何もねぇし帰れば?
クロノア
え"………あ、はーい
ハル
クロノアさん
クロノア
ん?
ハル
このことはどうぞ他言しないよう
ハル
懸命なご判断をして下さることを願います
クロノア
(つまりは他の人には黙っとけと…)
クロノア
うん、分かったよ
クロノア
報告書にはあげないから、その怖い目付きをこっちに向けないでくれるかな…w
ハル
…………すみません
ハル
どうも今は制御が出来ないみたいなので、出来れば早めにここを離れて頂いても?
クロノア
うん…そうだね、そうした方が良さそうだ
クロノア
俺も報告書書かないとだし
ハル
あぁ、そうだ…1つだけ
クロノア
え、何?
ハル
報告書もそうですが、貴方の仲間もそうですよ
クロノア
(…バレた……こっそりぺいんとに伝えようと思ったのに…)
クロノア
…………分かってるよ……(笑)
クロノア
絶対に他言無用、でしょ
クロノア
あ、そいつは出来れば生かしててくれたら嬉しいな〜
ハル
…………保証は出来ませんが
クロノア
はは、だと思ったよ(笑)
クロノア
まぁいっか……一応彼奴の一存はそっちに任せる
クロノア
じゃ、俺は行くよ………またね、ハル
ハル
………えぇ
ハル
お気をつけて
_F国地下
花流
んで?此奴は結局どうする訳?
ハル
そうだね〜……取り敢えず治療…は………一応させといて
花流
(したくないんだな)
ハル
死なない程度で傷が塞がったならそこの椅子に縛っといていいよ
ユウ
わざわざ縛っとくノ??
ハル
うん、お願い
花流
………分かった
しのか
ハル
ハル
あれ、しのか
ハル
こっちに来て良いの?
しのか
あっちはもう大丈夫、僕が何か言わなくても確実に勝てる
ハル
そっか、なら安心だね
ハル
皆も成長したなぁ〜………
ハル
新人の子達は大丈夫だったかな、多分怪我した子が多いんじゃない?
花流
いや、案外怪我人は少ない
花流
あってもかすり傷程度が多かった
ハル
へぇ〜、何かあった?
花流
……副隊長含めた昔からの兵がカバーしてた
ハル
………副長達が?
しのか
ただでさえ本来の実力を存分に発揮出来てないから
しのか
相手側へのちょっとした悪戯らしい
ハル
……イタズラ
しのか
新人が敵兵にやられそうな所でカバー、庇って入る
しのか
かすり傷で収まるようにわざわざ調整して、相手を若干怯ませる
しのか
その隙を狙って叩く……という戦法らしいよ
しのか
全く何処の誰に似たのか…分からないね
ハル
……そうだねー、誰に似たんだろうね…
ハル
…………私は自身を犠牲にして戦えなんて一言も言った記憶はないんだけどなぁ…
ユウ
ハルが何してもいいって言ったからジャン
花流
お前がなんでもいいって言ったからだろ
紗佳
………コクコクコク
しのか
多分ハルの「何でもアリ」が原因じゃないかな
ハル
………えぇ……?嘘でしょ?
ハル
私のせい…?()
しのか
ハルのせいでもあるかな
ユウ
実質ソウ
花流
そうだな
紗佳
…………た…ぶん……?
しのか
ただ1番の原因は全員に当たる木刀が無かった事だと思う
しのか
剣を鞘に入れたままだとやりずらいのもそうだし、きっとストレスがあったんだろうね
しのか
だからちょっとした解消にイタズラ…ハルの言葉もあったから、尚更やる気になったんじゃないかな
ハル
………それ私の言葉がトリガーみたいだって事?
しのか
そうなるかな
ハル
………
ハル
ま、重傷者がいないならそれでいいかな
ハル
でも後で副長達を集めててくれる?花流、ユウ
花流
分かった
ユウ
オッケ〜
しのか
それで、ハル
ハル
ん?
しのか
本題に入りたいんだけど、誤魔化さないでくれる?
ハル
…………はぁ……あまり深追いしないよう言ったはずだったんだけど
しのか
僕個人の興味、そして今後のカデルの処置を考えるのには必要と判断しただけ
しのか
ハルを問い詰めようなんて思ってないよ
ハル
……はぁ…分かった、聞くだけ聞くから
しのか
ん、ありがとう
しのか
……初めに言うけど
しのか
ハルは昔、実験体だったんだね?
ハル
…………ニコ
しのか
その笑顔も、“親だった人”の入れ知恵
ハル
…………………
しのか
時々見せる子供の振る舞いと他者に対して見せる大人な振る舞い
しのか
明らかな違いがある
しのか
まるで他から様々な仮面を借りて来たかのようにね
ハル
………そんなに違う?(笑)
しのか
……うん
花流
俺らも思ってたよ
花流
猫被るどころじゃない、明らかに別人のようだってな
花流
俺らの前とあの有四国の奴らの前とでは全くの別人だ
花流
俺らはそんな芸当出来ない
花流
だから不思議でたまらないんだ
ユウ
ここの人らに関してはまるで妹や弟に話しかける様な言い方ばかりだもんネ
ユウ
紗佳みたいニ
紗佳
………………
ユウ
……イヤ、あの…ゴメンッテ……そんな突かないデヨ…
ハル
………あー…そっか……やっぱり、私はあの人とは違うんだね…
ハル
あの人にもなれない……分かりきってたはずなのに、なぁ…
しのか
………親、なんだね
しのか
「記憶移植」の元は
ハル
…………そこまで調べたんだ
しのか
たまたま、あのX国の地下火災の記事を見つけたんだ
しのか
僕や他と出会った時と火災があった時を照らし合わせて、なんとなくこれが関連されてるんだって
しのか
そしたらビンゴ
しのか
ハルと似たようなものを見つけたよ
ハル
……全部焼いたはずだったんだけど…やっぱ、証拠全てを綺麗にするのは無理があったかなぁー…
しのか
……それで
ハル
………ふふ、しのかが調べ上げた通りなんじゃない?
しのか
じゃぁ、やっぱり
ハル
それでも私は私だよ
ハル
例え記憶が複数あっても、主な記憶は私だ
しのか
………親…いや、両親…
ハル
………正解
ユウ
エ、ちょっと待ッテ…?
ユウ
じゃぁ今ハルは人生3週目みたいな感じナノ?
ハル
うん、まぁそうなるかな
ハル
2つの40年間の記憶と私の14年間の記憶
ハル
今の私の脳内は、3等分に分けられてるような感じだよ
紗佳
……3…
しのか
ハルの生みの親なら尚更……
しのか
辛くないの?それ
ハル
これで良かったんだ
しのか
……………
しのか
無論、ここまで言ってるんだから、聞かせてくれるよね?ハル
ハル
……ふふ、勿論だよ
ハル
そうだね……まずは1つ言おうかな
ハル
あの人達がこの記憶を持っていてくれたから、君たちが今此処に居ると言っても過言じゃないよ
花流
……んだそれ…?
紗佳
………どぅ……いう…?
ハル
両親は研究員達に私を産んだ事すら話話さず、彼らは私をただの外から連れてきた野良の子供程度の認識だった
ハル
何故2人は言わなかったのか
ハル
その研究を、壊したかったから
ユウ
………両親も研究員だったんだヨネ?
ユウ
でもなんで自分の研究している物を壊すノ?
ハル
気持ち悪かったんだよ……その研究も、研究員達も、何もかもが
ハル
確かに、自分から参加した研究だった
ハル
でも、それ以前に
ハル
実験体の子供達をただの道具として見る、壊れたら捨てるようなクズな思考を持つ大人達が
ハル
……2人は大嫌いで、見ていられなくなった
ハル
だから壊したかった
ハル
全てを無に返そうと、ここで亡くなった子供達を解放させようと話し合って
ハル
ただそれを一介の研究員が簡単に出来るものじゃない
ハル
常に監視されているような状況下で下手な動きをすれば口止めとして殺されるのは目に見えていた
ハル
だから、私に託した
ハル
2人の実の子供であり、実験体であり、唯一の成功体
ハル
『人工兵器』にね