報われない俺ら

ブルーロックの御影 玲王とアレクシス・ネスの話

AM7:00 食堂

心当たりがなく尋ね返すと凪は自身の目元を指さす

目を擦りながら口を開ける凪に体が固まる

恋心を自覚してからの俺はなんだが可笑しくなった

絶対に実らない片思いの相手からの過度なスキンシップは辞めて欲しいんだよ……！

内心そう叫ぶが凪は俺を見て首を傾げると

だなんて言うものだから

口に料理を突っ込むと凪は咀嚼し嚥下する

目を閉じ、口だけ動かく凪の顔に前髪が掛かる

前髪を払ってやろうて手を伸ばした時

飛び起きられ、届かなかった手が俺の元に戻る

今の俺は上手く笑えているのだろうか

頬が引き攣っているように感じる

凪の声を遮り立ち上がる

早歩きで食堂を出た

前方から、というより他の棟と繋がる道から誰か歩いてきた

癖毛の2色の髪の……

前のヤツは俺に気づいていないのか憔悴し切った顔で此方に向かって来る

ふらりとよろけ、咄嗟に支える

首を傾げられ、俺を見る此奴をじっと見る

その幼さを残した顔が可愛らしく見えた

アレクシスは体制を立て直すと服を払った

憔悴した顔のまま去ろうとするアレクシスの手を掴む

濃い隈に酷い顔色

トイレを指し顎を引く

そういえば凪のヤツもなんかそんなこと言ってたな……?

ネスの隣に並び、歩くが俺らは何一つ喋らなかった

鏡に映る自分自身に溜息をつくとネスは目元をそっと拭った

かくいう俺の顔を酷いものだった

目の下にべっとりと張り付いた隈に青白い肌

少し頬が痩けているようにも見えるかもしれない

コンシーラーと肌を見比べるネスに感嘆の声が上がる

ネスがコンシーラーを塗ろうとした時、

「ネス、その顔で練習できるわけが無いだろう」

現時点のナンバーワンストライカーのノエル・ノアだ

向けられた視線に困惑するがノアは知らぬ顔で淡々と話す

ノアの声に押し黙るネスの表情は悔しそうだ

唇を噛むネスを無感動な目でノアは見ると再度休めと言ってくる

イングランド棟・ドイツ棟 合同練習

頬杖をつきながらミヒャエル・カイザーを見つめるアレクシスに話し掛ける

アレクシスは俺を一瞥するし、視線を元に戻した

尋ねてみればアレクシスは体を震わせ唇を噛んだ

腹立たしそうな目で睨んでくるアレクシスに首を横に振る

1発で当てられ苦笑する

突然語り出した俺に一瞥もくれること無くミヒャエル・カイザーを見るアレクシス

凪を見つめ、目を細めた

アレクシスは羨望の視線をコート上を駆け回る潔に向けると目を閉じた

アレクシスはそう言うと俺を見て微笑んだ

酷く寂しそうで哀しげな笑みだった

涙を堪えているような表情に俺の緊張が溶ける音がした

俺らは目を合わせて

報われない恋心を抱く同士の同盟を組んだ