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嫌いだったはずなのに

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嫌いだったはずなのに

1 - 嫌いだったはずなのに

♥

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2024年07月07日

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ないこ

っはぁ……

初兎

ないちゃん?どうかしたん?

ないこ

いや、なんも。ちょっとコンビニ行ってくるわ

初兎

おっけー

今日はどうも体調が悪くやる気がでない。そんな俺に気づいた一緒にいたしょにだが声をかけてくるがそれに生返事をして事務所を出た

ないこ

…はぁ、

頭が痛く体がだるい。少し熱っぽい感じもするし食欲もあまりない 明らかに今の自分の体はおかしい

逃げるように外に出てきてしまったが正直今の俺にコンビニに行けるほどの力は残っていない 体をかばいながらゆっくり歩くだけで精一杯だ

???

ないこ?

ないこ

…、だ、…れ……

そんな俺の前に現れたのはある男

身長は高く青色のパーカーを着ている、最初まろかとも思ったがまろは今事務所にいる。まろなはずがない それに声も、聞いたことのある俺の大嫌いな相手

ここで目の前は真っ白になり俺の意識はなくなった

正直驚いた。なぜ彼がこんなところにいるのかと、まさか恨まれている人間と道端で会うなんて誰も思わないだろう

驚いて思わず名前を呼ぶと俯かせていた顔をあげて力のない声を出すないこに先程とは違う驚きを隠せなかった

顔は真っ青で寒そうに体を震わせているのに汗をかいている。誰が見ても体調が悪いとわかるような状態だ

そんな中一人で外をほっつき歩いていたのだろうか、倒れたらどうするつもりだったのだろうか そんなことを思いながらもないこが心配で声をかける

ポケカメン

ないこ、体調悪いの?大丈夫?

ないこ

……

ポケカメン

…ないこ?

ないこ

……、

ポケカメン

!!

声をかけても応答せず俺のことすらも見ていない虚ろな目をしたないこの顔を覗こうと体を曲げようとするとないこが俺の方に倒れてきてぼすっという音とともに俺の胸にないこの顔が当たった

勢いがすごくて少し後ずさりながらも人並みはある体感で持ちこたえないこの背中に腕を回し声をかける

ポケカメン

ないこ、!

ないこを支えながらその場にしゃがんで顔を見れば顔を見た時よりもさらに顔を青くして必死に呼吸をしていた

幸いなことに今はまだ早朝で人通りはいつもより少ないが昼間は人通りがとてつもなく多くなるからこのままじゃまずいと思いないこをおぶった

ポケカメン

よいしょ、

ないこ

……

ないこをおぶって家に帰り寝室のベッドに寝かせ布団をかける。さっき倒れた時より表情は少し柔らかくなったがまだすごく辛そうで心配になる

運が良かったのか悪かったのか自分が最近体調を崩してメンバーが買ってきてくれた冷えピタが残っていたので冷えピタをないこに貼って様子を見ていた

ないこ

ん……、

ポケカメン

あ、!ないこ、起きた?

ないこ

……なっ、!!

冷えピタを貼ってから約一時間弱程たった頃ないこが目を覚ました。声をかければ最初は状況が理解出来ていないような顔をしたがすぐに表情を一変させて勢いよくベッドから降り俺から距離をとる

それはそうだ。俺はないこの事を晒し、嫌われているんだからこんな反応をされるのは当たり前だろう

ポケカメン

…ごめんね、びっくりするよなそりゃ…

ないこ

…なんで、お前が……っ、

ポケカメン

!ないこ、!!

ないこが声を発した途端また辛そうな顔をしてないこは膝から崩れ落ちる。思わずないこに駆け寄りまた拒絶されるかと思ったらそんな余裕はなかったようで辛そうに頭を抱えている

ポケカメン

今動いても辛いだけだよ、ベッドで休んでくれていいから

ないこ

…だれが、お前なんか、……

ポケカメン

いいよ、俺の事嫌いでいいから信用してくれなくていいからお願いだから一回休もう?今無理してどうするつもりだよ、

と声をかければ嫌そうだが渋々頷いてくれたのでないこの腕を肩まで回してベッドに運んで頭に響かないようゆっくりと寝かせる

ポケカメン

体調どんな感じ?

ないこ

…頭が痛い

ポケカメン

それだけ?

ないこ

ポケカメン

わかった、とりあえず熱測ろっか、できる?

ないこ

…うん

ないこに体温計を渡しないこに体温を計ってもらう。数秒後測り終えた音がなりないこから体温計を受け取り結果を見れば38.2と表示されていた

ないことあった時より今の方が確実に顔色はよくなっているため今よりあの時のほうが熱は高かったはずなのに今も高熱と言っていいほどある体温に驚きを隠せない

ポケカメン

…食欲ある?まぁどっちにしろ薬飲まないとだからなんかお腹に入れないと

ないこ

普通、なんでもいい…

ポケカメン

わかった、コンビニのお粥があるから温めてくるね、ゆっくりしてて!

ないこ

…ん

ポケカメン

はい、温めてきたよ

ポケカメン

本当は作った方がいいんだろうけど俺そういうの出来なくて…ごめんね

ないこ

…別に、どうでも

ポケカメン

そっか、じゃあ…はいあーん

ないこ

いやいや、自分で食べれるから…!

ポケカメン

ん、そう?じゃあいいけど。熱いから気をつけてね

ないこ

うん…

体調が悪いのはもちろんだがきっとこんなにも元気がないのはそばにいるのが俺だからだろうな

確かにないこは大人な人間だ、でもきっとメンバーの人たちといる時はこんなに素っ気ない感じじゃないと思う

ポケカメン

…ごめんね

ないこ

…何が?

ポケカメン

いや、見つけたのが俺で…体調悪い時に嫌いな人間の顔とか見たくなかったでしょ?

ないこ

…ううん。メンバーに体調が悪いのを知られたくなくて逃げるように外に出たのは俺だし元はと言えば俺に問題があった

ないこ

見つけてくれて正直助かったし相手がお前だろうと見つけてもらえなかったら今頃病院に行ってメンバーとかに迷惑かけてた可能性だってあった

ないこ

ありがとう

ポケカメン

お粥を食べているないこに話しかければないこに感謝をされ戸惑う。俺は彼に感謝されるような人間じゃないから

ポケカメン

…ないこは、俺の事嫌い?

ないこ

…なんでそんなこと聞くの

ポケカメン

いや、別に…

ないこ

…嫌いだよ。大嫌い

ないこ

でも、知ってみたいって思った

ポケカメン

…?

ないこ

あの一件があってから俺の目に一切ポケカメンを入れないようにしてた。あの時の怒りがまた爆発しそうで怖かったから

ないこ

でも今こうやって話しててもあの時の怒りは感じないし少し居心地いいまである

ないこ

こういう静かなとこ好きなんだ

ポケカメン

…そうなんだ、意外だね

ないこ

まぁね、メンバーといると楽しくて自然とテンション上がってるけどこういう静かなの割と落ち着くんだよね

ポケカメン

なんか、同じだな…俺も素だとあんま喋んないからさ

ないこ

案外、悪い人じゃないんだな

ポケカメン

ん?なんか言った?

ないこ

いや、なんでも…お粥ありがとう

ポケカメン

ううん、こっちこそ急にこんなんでごめん

ポケカメン

えーっと……はい、これ飲んでまた寝てて

ないこ

いや、帰るよ。メンバー心配してるだろうし

ポケカメン

…今帰ってまた外で倒れたりしたらどうするつもり?自分一人で何とかできないでしょ

ないこ

うぐっ…

ポケカメン

わかったら大人しく寝てなさい。いれいすメンバーには……うーん…手段としてはXだけど俺ブロックされてるからな…

ないこ

じゃあ、俺の携帯……あっ、会社だ…てか財布すら持ってきてないじゃん俺

ポケカメン

…うちのメンバーに言ってX通じて連絡しといてもらうわ

ないこ

…ごめん。何から何まで

ポケカメン

いいよ、別に。申し訳ないとか貸し借りがどうとか思ってるんだったら気にしてくれなくていい。そういうの求めたりしないし

ポケカメン

しかも、ないこにそんなこと思われるような人間でもないしな、俺は

ポケカメン

じゃあ、俺いたら寝ずらいだろうからリビング行っとくね、トイレとかなんかあったら好きに動いてくれていいから。わからなかったらなんでも聞いて

ないこ

…わかった

ポケカメン

またね、おやすみないこ

そう声をかけ俺は寝室を出た

ポケカメン

……ありがとう、か…

そう呟きながらメンバーに連絡を入れるためスマホを開きながらリビングへと向かった

ないこ

ん…

ないこ

……いま何時だ…

敵対関係にあるポケカメンに倒れたところを救い出されベッドを使わせてもらって挙句の果てには看病されるなんて我ながら阿呆らしい

でもベッドの質はよくとても眠りやすかった。最近睡眠時間が少なかったこともあってか気分もよく体がスッキリしている

朝よりだいぶ軽くなった体と頭を動かしてベッドから降りポケカメンがいるであろうリビングへと向かった

リビングの扉を開けるとそこにはノートパソコンとにらめっこしているポケカメンがいた

編集でもしているのだろうか、俺が来たことに気づかず真剣な表情で音もなく物静かなリビングにキーボードの音を忙しなく響かせていた

名前を呼んでみれば少し驚いたように体をビクッとさせて俺の方を向き驚いたように目を開いたと同時に安心したような表情で駆け寄ってきた

そういえばポケカメンってビビりなんだっけ。グループチャンネルでのいつかの動画でそんなような話をしていた気がする

ポケカメン

体調どう?

ないこ

頭にちょっと違和感があるくらい、体はスッキリしてるしだいぶ落ち着いた

ポケカメン

そっか…よかった…

心から安心したように優しく笑うポケカメンに少し、ほんの少しだけ心臓の動機が激しくなった

こんな顔、する人なんだな なんて思っているとはっと何か思い出したような顔をしておもむろに携帯を取り出した

ないこ

なにしてんの?

ポケカメン

メンバーに言っていれいすメンバーに連絡入れてもらったら迎えに行く!って騒ぎ始めちゃったらしくて…まだないこが寝てるから今は無理、起きたら連絡するからって言ったんだよね

ないこ

ふーん…

ないこ

…ほんとに、ありがとう

ポケカメン

え?

ないこ

そっちのメンバー通じてまでしっかり話してメンバーを少しでも安心させてくれて、ほんとにポケカメンには感謝してる

ポケカメン

…そっか

俺の突然のお礼に腑抜けたような表情をし何を思ったのか体ごと顔を背けられてしまった

なにか気に触るようなことを言っただろうか、と心配になっているとこっちを振り向いて

ポケカメン

ポケでいいよ、ないこがいいならだけどね

と少し頬を赤らめながらまた見たことのない顔で笑ってそう言った

そんなポケカメンがすごく輝いて見えてまた心臓が激しく動き始める。心做しか心臓から体全体に伝うように体が熱くなっていく

そんな俺に不思議そうにどうしたの?と問いかけてくるポケカメンになんでもない、と声をかけた

俺が起きてきてポケカメンのメンバーのふぇにくろさんに起きたことを連絡してもらってから少したった頃、ポケカメンとソファに座って二人で話していると家のインターホンが鳴り響いた

ポケカメンと一緒に玄関まで行けばそこにはいれいすメンバーだけではなくふぇにくろさん以外のちょこらびメンバーまでいた

ポケカメン

…なんでお前らがいるの

ふぇにくろさんに連絡を入れてもらったからポケカメンの家までの案内人としてふぇにくろさんがいるのは俺でもわかるがまさかほかの四人のメンバーも来ているとは知らされていなかったらしく驚いた反面ムッとしたような顔でメンバーに問いかけていた

ふぇにくろ

ちょうどいい時間だしみんなで夜ごはん食べようと思って俺がメンバー呼んだ、まぁいいだろ?

ポケカメン

よくはないだろ

ゆぺくん☆★

ポケー家入っていい?

ポケカメン

お前はちょっとも待てんのか

ないこ

…ごめん。迷惑かけて

りうら

そんなこと思ってないよ、ないくんの体の方が大切だから

-hotoke-

思ってたより平気そうでよかった

初兎

朝から悪かったんよな、ごめん。そばにいたのに気づけなかった

ないこ

うん…ほんとにごめん

If

謝ることじゃない

悠佑

気にしてないしもうええよ、無事だったんやし

ないこ

……

ほんとに俺について来てくれたメンバーは素敵な人間だ。でもそれはポケカメンも同じなのかもしれない

性格も売り方も全く違うけど似ているところが多少あったり同じリーダーって言うのもあるのかもしれないがポケカメンと話している時間は楽しかった

If

…とりあえず会社戻ろ、そこで六人でごはん食お

-hotoke-

途中に食べ物屋さんあったらそこ寄ってもいいしね〜

でも、やっぱりメンバーはポケカメンのことが好きじゃないらしい

いや、俺がそうだった。俺がポケカメンの事が嫌いだったからメンバーからポケカメンを遠ざけてポケカメンの印象を悪くした

でも実際ポケカメンはすごく優しい人間だった。いや元々いい所があったことは知っていた でもあの一件から俺はポケカメンを憎いと思うようになってポケカメンのいい所から目を背け続けた

さくらくん。

何食べる?

ポケカメン

うちなんもないわ

かにちゃん

ええ〜じゃあ買い出し行くか〜

ポケカメン

そこまでして一緒に食べることなくない?

まいたけ

でもせっかく来たんだし食べよーぜ

ポケカメン

はぁ…、?

なんて呆れたような言葉を並べているがポケカメンの顔は幸せそうだった そんなポケカメンに声をかけると俺のメンバーはもちろんポケカメンにもちょこらびメンバーの方にも驚かれた

ポケカメン

なに?

ないこ

ほんとに色々ありがとう!

ないこ

あと、遠慮なくポケって呼ばせてもらうから!

ポケカメン

…!

ポケカメン

……ふふっ、うん!

ポケが笑う度心臓が跳ねてかわいいとふと思う

確かに俺はポケのことが大嫌いだった。でも今はきっと、俺はポケのことが嫌いじゃないんだと思うこの感情に今は名前をつけられないがきっといつか、ポケに対しての感情が移り変わる気がするから

ないこ

また、会おう!

ポケカメン

!…うん!またね!

嫌いだったはずなのに、俺の目に映るポケは輝いていた

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