暴走ガールは止まらないっ！

日曜日

俺はコーヒー片手に新聞を読んでいた

するとそのタイミングを狙って横にリードをくわえて座る犬

その言葉にワンッと一鳴きする

リードを着けると嬉しそうに玄関に向かって歩き出した

スマホの時計は9を指している

画面の上の方を見ると莉乃からのメッセージ通知が来ていた

リタというのは莉乃の愛犬だ

ミニチュアダックスで名前は莉乃と元カレの健太からとったらしい

由来知ったら父親が猛反対しそうだな…

髪をポニーテールにし動きやすい服に着替える

何だか、良いことがありそうな気がする

牡羊座最下位だったけど

少し警戒していたものの撫でると嬉しそうに尻尾を振り始めた

見渡して気付く

猛進してくる物体に

その物体はのし掛かりはしないものの

しゃがむ私の顔をベロベロと舐めまわしてきた

親友に助けを求めるも楽しそうに写真を撮っている

デカすぎるそれは恐らくライオンだ

今は舐めてくるだけだがガブリと噛むに違いない

横を向くとドン引きしたように視線をこちらに向ける男性がいた

その姿に胸が、跳ねる

ですよねーなんて莉乃と話している

ベスと呼ばれた物体は直ぐにお兄さんの側に移動した

二人は一切私と目を合わせないで会話をしている

目があってるのは、ベスだけ

なんか、また舐めてきそうだな…

これ以上唾液まみれになるのは勘弁してほしい

やっぱり食われる…！

ベスに目を向けたがもうこっちに興味を示していなかった

それどころか、リタと追いかけっこを始めてしまった

そっぽを向かれた

重大な電話だったら出なきゃまずいんじゃ…

出た途端に眉間のシワが深くなる

初めてお兄さんのあんな目を見た

人を殺してしまいそうな鋭い目

ベスはその言葉の意味が分かったのか一気に尻尾が下がる

まだ遊び足りないというのが見てわかった

冷たい言葉だったけど少し目元が緩んでいた

見えなくなるまで背中を見つめていた

似た顔が2つ

しかし表情が全く違った

一人は無表情

もう一人は鋭い目つきで相手を睨んでいた