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rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 殺し屋パロ
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#9 言語の刃、黈の冷徹な呪詛
夜十時過ぎ。
東京の片隅、繁華街から少し外れた裏路地に、小さなバーがある。
表通りからは目立たない、けれど常連だけが知っている隠れ家のような場所。
そのドアを、みことが静かに押し開けた。
控えめなジャズが流れる店内。
みことはカウンターの端――いつもの席に座る。
白いシャツに、紺のジャケット。
年齢より少し若く見える容姿は、どこにでもいそうな翻訳家の青年にしか見えない。
けれど、その隣の男を見つめる目だけが冷たかった。
標的はスーツ姿の中年男。
表向きは不動産業の役員、裏では情報屋。
そして今日――消される予定の人間。
みことは、カウンターの上にスマートフォンを置き、静かに口を開く。
# 黈
男はちらりと視線を向けたが、何も言わない。
ただの酔った客と思ったのだろう。
スマホを弄りながら、氷の溶けた酒をすすった。
# 黈
みことの目は、男のスマホに映ったスケジュールを読み取っていた。
明日の取引場所、時間、金額。
すべてが記録されたまま画面に残っている。
みことは立ち上がる。
何も注文せず、何も触れずに店を出て行った。
言葉だけを置き土産にして。
翌日、夕暮れ。
空は灰色に染まり、冷たい雨が降り出していた。
みこと――いや、黈は、標的が取引を行う予定のビルの屋上に先回りしていた。
黒いコートの襟を立て、ビルの影に身を潜める。
やがて男が現れた。
スーツの下に防弾ベストを仕込んでいる。
だが、黈の武器は“言葉”と“刃”だ。
男が通路を曲がると同時に、黈が一歩踏み出す。
もぶ
# 黈
日本語。
冷たく、濁りのない声だった。
男は眉をひそめる。
もぶ
もぶ
# 黈
黈はゆっくり歩を進める。
雨音に混じって、黈の足音だけがやけに重く響いた。
# 黈
# 黈
男が一歩後ずさる。
もぶ
# 黈
その瞬間、黈は懐からナイフを抜いた。
短く、鋭く、沈黙の中に放たれる“言語の代わり”だった。
男が銃を抜こうとする。
が、その手首を斬り落とすような速さで刃が走る。
# 黈
喉元へ、無慈悲に刃が滑る。
言葉もなく、男はその場に崩れ落ちた。
夜。
みことは静かなマンションの一室に戻った。
整えられた机。
開いたパソコン。
翻訳作業中の文学原稿が映っている。
みことは紅茶をひと口飲み、何事もなかったように報告を打つ。
《任務完了。標的:情報屋/死因:失血死/証拠なし/接触痕跡ゼロ》
送信完了。
そのままモニターに表示された文章に視線を落とす。
# 黈
# 黈
キーボードを叩く指に、迷いはなかった。
次の翻訳は、戦争文学。
みことにとって――黈にとって、言葉とは、仕事であり、武器であり、そして「処刑」の手段だった。
──黈は、“言葉で裁く殺し屋”だった。
優しげな笑顔の奥に、冷徹な刃を隠す。
その刃は音もなく振るわれ、決して無駄に喋らない。
だが、放たれた言葉は必ず、標的を“斬り伏せる”。
それが、“みこと”という男の、もうひとつの顔だった。
#9・了
rara🎼
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡100
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コメント
2件
今回も語彙力がすっ飛んでましたね(? 黄くんの帰国子女の過去を使った連載の中で一番好きです(メインじゃない) "言葉と刃"ってかっこいいですね… 語るには私の語彙力が足りないけど、黄くんっぽくて好き… 最高です👍