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るし★ふぇる

…さ、モモンガさん、もう時間がありません。

るし★ふぇる

最後くらい玉座まで行きませんか…?

モモンガ

……そう、ですね、

そう言いながらモモンガとるし★ふぇるは席から立ち上がる。

向かった先には壁に一本のスタッフが飾られていた。

──ヘルメン神の杖{ケーリュケイオン}をモチーフにしたそれは

七匹の蛇が絡み合った姿をしている。

のたうつの蛇の口はそれぞれ違った色の宝石を咥えていた。

握り部分は青白い光を放つ水晶のような透き通った材質だ。

誰が見ても一級品であるそれこそ各ギルドにつき一つしか所持できないギルド武器と呼ばれるものであり

アインズ・ウール・ゴウンの象徴とも言える物である。

モモンガはスタッフに手を伸ばす。

だが途中で手を止めた。

今この瞬間──ユグドラシルサービス終了という最後の瞬間においてなお、

皆で作り上げた輝かしい記憶を地に落とす行為に戸惑いを覚えたからだろう。

ギルド武器を作り上げるために皆で協力して冒険を繰り広げた日々。

チームに分かれて競うように素材を集め外見をどうするかで揉め、各員が持ち寄った意見をまとめ上げ、すこしずつ作り上げていったあの瞬間

それはアインズ・ウール・ゴウンの全盛期──最も輝いていた頃の話だ。

二人はその頃のことを思い出していた_

仕事で疲れた体に鞭打って来てくれた人がいた。

家族サービスを切り捨てて、奥さんと大喧嘩した人もいた。

有給休暇を取ったぜと笑っていた人がいた。

一日おしゃべりで時間が潰れたことがあった。

馬鹿話で盛り上がった。

冒険を計画し宝を漁りまくったことがあった。

敵対ギルドの本拠地である城に奇襲を掛け攻め落としたことがあった。

世界級{ワールド}エミニーと言われる最強の隠しボスモンスターたちの手にかかり壊滅しかかったことがあった。

未発見の資源をいくつも発見した。

様々なモンスターを本拠地にセットし突入してきたプレイヤーを討伐した。

──しかし今は二人しかいない。

いや、二人いるだけマシかもしれない。

四十二人中、三十七人が辞めていった。残りるし★ふぇる以外の三人は名前こそギルドメンバーとして残っているが

今日より以前にここに来たのがどだけ前だったかは覚えていない。

輝かしい記憶を宿す武器を今の残骸の時代に引きずり落としたくない。

だがそれに反した思いもまたモモンガの内で燻る。

アインズ・ウール・ゴウンは多数決を重んじてきた。

ギルド長という立場にはいたものの、モモンガが行ってきたのは基本的には連絡係などの雑務だ。

だからだろう。

るし★ふぇるとモモンガしか居なくなった今。最後くらいはギルド長という権力を使ってみたいと初めて思ったのだ。

モモンガ

この格好じゃ情けないよな…

るし★ふぇる

モモンガは呟きコンソールを操作し始めた。

ギルドの長に相応しいだけの武装にするためだろう。

モモンガの武装は終わりギルド長に相応しいと満足したように頷く。

それからモモンガは手を伸ばしスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを掴み取る。

手に収めた瞬間、スタッフから揺らめきながら立ち上がるとどす黒い赤色のオーラ。

時折それは、人の苦の表情を象り、崩れ、消えていく。

まるで苦痛の声が聞こえてくるようなリアルさで。

るし★ふぇる

……作りこみ、こだわりすぎぃ、

モモンガ

確かに…リアル過ぎますね……

作り上げられてから一度も持たれたことの無かった最高位のスタッフはついにユグドラシルのサービス終了を迎えるに当たって、本来の持ち主の手の中に収まったのだ。

「「 行こうか、我がギルドの証よ… 」」

二人の声が重なる──

打ち合わせなどしていない。偶然同じことを言ったのだ。

モモンガ

るし★ふぇる

るし★ふぇる

ふふ … 声重なっちゃった 、ごめんね、ギルマス…

るし★ふぇる

……いや、モモンガさん

モモンガ

…! い、いえいえ、全然……

るし★ふぇる

( 微笑 )

モモンガ

…、

嗚呼 _ 最後の時に俺は何を思っているのだろうか。

まさか、最後にちゃんと"この気持ち"に気づくなんてな…

… るし★ふぇるさん。俺はやっぱり──

貴方のことが好きです 。

♡ → 100

るし★ふぁーさんの妹ㄘゃԽ ❤︎【オーバーロード】

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