1、普通
お母さんが
僕自身が
普通ではないことに気づいたのは
まだ幼い頃だった
お母さんは男が嫌い
当然のようにお父さんなんていない
僕はどこの誰か知らない
男との子供だった
なんで僕がここにいるかなんて
知ったこっちゃない
2、兄弟
僕が2歳頃
お母さんのお腹に1つの命が宿った
もちろんどこの誰か知らない人との
半分しか血は繋がってないけど
初めての兄弟を楽しみにした
それからその子は誕生した
精一杯可愛がってあげようと
心の中で約束する
でもその子は 僕の弟は
消えた
部屋のフローリングには赤黒い血
その部屋の真ん中には
青白い肌が赤黒い血で染められいてる
弟が
僕
僕
震えた声で
息が上がっているお母さんにたずねる
僕の声に気づいたのか
我に返り
お母さん
と、小さく弱い声で
呪文を唱えるかのように呟きながら
部屋の角にうずくまった
初めてお母さんの"闇"を
見た瞬間であり
これが僕の"普通"を変える出来事だった
3、繰り返し
小さな命を作って壊して
それの繰り返し
をお母さんは続けていた
そのせいで身体も心もボロボロな お母さん
そんなお母さんが怖くて
僕が中学に入ると同時に
家を去った
お母さんからの電話とメールが 何本もきてたけど
全部無視してきた
「私を見捨てないで」
ってなんども来てたけど
もう無理なんだ
お母さんのせいで
頭なんてとっくにイカれてる
この後のことなんて
どうやって生きてきたのかとか
全く覚えてなくて_
4、再会
気づいたら大人の姿になってた僕は
再びお母さんの元へ戻ってきた
片手には_をもって
静かに扉を開けると
薄暗く
気味が悪かった
こんなの僕の知ってる家じゃない
ただ無心で真っ直ぐ前を進む
そこには僕の知らない母がいた
お母さん
僕に気付いた母は
ゆっくりこっちへ
這いずりながら向かってくる
まるで何かに追われているような目で
6、(ニセ)オトウト
__ガチャ.
家の扉の開く音がした
目線の先には
学生らしき人が
雰囲気が僕と似てる
僕
僕
.......
あぁ、これは...
初めての弟だった
いつも弟はいつかぐちゃぐちゃに
なっていたから
だから初めての...
得体の知れない何かを母に渡す
それを母は飲もうとしない
ただ首振るだけ
また首を横に振る母
よく見たら弟の腕には
切り傷が複数あった
黙ってそれ飲んだ母は
次第に眠りについた
僕
吐き捨てるような言葉が
僕の心にチクリと刺さる
それだけを言い残した僕の弟は
家をまた出ていった
7、最期
何事もなかったかのように
静まりかえったこの部屋で
ただ何も出来ずに立ちすくんでいた
ただ状況が把握出来てなくて
頭が混乱して
はぁはぁ、と
息があがる
手に持っていたものが音をならして
滑り落ちた
知らない間に
外の周りがうるさい
何事かと家の扉を開けると
そこには警察の姿
ぞろぞろと入ってくる警察達
お母さんの姿を確認してから
僕に向けて目を光らせた
気づけば両腕が不自由になっていた
僕
僕
無理やり部屋の外に連れられる
パトカーが並んでいるその近くに
さっきのオトウトがいた
耳元でこそっと呟かれた
「ふざけんなっ...」
そう言う前に
車の中へ押し込まれた
コメント
10件
ツイッターから来ました〜! もうこれ…最高に闇が深くて大好きです( ꈍᴗꈍ)( ꈍᴗꈍ)
書き方が好き! おかしいと思った時にはもう遅いのかもしれないよね。。
凄く面白かったです!😳 話の展開の仕方もとても読みやすく、どんどん続きが読みたくなってしまいました! みあすさんの、こういうダークなお話珍しいのでは…!?