与えられたキッチンで女はそつなく家事をこなした
春千夜
何作ってんだ?
華夏
卵焼き、……食べたことないですか
俺が暴力を振るわないと知った瞬間、華夏はあまり口を利かなくなりやがった
春千夜
……お前、そんな殴られてぇかよ
華夏
…痛みは、愛なんです
春千夜
は?
とろりと、溶けた笑みを浮かべ女は言った
華夏
愛を確かめるには痛みが必要なんです
春千夜
……きも
女の子らしくない部屋をもらったと思う
ベッドと、机。それ以外は何も置かれていなかった。もちろん、カッターナイフなんて物もなくて…
華夏
………愛がないよ…
痛みを感じられない事に恐怖を覚えた
母
この行為はね、愛なんだよ!!
母
愛なの……分かってね…
華夏
ママ、泣かないで?
華夏
華夏、大丈夫だよ!
華夏
痛いって事は愛されてる事なんでしょ?
母
……ごめんねっ…ごめんねぇ…
幼少期、母が泣きながらうずくまっていたのを思い出す
痛みを愛だと言うくせに、それに対して謝罪する母に心底違和感を感じていた






