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麻生●郎

さて、行くか……

ズキンっ!

麻生●郎

うっ!!

麻生●郎

くそ……っ 視界がぼやけて……

それからどのくらいの時間が経ったのだろうか

俺の名前は麻生●郎、日出ずる国 日本の国会議員だ御年81歳 まだまだこれからだ という時に 激しい頭痛と目眩におそわれた

麻生●郎

(何だ……?珈琲の匂いがする……)

???

あ、目を覚ましたみたい!

麻生●郎

う……うん……?

???

大丈夫ですか?

俺が挽きたての珈琲の匂いに目を覚ますと心配そうな顔をした女の子がこちらを覗き込んでいた

麻生●郎

あ、あぁ……えぇと……ここは……?

???

ここは、WEEKEND GARAGEです

麻生●郎

うぃー……けんど……がれーじ……?

明るい茶色を基調とした小洒落た 内装に 奥にはステージとスピーカー マイクスタンドが 設置されていた

このとき まだ俺は東京都内にあるカフェだと思い あまりこの場所について深く考えなかった

麻生●郎

あぁ、そうか……あ、君は?

白石 杏

私の名前は 白石 杏(しらいし あん)です。

白石 杏

お父さんがここの経営をやっていて、私はよく手伝いに ここで働いてるんです

麻生●郎

そうか

麻生●郎

俺の名前は麻生●郎 (麻生■■■■)
名前 一度は聞いたことあるだろ?国会議員やってんだよ

白石 杏

え?そうなんですか?

白石 杏

うう〜ん……ごめんなさい、聞いたことないですね

麻生●郎

お嬢ちゃんさ、新聞とかニュースとか見ないの?

白石 杏

いやー……あんまりですね

麻生●郎

あぁ、そう

白石 杏

お店の外を掃除しようと外に出たら麻生さんが倒れていたんです
もうびっくりしちゃって ちょうどあそこに座ってるチームの仲間に運んでもらったんです

麻生●郎

チームの仲間?

???

おいおっさん、もう動いても平気なのか?

奥の席から 蜜柑色の髪色に菜の花色のメッシュをいれた 随分と目つきの鋭い 男が近づいてきた

彼は 東雲彰人 (しののめ あきと)と名乗った 聞けば 彼が俺を運んでくれたと言うのだ

東雲彰人

どうも

麻生●郎

あぁ、君が運んでくれたのか?
ありがとうな

白石 杏

こう見えても彰人って 意外と優しい所あるんですよ

東雲彰人

おい、なんだよ こう見えて って

白石 杏

私が麻生さんを見つけたときほっとこうとしたら
中に入れよう って提案したのは彰人なんですよ

東雲彰人

いや、別に……倒れてる人とか放っておいたら危ねぇからな

麻生●郎

そうだったのか、 彰人君 重ね重ねありがとうな

すると カフェの入り口が開き 鈴の音が響いた ふと 扉に視線をやると 男女2人が入ってきた

???

2人共遅れちゃってごめんね!

???

彰人 白石 遅れてすまない
ゲームセンターで時間を潰しすぎていた……

白石 杏

あ、来た来た

麻生●郎

友達か?

白石 杏

友達……というか仲間というか……ううーん

東雲彰人

俺達は ここの4人でVivid BAD SQUAD っていう
チームで 活動してるんだ

東雲彰人

こっちは俺の相棒の冬弥

冷静沈着そうな雰囲気の彼は 青柳 冬弥(あおやぎ とうや)と名乗った そして もうひとりの子は 小豆沢 こはね (あずさわ こはね)という

青柳 冬弥

彰人、この人は?

東雲彰人

さぁ? 詳しくは知らねぇけど店の前で倒れてたんだ

白石 杏

この人は麻生●郎さん っていうんだって
確か 国会議員だって……

東雲彰人

は!? 国会議員!?

青柳 冬弥

麻生●郎……聞いたことがないな
小豆沢はあるか?

小豆沢こはね

うーん、私もないよ……ニュースとか新聞はよく見てるけど 麻生 って人の名前は一度も……

東雲彰人

このおっさんの話、嘘なんじゃねぇのか?

麻生●郎

おいおい 心外だな ちょっとまってろ

俺は胸ポケットから国会議員証明書を取り出し 4人に見せた

白石 杏

始めてみたかも

東雲彰人

普段から見慣れてたら おかしいだろ

小豆沢こはね

嘘はついてないみたいだね

青柳 冬弥

そうだな

麻生●郎

わかってくれたか?

東雲彰人

あぁ、疑ってわるかったな

小豆沢こはね

ところで どうして麻生さんは倒れてたんですか?

麻生●郎

いやな、俺にも分からんのよ
仕事に行こうと朝家を出たと思ったら頭が痛くて

麻生●郎

気がついたら ここ って訳だよ

麻生●郎

あ、今何時なんだ

青柳 冬弥

大体、お昼ぐらいじゃないか?

麻生●郎

まずいな……今日は大事な閣議があるのに

東雲彰人

閣議 つってもお前ら政治家って寝てんだろ

小豆沢こはね

し、東雲くん……!

麻生●郎

おい 坊主 それはひどいんじゃねぇの?

麻生●郎

他の奴らは知らねぇけどよ 俺は寝たことはないぞ

白石 杏

まぁまぁ、落ち着いて!

東雲彰人

……

麻生●郎

さて、そろそろ俺は行くかな

白石 杏

そっか、これから仕事がありますしね

小豆沢こはね

えっと、お大事にしてくださいね

麻生●郎

あぁ、よいしょっと……

麻生●郎

そういえばここは東京のどこらへんに位置するんだ?

白石 杏

え?

東雲彰人

東京……?

白石 杏

ここは 東京 じゃないですよ

青柳 冬弥

そもそも そんな地名 俺は初めて聞いた

麻生●郎

なに?んじゃあ ここはどこなんだ?

小豆沢こはね

……

青柳 冬弥

……

東雲彰人

……

白石 杏

……

一瞬にして場が凍った 彼らは俺をただじっ……と見つめてた

いままで気さくに話していたのに この瞬間は さっきまで話していた奴らとは到底思えなかった

麻生●郎

あ、あぁ悪いな……へんなこと聞いたな

白石 杏

あははっ! 麻生さん変なこと言うからびっくりしちゃった!

小豆沢こはね

うん、私も驚いちゃった

青柳 冬弥

まだ体調が優れていないんじゃないか?

東雲彰人

そうかもな

麻生●郎

(もしかしたらここは異世界なのか?)

俺はスマホに電源を付け 現在地を調べようとした

しかし俺の今いる位置はマップに表示されることはなかった

麻生●郎

(おいおい、嘘だろ?)

嫌な汗が全身を伝った

なんどやってもエラーが起こるし メッセージアプリも電話も何も繋がらなかった

噂に聞いたぐらいだが 自分が住んでいる世界とは微妙に違う異世界に 俺が 入ってしまったのか?

いったい どうしてなんだ? どうやったら帰れるんだ?

東雲彰人

おい、大丈夫か?

麻生●郎

……

これからどうしよう

麻生●郎

帰れなくなっちまった

白石 杏

えぇ!?

東雲彰人

どういうことだよ

麻生●郎

俺にも分からんが 落ち着いて聞いてくれないか

そして俺は 自分がもしかしたら別の時空からやってきてしまった事、スマホが繋がらないことを話した

最初はみんな疑っていたが 俺があまりにも真剣に話すもんだから事情を飲み込んでくれたみたいだった

青柳 冬弥

それは……困ったな

小豆沢こはね

うん、麻生さんこれからどうするんですか?

麻生●郎

……

東雲彰人

……

白石 杏

ねぇ、麻生さん

麻生●郎

なんだ?

白石 杏

歌 得意ですか?

麻生●郎

歌か? まぁ人並みには

白石 杏

私達のチームに入ってみませんか?

東雲彰人

は?

青柳 冬弥

!?

小豆沢こはね

杏ちゃん!?

麻生●郎

チームに?俺が?

白石 杏

はい

白石 杏

私達Vivid BAD SQUADは 伝説の夜を超えるために集まってるんです

東雲彰人

おい杏 お前何いってんだよ!
正気じゃねぇよ!!

麻生●郎

伝説の夜?

東雲彰人

昔の音楽イベントRAD WEEKEND っていうライブの話だ…

青柳 冬弥

俺達は本気でそれを超えたいんだ

小豆沢こはね

杏ちゃん どういうことなの?
麻生さん 困ってるよ?

白石 杏

私達5人で伝説の夜を超えれば 麻生さんのことを知ってるかもしれない人が来るかもしれない!

東雲彰人

そうかもしれねぇけど それとこれは別だろ

東雲彰人

俺とお前は 実際にRAD WEEKENDを目にしただろ
あれを超えるような熱意がこのおっさんにあると思うか!?

麻生●郎

(ないぞ)

白石 杏

ないかもね

白石 杏

けど、それじゃあ麻生さんが可哀想だよ!

青柳 冬弥

白石……

東雲彰人

可哀想 ってお前……

東雲彰人

おい、おっさん

麻生●郎

なんだよ

東雲彰人

俺はお前を認めない

麻生●郎

(入るって一言も言ってねぇだろ)

白石 杏

彰人!

東雲彰人

……

白石 杏

じゃあ、歌ってもらおうよ

麻生●郎

は?

白石 杏

もし、私達と肩を並べられるほど歌が上手かったら考えようよ

東雲彰人

っは! いいぜ

麻生●郎

(俺がよくないんだが?)

青柳 冬弥

そうだな、そうしてもらおう

小豆沢こはね

麻生さん!頑張ってください!

麻生●郎

いや、ちょっ……

白石 杏

麻生さん!!

麻生●郎

(ええい!どうにでもなれ!)

麻生●郎

ウルトラマンタロウ 歌います

麻生●郎

ー!!ーーーー!ーーっ!

東雲彰人

!?

東雲彰人

(なんだこの歌は……!)

白石 杏

(すごい! 全身が震えそう……!)

青柳 冬弥

(声がとてもきれいに伸びていて
高温も難なくだせている……!)

小豆沢こはね

(この人となら……!本当に……!!)

麻生●郎

はぁっ……!はぁ……

麻生●郎

どうだった?

白石 杏

……

白石 杏

サイコーだった!!

東雲彰人

すげぇな、おっさん

小豆沢こはね

プロの歌手かと思っちゃった!

麻生●郎

え?

東雲彰人

正直、舐めてた こんなおっさんと超えられるわけないって……
けどよ、心の底から すげぇ、本当におっさんとなら超えられるかもしれないって 思った

白石 杏

じゃあ……!

東雲彰人

●郎、俺らと伝説の夜を超えるぞ!

麻生●郎

!!!

青柳 冬弥

あぁ、麻生がいればとても心強い

小豆沢こはね

うん!!

白石 杏

やったぁー!

麻生●郎

(おいおい、嘘だろ)

こうして俺は衆議院議員の麻生●郎改め Vivid BAD SQUADの麻生●郎として この地でしばらく生きていくことにした

俺らが伝説の夜を超えるのはまた別の話……

この作品はいかがでしたか?

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コメント

1

ユーザー

また作者さんのお話読めて感激です😭😭 これからも面白いお話楽しみにしてます!!

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