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アンドロイドの街「レボ」 通り

SC-01

同胞を殺しまくる毎日は楽しかったですか?

三郎

……ねぇだろうが

SC-01

はい?

三郎

楽しいわけが!!

三郎

ねぇだろうが!!!!

ギィン!

戦場に一際大きな音が響いた……

三郎

何度刀を止めようと思ったか

三郎

何度殺したアンドロイド達の顔を思い出したか

三郎

何度……

三郎

死にたいと思ったか!!

SC-01

!?

SC-01

そう思うなら止めるチャンスはいくらでもあったでしょう!

三郎

お前は何にも分かっちゃいねぇ!

三郎

俺はあの時……

三郎

覚醒したあの日!

12年前……

赤ん坊

オギャア……オギャア!

三郎

!?

頭の中の靄が晴れるような感覚

命令された行動をとるだけだった筈の自分の中に何かが生まれた

しかし、それは同時に……

三郎

俺……は……

フラッシュバックする直前の記憶

三郎

あ……

建物の中で逃げ惑う人間たち

それらを切って

殴って

抉って

へし折って

三郎

あぁ……

助けを求める叫び

母への詫び

恋人への思い

絶命の瞬間に紡がれる言葉達

それら全てを無視して

何人も……

何人も殺し続けた

三郎

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

そして今俺は……

命乞いする女を殺した

ただ子どもを守ろうとする母親

その首を……

子どもの前ではね落とした

三郎

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!

激しい後悔の念

それは初めて感じた

そしてこれからの中でも 恐らく一番大きいであろう後悔

三郎

俺は……

三郎

何で、俺は……

三郎

俺はこんなこと……

三郎

あぁ……

赤ん坊

オギャア……オギャア!

三郎

っ!?

俺が叫びを上げている間も

その赤ん坊は泣き続けていた

三郎

ダメ……だ……

三郎

この子だけは

三郎

安全な場所に運ばないと

三郎

この試験には俺しかいない

三郎

個別信号を切れば、逃げるのも簡単な筈だ

赤ん坊

オギャア……オギャア!

三郎

だ、大丈夫だ!

三郎

大丈夫!

三郎

俺が安全な場所に連れてくから

街の一角

赤ん坊

オギャア……オギャア!

三郎

ほら、ここなら大丈夫だ

赤ん坊を地面に置く

三郎

15分後に

三郎

ここにはパトロール用のアンドロイドが通る

三郎

そいつが赤ん坊を何とかしてくれる筈だ

三郎

だから俺はここから……

ここから離れて何をするんだ?

俺はおかしい

こんな症状は 今まで経験した事がない

きっと俺はもう普通には戻れない

そんな俺には 居場所などないだろう

三郎

どうやって生きればいい?

ただ今まで 命令を聞いていただけの俺には

これから何をするかなんて 思い付くわけがなかった

そしてそれよりも……

お願いします!どうか命だけは……

三郎

・・・

私は生きなければいけないんです!

三郎

っ!

助け……

三郎

あぁ……

ゴトリ……

三郎

あぁぁぁぁぁぁぁ!

消えない記憶が またフラッシュバックする

三郎

わ……

三郎

分かった……

三郎

俺はきっと……

太股側面から刀を取り出す

先程まで 沢山の人間を殺していた刀

そして……

この赤ん坊の母親を殺した刀

それを手に持つ

人を沢山殺した刀で

今度は愚かな壊れた アンドロイドを殺す為に……

三郎

この世で生きていてはいけない存在なんだ

刀を強く握り

自らの頭を破壊する為に構える

三郎

はっ……はっ……はっ……

必要もないのに息が上がる

刀を持つ手が震える

死ぬとはこんなに怖いものなのか

だけど俺には生きる価値など……

三郎

はっ……はっ……はっ!

三郎

・・・

三郎

はっ……うぅ!

三郎

うわぁぁぁぁぁぁぁ!

刃を自らに向け

大きく振り下ろし……

赤ん坊

あいっ!

三郎

は?

刀が頭にぶつかる直前 足に何かが触れた……

それは今にも壊れそうな小さな

ほんの小さな手……

地面に置いていた赤ん坊が

俺の無機質な足を触っていた

三郎

なん……で……?

手にしていた刀は いつの間にか転げ落ち

地面にいる 赤ん坊の前にひざまずく

俺は無意識に指を伸ばしていた

その指を……

沢山の人を殺してきたその指を

小さな小さな手が 握り締めてくれた

三郎

俺は……

三郎

生きていても……

三郎

いいのかなぁ?

赤ん坊

あいっ!

今までずっと 泣き続けていたのが嘘のように

その子は笑っていた

アンドロイドの街「レボ」 通り

三郎

俺は覚醒したあの日

三郎

自分がした事に耐えきれず

三郎

死のうとしていた

SC-01

なっ!?

三郎

俺の壊れた心をあの子が守ってくれたんだ

三郎

だから……

三郎

そんな子どもの為に、命を掛けて戦うのは

三郎

当たり前だろうが!!!!

男の動きが更に速くなる

体への負担は 既に何倍にも膨れ上がっている

既に6本の腕では 相手は対処出来ていない

SC-01

ちっ

苦肉の策

出力を抑えたレーザーを 四方に撃つ

勿論狙いなど定まっていない

少しでも相手の動きを 制限する為の行動だ

三郎

なぁ知ってっか?

SC-01

何を?

三郎

人間の子どもってのはすげぇんだぜ?

三郎

あっという間に大きくなって

三郎

色んな事を覚えて

三郎

出来なかった事があったとしても

三郎

頑張って克服したりして

三郎

可愛くて

三郎

優しくて

三郎

甘えてきて

三郎

たまにいたずらなんてしてきて

三郎

怒られると小さな頬を膨らませて拗ねて

三郎

またこの子の為に頑張ろうって

三郎

明日も生きようって思えるんだ!

SC-01

何を親のような事を

三郎

俺にはあの子の親を名乗る資格なんてねぇよ

三郎

だけど大事なんだ

三郎

守りてぇんだ

三郎

だから!

更に加速させる

飛び交うレーザーと レーザーの間を抜け

6本の腕を全て掻い潜る

ザザッ……

心守

心守

父ちゃん!

三郎

心守!?

SCS-03

SCS-03

すまないねぇ……お嬢ちゃんが父ちゃんの所に行くってきかなくて

SCS-03

勝手に飛びだしちまいそうな勢いだったから……

三郎

大丈夫だ!

三郎

もう終わる!

レーザーを避けきり 6本の腕も防いで

相手の懐に……

SC-01

終わる?何がですか?

三郎

てめぇの命がだよ!!

心守

父ちゃん頑張れ!!

SC-01

あの子の母親を殺した

SC-01

人殺しが!

三郎

っ!

一瞬の隙……

それだけで十分だった

ギュイン!

懐に迫り男の首まで 近付いた刀は止められた

7本目の腕が持つ刀に

SC-01

隠し球は

SC-01

最後までとっておくものですよ?

三郎

ちっ!

残り6本の腕が 周りから襲いかかってくる

咄嗟に後ろに飛んで避ける

だが、それが間違いだった……

SC-01

ビンゴ

チャージされた 4つのレーザー砲が一点に集まる

まるでレーザーで作られた 大きな刀

その刃が

娘を助けに来た 父親の左腕を切り落とした……

心守

父ちゃん!!

侍人型戦闘兵器CRYPTOS

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