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~昼休み〜

綾音

(どうしよう.......悩んでるうちに昼休みに!!!)

松永

.......

綾音

(松永さんすんごい睨んできてるし!!)

綾音

(あぁ!どうすればいいの!!)

綾音

(あ!そうだ!!)

〜裏庭〜

松永

来たわね!久代!

裏庭へ行くと、既に松永さんとその取り巻き達が仁王立ちで待っていた。

綾音

は、はい.......。

松永

あんたねぇ!なに前髪なんか切って色気づいてんのよ!!!

松永

あんたには、もさい髪がお似合いなのよ!!

後ろの取り巻きたちも続けて、「そーよ!そーよ!」なんて言っている。

綾音

はい!すみませんでした!!

松永

っ!?

松永

な、なによ.......えらい素直ね。

綾音

以後気をつけます!!

松永

うっ!?

私の作戦はこうだ。

「聞き分けの良い奴は早く帰れる作戦」!!!

綾音

(先生に怒られて反抗する子って長く怒られるけど、)

綾音

(素直に謝る子って意外と早く帰れるのよね!!)

松永

あ、あんたほんとに!わかってんの?!

綾音

はい!生意気なことしてすみませんでした!

私はビシッと90度の礼をお見舞してやった。

松永

うぅ.......。

綾音

(よし!効いてる!)

松永

あんた.......そんなハキハキ喋るような奴じゃなかったじゃない.......!!

綾音

へ?

松永

神城くんに感化されたんでしょう!

松永

あんたは神城くんとは違うの!

松永

あんたは、変われないのよ!!!

綾音

.......えっ

どくんと胸が跳ねた。

理由はどうであれ、たしかにこんなにハキハキ松永さんと話したことは無い。

綾音

(神城龍夜に影響されてる.......?)

松永

そのとぼけた態度!!!

松永

ムカつくのよ!!

そういうと松永さんはいきなり、

取り巻き達に用意させたであろうバケツを私にぶちまけた。

バシャァッ

綾音

きゃっ!?

松永

.......はは、やっぱり陰キャ女は

松永

醜いのがお似合いなのよ。

綾音

.......っ.......。

「変われない」

その言葉が頭に響く。

そうだ。ちょっと不良の人達と話したからって

陰キャが変われるわけないのだ。

__涙がこぼれそうになったその時

涼子

なにやってんのよ。

綾音

!?

松永

なっ!?

松永

潮崎.......涼子さん!?

水に濡れた私をそっと抱きしめ、

松永さん達の前に涼子さんが立ちはだかった。

涼子

遅いと思って教室に行ったら

涼子

綾音が裏庭に呼び出されたなんて言うから来てみれば.......

涼子さんはギロっと松永さん達を睨みつける。

涼子

これはどういう状況か、説明してみなさいよ。

松永

ひっ.......

松永さん達はガタガタと震え上がった。

涼子

今度こんなことしたら.......

涼子

私が許さない。

綾音

りょうこさん.......

ポロポロと涙が零れた。

胸のわだかまりが溶けていくようだった。

松永

わ、わたしは.......

涼子

私が風弥の女帝と言われてるのは.......

涼子

ただ授業をサボってるからじゃないのよ?

そう言うと涼子さんは指をパキパキと鳴らす。

綾音

(つ.......強い.......絶対強い.......)

松永

す、すみませんでしたっ!!!

松永さんと取り巻き達は逃げ出してしまった。

綾音

あ、あの.......涼子さん.......

綾音

ご、ごめんなさ.......

涼子

謝んなくていいのよ。

涼子

怖かったでしょう。

綾音

うっ.......うう.......

優しく頭を撫でられ、また涙が溢れた。

私は涼子さんの前で子供みたいに大泣きしてしまった。

〜屋上〜

涼子

.......いいの?ほんとに授業サボって。

綾音

はい!こんな格好じゃどうせ戻れないし.......

私は、涼子さんに連れられ、午後の授業をサボって屋上に来ていた。

う〜わびしょ濡れじゃん!

龍夜

ブス女にやられたのか。

そこには当たり前のように神城龍夜と環くんがいて、

心配そうに私を囲んだ。

綾音

大丈夫です!

とりあえず上着脱ぎな?

乾かしといてあげるから。

綾音

はい!

そう言って私はブレザーを脱ごうとするが

龍夜

待て。

綾音

神城龍夜に止められた。

涼子

あら、綾音、中のブラウスまで濡れたのね。

綾音

へ?

脱ぎかけたブレザーの中を確認して見れば、

綾音

っ!?///

ブラウスまで濡れてしまい、下着が透けてしまっていた。

わ!わ!ご、ごめん!///

綾音

い、いえこちらこそすみませんっ!!///

環くんは手で目を覆い、顔を赤くしていた。

綾音

(あぁ.......お見苦しいものを.......)

龍夜

ん。

綾音

え?

ワタワタしていると、神城龍夜が自分の来ていたジャージを脱ぎ、

私に渡してきた。

綾音

これ.......

龍夜

着ろよ。

綾音

え、でもっ

龍夜

濡れたままでいられてもこっちが気使うんだよ。黙って着ろや。

綾音

は、はいっ!

私はジャージを受け取り、影でブレザーとブラウスを脱ぎ、

神城龍夜のジャージに身を包んだ。

綾音

(うわっ、すごくいい匂い.......)

シトラスの良い香りが鼻をくすぐる。

綾音

(香水なのかな.......?)

綾音

(けど、全然嫌な感じがしない.......)

龍夜

おい、まだかよ

綾音

は、はひっ!

思わずジャージの匂いに夢中になってしまっていた。

綾音

(変態くさかったかも///)

お~似合う似合う~

涼子

やっぱり大きいわね。

そのくらいがいいんだよ!

萌えってやつ!?

龍夜

きめぇ。

ひどっ!?

綾音

ふふ.......

あ!あやねっち笑ったな!

私は思わず笑ってしまっていた。

綾音

ふふふふっ.......

龍夜

なんだよ。こえぇな。

涼子

ふふ、笑顔になってよかったわ。

綾音

(さっきまであんなに泣いてたのに)

綾音

(今はすごく良い気分.......)

綾音

(この3人のおかげだなぁ.......)

綾音

ほんとに、ありがとうございます。

私が深々とお辞儀をすると、3人は驚いた顔をした。

なになに!?急に!

龍夜

笑ったと思ったら今度はしおらしくなりやがって。

涼子

忙しい子ね。

涼子さんがふふっと笑うと

環くんも笑いだした。

青空に笑い声が響く。

午後の授業中、昼下がりの屋上だった。

綾音

そうだ!涼子さん、用ってなんだったんですか?

涼子

あ、そうね。

涼子

ん〜、やっぱ明日にしましょう。

綾音

涼子

明日の朝......授業が始まる前かな。

涼子

ここに来て。

綾音

わかりました.......?

涼子〜今度は何を企んでんの〜?

涼子

明日のお楽しみよ。

そう言って不敵に微笑む涼子さんは

やっぱり女帝だな、と思うような美しさだった。

綾音

はぁ.......今日も疲れた.......

今日も私は、布団の中で反省会。

綾音

(毎日が色々ありすぎて、なんか夢みたい.......)

今日は朝から色々あった。

綾音

(松永さんに目をつけられて、裏庭に呼び出し。)

綾音

(涼子さんの約束とダブルブッキングで困ったよなぁ.......)

綾音

(裏庭での作戦.......上手くいかなかったな。)

「聞き分けの良い奴は早く帰れる作戦」は失敗に終わり、

松永さん達をもっと怒らせる結果になってしまった。

綾音

(水をかけられたのは初めて.......)

綾音

(でも、なんであそこまで怒ったのかな.......)

綾音

(私の顔なんか見たくないから?調子に乗ってるって思ったから?)

グルグルと考えるが、答えは出ない。

綾音

まぁ、いいか.......

綾音

(あの後涼子さんが助けてくれたんだよね.......)

綾音

(嬉しかった.......)

涼子さんと私の関係はまだわからない。でも、

私に「味方」ができた。

それだけは確かだと思った。

綾音

(そうだ、神城龍夜からジャージを貸してもらった.......)

すごく良い香りの大きなジャージ。

男子のジャージを借りたのも初めて。

綾音

(いい匂いの男子って、なんかかっこいいよね.......)

綾音

な、何考えてんの私!!!///

あれから変態チックな考えに陥りがちだ。

綾音

(とりあえず明日は朝から涼子さんのとこに行くんだ。)

綾音

(早く寝なきゃ。)

昨日の不安感とうってかわり、

今は、涼子さんの用事へのワクワク感と

味方ができたことへの幸福感で満たされていた。

綾音

(きっと今日は、良い夢が見れるなぁ.......)

私は静かに眠りに落ちていった。

松永

.......湊先輩.......。

ポロリと涙が零れた。

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