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うぇい

こんちゃ

翌夜。 えとは再び人間界に降りていた。

淡い霧が立ち込める墓地を歩き、鎌を構える。

死神にとっては、ただの仕事のひとつに過ぎないはずだった。

だが——。

ゆあん

やっぱりまた会ったな!

軽やかな声とともに、赤い瞳が闇を照らす。

振り返ったえとの視線の先に、黒髪に赤メッシュを揺らすゆあんが立っていた。

えと

……またあなた?

呆れた声を返すと、ゆあんは悪びれることもなく笑う。

ゆあん

死神がどんな仕事してるか、興味あってさ。俺、天界じゃ教えてもらえないんだよ

えと

天使は本来、人の魂を導く役割。死神の仕事に関わるべきじゃない

えとは冷ややかに言い放つ。だがゆあんは、まるで聞き流すように歩み寄ってきた。

ゆあん

でも、君は死神なのに人間をじっと見てるだろ? なんか……優しい感じがする

えと

優しい? 私が?

えとは思わず目を見開いた。オレンジ色の髪と、光を受けてきらめく綺麗な瞳が、戸惑いに揺れる。

死神はただ魂を刈り取る存在。そこに優しさも哀れみもいらない。

そう言い聞かせてきたはずだった。

えと

……あなた、軽々しく踏み込んでいい領域じゃないわ

ゆあん

そうかもしれないけど、俺は君のことがもっと知りたいんだ

赤い瞳の奥に宿る真っ直ぐな光。その強さに、えとは一瞬言葉を失う。

互いに背負う役割は真逆。決して交わってはならない。

それでも、彼の視線に心が揺れてしまうのはなぜだろう。

えと

……勝手にすれば

えとは吐き捨てるように言って、再び仕事へと向き直った。

だがその胸の奥で、小さな火が灯っていることに気づいてしまう。

——彼と話すのは、少しだけ楽しい。

夜の闇の中、死神と天使というあり得ない組み合わせが、静かに距離を縮め始めていた。

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