TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

前川side 7月の下旬 ただでさえ暑いのに 蝉の鳴き声を聞く度に 余計に暑くなる季節。 今頃高校球児は甲子園目指して 地方戦繰り広げられている。

前川

勇斗。暑い。どうしよ。

中川

俺だって暑いわ。

前川

かき氷食べたい。

中川

美和ちゃん連れてけばいいやん。

前川

え?

中川

あ?

前川

ん?

中川

付き合ってるんじゃないの?

前川

付き合ってないけど。

中川

なんで?

前川

なんでって言われても…

中川

両思いじゃないの?

前川

向こう俺の事どう思ってんか知らんもん。

中川

広大さん知らんの?

前川

さぁ?

中川

幼なじみ?広大さんと。

前川

いや従兄妹。

中川

親戚かよ。

前川

うん。

中川

んで好きなん?美和ちゃん

前川

言わへん。

中川

好き確定やん。素直になれよ。

前川

なんでわかるん?俺が美和ちゃんのこと好きなの。

中川

顔から好きオーラがダダ漏れ。

前川

そんなに?

中川

うん。美和ちゃん目の前にしたら目が優しい。好きな子に向ける目になってる。

前川

ふーん。

中川

うん。

前川

みんな知ってんの?

中川

右京が美和ちゃんのこと好きなの?

前川

そう。

中川

うん。口に出してないけど。察してんじゃない?

前川

なんか気まず。

中川

たぶん美和ちゃんも好きだと思うんだよね。右京のこと。

前川

そんなことないって。ただの話し相手になってくれる2個上の選手ってだけで………

中川

いや、知ってる?広大さんは別として、俺らやったらな緊張しすぎて会話続かないから。人見知りすごすぎて。

前川

え?そうなん?

中川

やっとこの間普通に話せるようになったけど。

前川

そうなん?

中川

うん。

周りにバレないように 隠してたつもりだったけど 意味なかったか。 バレたならしょうがない。 同い年の勇斗なら 言っちゃってもいっか。 美和ちゃんのこと。 そう思い今まであったことを ひと通り話した。

中川

それ運命の人なんじゃね?

前川

え?

中川

だから赤い糸で結ばれてんの。恋愛小説とか映画とかでよくあるやつ。まさにそれじゃね?

前川

そうなんかな?

中川

いや〜前世で繋がってたらほんとにすげーぞ。まさに運命。

前川

勇斗って恋愛系の映画見すぎとちゃうの?

中川

この間健斗さんと恋愛映画見に行った。

前川

新作の?

中川

うん。

前川

行きにくくない?

中川

全く。

前川

そうか。

運命の人ねぇ… そうだと信じたい。 この間の小屋にあった本を 美和ちゃんがスキマ時間で 読んでいたら、たしかに 俺の記憶と美和ちゃんの記憶が 一致したらしい。 つまり、前世の神主と巫女さんが 付き合って結ばれたらしい。

中川

とりあえず、右京は美和ちゃんをご飯に誘え。それからや。

前川

でも勇気が……

中川

ちなみに美和ちゃんと会ってから2年ぐらい経つよね?

前川

はい。

中川

1度もご飯行ったことないの?

前川

うん。

中川

マジで?

前川

マジで。

中川

本気?

前川

本気。

頭を抱え出した。 美和ちゃんとご飯行ったことが ないのは事実だ。 週刊誌にバレたらやばいし、 最近のSNSの情報網もやばいから 下手にうろつくことが出来ない。 ましてやうちの球団のトレーナー。 世間的にもバッシング受けるかもしれない そう思ってたら中々誘えなかった。

中川

寮にかき氷作るやつあったっけ?

前川

あったような気がするけどなんで?

中川

寮でかき氷パーティーすればええやん。

前川

いつ?

中川

明日から美和ちゃん鳴尾浜専属になるらしい。

前川

そうなん?

中川

そう。

前川

次のオフっていつ?

中川

んーと、来週。

前川

美和ちゃん空いてるかな……

中川

聞けよそんなもん。

前川

ていうかなんで美和ちゃん鳴尾浜なん?今まで一軍おったのに。

中川

一軍で経験積んだから二軍でやるんじゃない?

前川

そっか…

実は俺もついこの間 成績不振で二軍落ちした。 だから美和ちゃんが 二軍にくるって聞いて嬉しい。 けど、一軍で人間関係のゴタゴタで 二軍に行かされたのか分からない。 まぁいいや。 慣れるまで自分なりにサポートしよ。

日曜日 練習後

前川

美和ちゃんどこ?

中川

トレーナー室か、道具が入ってるとこじゃね?

遠藤

美和ちゃん道具のとこでチェックしてるわ。

前川

ありがとうございます!

確実な情報を頼りに 美和ちゃんの元へ走った。

遠藤

彼女の迎え?

中川

そもそも付き合ってないらしいっすよ?

遠藤

まじ?んじゃデートの誘い?

中川

そうっす。明日寮でかき氷パーティーするらしいっす。

遠藤

俺らも行く?

中川

行きましょ。僕もかき氷食べたいっす。

そんな会話が 繰り広げられているとは知らずに

倉庫

前川

美和ちゃん?

美和

はい?

前川

あれ?それは…

美和

これこの棚の1番上にいつも置いてるんですけど届かなくて………

前川

俺置くわ。貸して

美和ちゃんの手に持っていた 道具を受け取り棚に置いた。 彼女の身長なら絶対届かない。

美和

ありがとうございます

前川

いいよ全然。そういえば明日空いてる?

美和

空いてますけど……

前川

明日量でさかき氷パーティーするんやけど一緒にどう?

美和

え?いいんですか?

前川

いいよ。寮長には話通してるし。

美和

それじゃ行かせていただきます…

前川

わかった😊んじゃ13時寮に集合で!待ってる

美和

はーい

緊張と恥ずかしさで 急いでその場を離れた。 入団会見の時よりも緊張したかも… たぶん顔赤いだろうから 水で冷やして自分の部屋に戻ろうと 荷物を持って寮に戻った。

次の日 会議室

前川

ここに氷セットして……

中川

回せ。早く。暑い。ここ。

美和

クーラー壊れてるんかな……

かき氷パーティーで 必要なものを揃え早速開始。 なんで勇斗いるのかわかんないけど まぁいいや。 どうせつまみ食いだろうし。

遠藤

お、やってるやん。

前川

成さん変わってください。手が疲れた。

遠藤

あれ?美和ちゃんに愛のこもったかき氷プレゼントするんじゃ……

前川

そういう訳じゃ……

西純

あれ?付き合ってたんじゃねーの?

前川

付き合ってませんよ。

中川

右京早く!かき氷はよ食べたいって。

前川

成さん変わって。

遠藤

しょうがねーな。

西純

美和ちゃんどこ?

中川

冷房効かないから寮長のとこ行きましたよ。あ、ほら戻ってきた。

美和

あ、やっとついた。

前川

純矢さんの分どーぞ。

西純

シロップは?

美和

はい。好きなやつ取っちゃっていいですよ。

百崎

俺のもある?

山田

美和のかき氷食べたい。

美和

そこにあるから取って食べていいよ。

中川

ん?

美和

え?

前川

あれ?

西純

同い年だっけ?

山田

そうっす。

百崎

タメでいいって言ってました。美和が。

そうだった。忘れてた。 前々からこの3人仲良いなって 思ってたら同い年だったこと。 絶対この2人美和ちゃんのこと 好きだろうなって勝手に 落ち込んでると…

西純

ちなみにふたり美和ちゃんどう?

山田

友達って感じっすね。

百崎

僕も。クラスにいる女の子って感じ。

前川

へぇ〜。

美和

あ、溶ける。私のかき氷…

美和ちゃんのかき氷が入った 器にかき氷が落ちそうになる。 落ちかけた氷をスプーンですくい 彼女の口に入れた。

前川

顔真っ赤やん。

美和

廊下行ったら暑かっただけです。はい。

山田

言い訳やんw

百崎

はよ言えばええのにw

美和

ノックの本数増やせってコーチに言っとく。

山田

いや、それはちょっと勘弁…

西純

なんか話してんの?

百崎

相談っす。

山田

恋の相談。

百崎

聞いてる限りほぼ両思いなんですけどね。

山田

はよ告ればいいのに。

前川

誰が?誰を?

謎の沈黙が流れる。 俺やばいこと言った…?

遠藤

話聞け。

西純

あ、お盆ぐらいに淀川の花火大会あるらしいよ。

前川

日付は?

西純

えっと………13とか14ぐらいだったと思うけど。確か。

山田

美和誘えば?

美和

でも、疲れてたら嫌だし……

百崎

そんなこと言ってたらなんも始まらへんって。

遠藤

右京もさっさと誘えよ。

前川

まだそういう時じゃ……

いつの間にか ふたつのグループで 話し合いが始まった。 美和ちゃんには好きな人が いるって聞いたら落ち込み始めた。 それを成さんと純矢さんに言ったら 頭抱え始めた。挙句の果てには 『鈍感すぎて笑える。美和ちゃん、 右京のこと絶対好きや』って。 絶対とは限らない。 …ゼロではないけど。

あれから3日後 練習後、グランド整備が 終わって道具を片付けていると 後ろから誰かが俺を呼んだ。

中川

あ、美和ちゃんや。俺先行っとくわ。

前川

え?あ、うん。

気を利かせてくれたのか 勇斗はカバンを持って 寮に戻っていった。

美和

あれ?中川さんは?

前川

先寮に戻った。俺呼んだ?

美和

呼びました。

なにか道具壊したかと 頭の中をフル回転させる。 けど美和ちゃんが発した 言葉は想定外だった。

前川

え?淀川の花火大会?

美和

はい。前、言ってた花火一緒に見に行きませんか…?

前川

俺でいいの?

美和

はい。

前川

あの仲良し組と行かんでいいの?

美和

あの人らはほかの予定が入ってるって断られました。

今日誘おうと思ってたけど 先に言われてしまった。 すぐさま一緒に行くって 返事をしたらいかにも嬉しそうな 顔をして集合場所とか時間を 決めた。 当日楽しみだな〜

花火大会当日 夕方の5時すぎ。 集合時間まで あと1時間。

前川

どうっすか?

中川

ええやん。

山田

右京さんマジでカッケー

百崎

イケメン。

西純

浴衣着れたんや。以外。

遠藤

美和ちゃんは?

前川

家で着替えてくるってさっさと帰りましたよ。

中川

ちなみにどこ集合?

遠藤

ああ、甲子園駅。美和ちゃんの家が駅から近いとこ住んでるからそこ集合って。

西純

なんでそこまで知ってんの?

前川

車で送って貰うんで。

百崎

純矢さん見てくださいよ。

西純

ん?

百崎

美和の浴衣姿。

前川

え?見して!

山田

右京さんどうせあとで見るんですから

遠藤

マジで可愛いやん。

井上

なにが?

山田

美和の浴衣姿っす。

井上

ああ、言ってたね。昨日写真で浴衣どっちがいいか聞かれたわ。

遠藤

どれ?

井上さんが写真を見せる。 みんなが覗きみようとした隙に ちらっと見た。

前川

マジで可愛い…

西純

お前時間大丈夫?

遠藤

そろそろ行こっか。

山田

行ってらっしゃい

百崎

思い出話待ってますねー!

前川

絶対言わへん。

井上

美和から聞くから。

後ろからなにか騒いでいたけど それよりも早く好きな子の姿を 見たくて集合場所に向けて 歩き出した。

loading

この作品はいかがでしたか?

703

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚