テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
俺がいつ死ぬかなどは知ったことではないが、明日死ぬとしてどうせやることは変わらない。
幼い時分ある町の小さな店に入って捕まった。
それまでは上手くやれていて、ああ俺はこうして生活していくことができるのだなと思っていた。今思えば馬鹿馬鹿しいことだ。
その店の店主のおっさんはお前はもうこの町中で警戒されてんだあーだこーだとか言っていたが、もう覚えていない。
俺は盗みを働いて、それで捕まれば檻の中か土か海の中に入れられるものだと思っていたから、なら勇ましく自ら死んでやろうと考えていたものだが、結局教会の中へ入れられた。
教会に【天使】という髪の毛の先が跳ね上がった女っぽいやつがいた。それと、俺を教会まで連れた【剣士】という紫頭も居た。こいつの髪は先がとんがっていて面白かった。今でもだ。
【天使】とやらは牧師とかいうのをやってるらしい。なんでも牧師は「どうてい」じゃなきゃいけないと紫頭が語っていたが、「どうてい」が何かはとうとう今になっても知ることはなかった。紫頭に聞けば首を傾げる。
「どうてい」が俺に何か説教をしてきたと思うのだが、あまり分からない。家がないとか、親がいないとか、そんなことは普通じゃないか。
もっとも「どうてい」にそう聞けば何も言わなかったが、その後に紫頭に聞けばそんなの普通じゃないと言う。でも今聞けばやっぱり何も言わない。大人ってな変な生き物だ。
それでちょっと説教を受けた後に俺は孤児院に入れられた。
この孤児院には俺と同じようなやつらが集まっているらしい。
俺と同じぐらいの大きさのやつ、俺より少し大きいやつ、俺より小さいやつがみんないたが、ここがお前の家だと「どうてい」に言われた。
ちょうどその頃、どこからか鐘が鳴ってもう昼食の時間らしい。俺らの世話をする大人は俺らにうどんを配っていた。
配膳の列に並んで受け取ったが、このうどん、具と言えるような具がない。ねぎがちろっと乗っていて、コーンの粒が数える程度入ってるだけだ。
大した量もないのですぐ平らげてしまった。どれちょっと外出にとでも玄関を探して外に出ようとしたが、別の大人がなにをしていると聞いてくる。
俺が外に出んだと答えればこの中で遊べって言いやがる。いや今出ると通り過ぎようとしたら腕を掴んできた。
さてはこいつら、俺をここに閉じ込める気だな、そうして俺をあの具なしうどんで太らせて俺を食う気だ。そんな話をどこかで聞いたぞ。
一旦退却して、孤児院で一番広い大広間に出た。ここにはボールだの積み木だのが転がっていて、俺と同じぐらいの奴らが十数人程度大人も混じってそれで遊んでいる。しかしそんなものが何の役に立つんだ。
盗賊
大広間中に声が響いて全員が一斉にこっちを見てきた。少しおののいたが、続けて声をあげようとしたら、一番近くにいたやつが話しかけてきた。
野生のゆっくり
こいつは座っていたが、俺より小さいのはすぐにわかった。
緑色の髪をしていて、頭につたと花が生えている。人が逃げろと言っているのに、なにをして遊ぶだと。こいつの頭にはきっと種が詰まっているんだろう。
しかしこいつらがまだ気づいていないと思うと、哀れにすら思えてきた。俺が知らせて、皆でここを出なければ。
盗賊
野生のゆっくり
変な顔をしながら、傍にあった積み木を触り始めた。他のやつらも同様だ。
くそ、人が言っているのに、聞きもしないか。こんな愚かなやつらなら勝手に食われればいい。
俺だけでもと逃げようとしたらさっき俺を止めてきた大人がまた近づいてきた。
こうなったら仕方がない、武力を用いるしかない。俺たち社会的弱者にはこうするしか道がないのだ。
ズボンの内に隠していたナイフを一本抜いた。するとその大人は驚いて後ずさりし、その隙に玄関まで駆け抜けた。
玄関と思しきところまで着いたはいいが、やはり大人がいた。しかし俺には気づいていない。
大人の横にもう一人、俺と同じぐらいのやつが居た。紫頭だ。あいつはこの孤児院のやつじゃないから、食われることはないだろう。いい身分だ。
俺はそのまま玄関を通ろうとしたが、紫頭が止めてきた。
剣士
盗賊
剣士
盗賊
紫頭はやはり変な顔をした。
とにかく玄関から出ようとしたが、大人に止められた。どうやら、この紫頭はこの孤児院を訪れて、俺に会いたがっていたということだ。
剣士
盗賊
剣士
少し困ったが、そうするうちに先程大広間に居た大人たちが玄関まで向かってきていた。
近くに居た大人の止めようとする手をすり抜けドアを一心に押し開いた。
けっこう、走り続けたと思う。
途中振り返ると、紫頭が俺を心配そうに眺めていた気がした。