友里恵
私は重い学生カバンを肩にかけながら帰路を歩く。
友里恵
友里恵
友里恵
友里恵
私が角を曲がると男性が角に座り込み何かを探していた。
友里恵
男性
友里恵
男性
私は地面を見つめる。すると、夕日に反射して石ころに紛れて何かが輝く。
友里恵
私は男性に声をかける。
友里恵
男性
男性は私の指さすところを見つめる。コンタクトを拾って直接男性に渡すのもアリだが、他人が身につける物を直接触るのは衛生的にも良くないからだ。
男性
友里恵
男性
私は男性に軽く頭を下げ去っていく。
友里恵
私は人助けしたのもあって少し気分はよかった。私は自分の住む団地の階段を登り自分の家の鍵を開け自分の部屋に入る。
友里恵
私は制服のままベッドに横になる。
友里恵
友里恵
私はそう送信しスマホを閉じ机の上に置く。
友里恵
私はベッドから起き上がり机に置かれたアルバムを手に取る。
友里恵
優美とは私の地元の高校での親友だ。私は地元を離れたが故に優美とは当分会ってない。
友里恵
”ぼふっ”とベッドに背中から倒れる。
友里恵
その時、”ムッームッー”とスマホが机の上で振動する。私はスマホを手に取り起動する。
友里恵
北宮先輩とは私が所属している吹奏楽部の先輩だ。正直…私はこの先輩が苦手だ。
私にだけあたり強いし音程がズレただけで怒られる…。私の吹奏楽部は部活LINEを部員全員が繋いでいる。
北宮先輩は私と家も近いということもあり強制的に個人LINEも繋げられた。かと言って先輩も私とLINEする気など1mmもなく滅多にLINEなど来ないのだが…
友里恵
私は正直LINEを開きたくなかった。けど、無視すればその事でまた言われる…。私はしぶしぶLINEを開く。
個人LINE
翔吾
友里恵
友里恵
翔吾
友里恵
私は先輩が私のミスを責める事に連絡してきたとばかり思っていたが故に予想が外れたことに少し安心する。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
翔吾
私は先輩にそう聞かれ帰りに起きた出来事を思い返す。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
私は先輩の言葉にあの時の男性の容姿を思い浮かべる。
友里恵
翔吾
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
私はキーボードを動かす指が止まる。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
そういい北宮先輩はLINEを後にする。私もLINEを閉じる。
私はスマホを閉じる。
友里恵
私は急いで玄関に向かい鍵をしめチェーンをする。
友里恵
自分に言い聞かせるように何度も呟く。
私は台所にいき昨日の夜ご飯のあまりのカレーを電子レンジで温め直す。
電子レンジの稼働音が部屋に響く。
私は炊飯器からご飯を茶碗に盛る。同時に電子レンジから”チーン”と音がする。私はカレーを取り出し机にご飯とカレーを置く。
しかし、私の頭の中である言葉が引っかかっていた。
翔吾
北宮先輩のその言葉が私の頭の中を巡る。
友里恵
私はスプーンを手に取りカレーを口に運ぶ。
友里恵
友里恵
部屋に沈黙が走る。
私はサッとカレーを食べ終え食器を流しに運ぶ。
その時、玄関で”ガサっ”という音がする。私はその音に驚きこの場に膠着する。
友里恵
私はゆっくり玄関に向かう。するとドアのポストに封筒が入っていた。
友里恵
私はスっと封筒を取る。
友里恵
封筒にはデカデカと”友里恵 様”っと書かれている。
友里恵
私は封筒を持ったままベッドに座る。
友里恵
私はスマホを取りLINEを開く。
個人LINE
友里恵
しばらくして既読がつき返信される。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
しばらくして再び先輩が返信を送ってくる。
翔吾
友里恵
翔吾
翔吾
友里恵
私は封筒を撮影しLINEに送る。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私はLINEを開いたまま机にスマホをおき封筒を開封する。中には1枚の紙が入っていた。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
私は紙を開き中に書かれた文章を読む。文章を読んだ瞬間、私は全身が凍りつく。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
私は先輩にそう言われ封筒の中を探る。すると1枚の写真が出てくる。写真は私が通学している背後のようだった。写真を見た瞬間、恐怖と不安が私を襲う。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私は勇気のある先輩の言葉に少し安否を覚える。
いつもあんなに嫌っていた先輩が、今やとても頼りになるように感じる。
友里恵
先輩とLINEが途切れて30分が経過した。
友里恵
その時、ドアがノックされる。
友里恵
ドア越しから声が聞こえる。
翔吾
友里恵
私は急いで玄関に向かいドアを開ける。そこにはギターを背負ったいつもの先輩の姿があった。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私は先輩を玄関に向かい入れドアを閉める。
翔吾
友里恵
私はポケットから写真を取り出し先輩に見せる。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私は先輩の言葉に立ち尽くす。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
私は勇気ある先輩の言葉に頷く。先輩はゆっくりドアを開け家を出る。
私は安心したのかその場に座り込む。私の事を使えない部員としか思っていない先輩が私の為にここまでしてくれる事に私は先輩に対して初めて感謝の気持ちが浮き出てきた。
私は立ち上がる。そしてノートのページと写真を封筒に戻す。
友里恵
私は帰りに助けたあの男性の顔が頭を巡る。
友里恵
友里恵
友里恵
私は脱衣場に向かいシャワーを浴びる。
温かいお湯が私の体にかかってくる。
友里恵
私はシャワーのお湯に頭を当てながら俯く。
友里恵
その時、玄関の方でドアが開く音がする。
友里恵
玄関から足音がし、やがて足音は脱衣場に近ずいてくる。私は風呂場の鍵を閉める。
扉の窓からは大きい人影が見える。
友里恵
私は恐怖のあまりにその場に座り込む。
人影は風呂場の扉に何かを貼って遠ざかっていく。そして足音は遠ざかっていき玄関からドアを開けて出ていく。
友里恵
私はあまりの恐怖に体が動かなかった。
友里恵
私はしばらくその場に座り込んでいた。しばらくしてソッと立ち上がりゆっくり風呂場を出る。
風呂場を出てサッとパジャマを着る。私が風呂場の扉を見ると、紙が貼られていた。
友里恵
紙には”君は綺麗だ。どこにいても”と書かれていた。
私は脱衣場から出る。
私は脱衣場を出て玄関に向かう。玄関の鍵は何故か開いており無理やりチェーンが切られていた。
友里恵
私は再び玄関の鍵を閉めて机に置いてあったスマホを取る。
友里恵
友里恵
友里恵
私は思った。警察や両親に連絡するよりも事情が分かっている先輩に連絡すれば一番手っ取り早いのではないかと。
私は直ぐに個人LINEを開く。
今はともかく、誰かにそばにいて欲しい…
友里恵
しばらくすると既読がつく。
翔吾
友里恵
私は風呂場でおこった出来事を先輩に話す。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
翔吾
友里恵
私は先輩の言われた通り保険証や身分証をカバンに積める。
友里恵
私は必要な書類を全てカバンに詰め終え机に置いた写真を見る。
友里恵
写真は高校の修学旅行で撮った私と優美の写真だった。私は写真をカバンに入れる。
その時、外から車のクラクションがする。
友里恵
私はソッと玄関に向かいドアを開け周りを見渡す。通路には誰もいない。
通路を走り急いで階段を駆け下りる。駐車場には白いセダンの横に立つパジャマ姿の先輩がいた。
私は白のセダンの横に立つ先輩に向かって走る。
友里恵
翔吾
友里恵
私は安心しきり目から涙を流す。私の頬に涙が流れる感覚が伝わってくる。
翔吾
友里恵
私は先輩のセダンの助手席に乗る。
先輩は運転席に座り車をバックさせ団地の駐車場を出る。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私は太ももにおいた自分のバックを”ぎゅっ”と握る。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
翔吾
友里恵
私は先輩の会話に耳を傾けるばかりいた。
翔吾
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私は顔を赤くしていた。
先輩は車を右折させ警察署に止める。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私は車を降りて警察署の中に入る。
私は勢いよく警察署の中にはいる。私を見た警察官は私に駆け寄る。
警察官
友里恵
警察官
友里恵
私は写真と封筒を見せる。
警察官
友里恵
警察官
友里恵
警察官
友里恵
警察官
私は警察に電話番号を教える。
警察官
友里恵
私は警察官に深々と頭を下げ警察署を出る。
私は警察署を出て先輩のセダンに向かい助手席に乗り込む。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
先輩はバックし警察署を出て車を走らせる。
しばらくすると先輩は自分の家にセダンをバックで止める。
翔吾
友里恵
翔吾
その時、車の運転席が開けられ黒いフードを被った男性に先輩は引きずり下ろされる。
友里恵
先輩は片足で運転席を蹴り閉める。
翔吾
先輩が車の外からそう言う。私は無我夢中で運転席から車の鍵を閉める。
その時、運転席の窓に黒いフードを被った男性が窓から顔を覗かせる。外が暗く私は男性の顔をよく見ることができなかった。
友里恵
男性は私の顔を見た後に倒れていた先輩の体に馬乗りになり顔を殴っていた。
友里恵
私は車の中から叫ぶしかなかった。外ではひたすらに先輩が殴られている。
翔吾
やがて男性は殴るのをやめ私の乗っているセダンを蹴ってその場を去っていく。
私は男性が去ったのを見て車からおり先輩に寄り添う。
友里恵
先輩はヨロヨロと立ち上がり咳をする。
翔吾
先輩は地面に血を吐く。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
先輩はドアが凹んだ自分の車を見る。
翔吾
翔吾
友里恵
私はあまりの罪悪感にその場を動けなかった。
翔吾
友里恵
私は先輩に連れられ先輩の家に入る。
友里恵
翔吾
先輩は2階に私を案内しある部屋に私を招く。
私は先輩の部屋に入る。
翔吾
友里恵
先輩は押し入れから布団を取り出し部屋にしく。
翔吾
友里恵
私は敷布団の上に座る。先輩自分のベッドの上に座る。
私は初めて入った先輩の部屋をチラチラと見る。部屋にはギターや有名アーティストのサインが飾られている。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
先輩はギターを手に取り足を組んで片耳にイヤホンをする。
翔吾
先輩はギターを弾き始める。本来の月の光とは少しベースは違うが、それでも先輩はギターの良さを活かしてそのベースを上手くカバーしている。
私は黙々と先輩の演奏を聴いていた。
先輩は目で私に何かを促す。
翔吾
友里恵
私が先輩のやる目線の方を見ると、そこにはフルートがあった。私はフルートを手に取る。
先輩はギターを弾きながら私に話す。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私はフルートを持って先輩の隣に座る。そして先輩のギターのベースにあわせフルートを吹く。
先輩は私のフルートの音色が崩れないように上手くサポートしてくれる。
いつも失敗してばかりのフルートが、何故か今日は上手く吹けている。
やがてゆっくり演奏は止まる。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
翔吾
友里恵
私の胸の中にあったモヤモヤが、先輩の言葉で一気に晴れた。私はこの時、今までにない感覚におそわれる。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
友里恵
翔吾
友里恵
私は敷布団に入り眠りにつく。先輩はベッドの上でギターをメンテナンスしていた。
そして私は完全に眠りに落ちる。
友里恵
私は少し重い体を起こす。
外からは朝日が差し込んでいた。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
先輩は両手に茶碗を持っていた。
翔吾
友里恵
先輩は茶碗を机におく。
私は茶碗を受け取る。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私はご飯の上の卵黄をわりかき混ぜる。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
私はご飯を食べ終え先輩に茶碗を渡す。
友里恵
翔吾
先輩は茶碗を持って部屋を出る。しばらくすると先輩が戻ってくる。
翔吾
友里恵
私は持ち物をカバンに入れ立つ。そして先輩についていき先輩の家を出る。
先輩と私は車に乗り込む。先輩は車のエンジンをかけバックして車を走らせる。
少し変わった東京の街並みが窓からすぎて見える。
私はカバンから写真を取り出し眺める。
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
やがて先輩は車を私の住む団地に止める。しかし、団地の前は警察が立ち入り禁止の警備をしていた。
友里恵
翔吾
先輩は近くの道路の隅に4灯をたき車を止める。
翔吾
友里恵
先輩は車をおりる。私も車をおり先輩についていく。
先輩が近くにいた警察官に話をかける。
翔吾
警察官
友里恵
警察官
友里恵
翔吾
警察官
友里恵
警察官
友里恵
警察官
警察官はテープをあげ私と先輩を中に入れる。
私は警察官に案内され自分の部屋にいく。
友里恵
翔吾
警察官
友里恵
翔吾
警察官
翔吾
警察官
翔吾
警察官
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
私は先輩と一緒に外に出る。そして駐車場におりる。
友里恵
翔吾
友里恵
私があまりを見渡すと、少し野次馬が集まっていた。その野次馬の中にあの時コンタクトを探していた男性がいた。
友里恵
翔吾
私は男性に近ずき話をかける。
友里恵
男性
友里恵
男性
私は男性に向かって訴えるように言う。
友里恵
男性
友里恵
男性
友里恵
翔吾
友里恵
男性
男性
友里恵
男性
友里恵
男性
翔吾
男性
友里恵
私は男性に向かって深々と頭を下げる。
翔吾
男性
男性は先輩に頷き警察官のところに向かっていく。
友里恵
翔吾
翔吾
その時、先輩は鋭い目線で私後ろを見ていた。
翔吾
友里恵
私は後ろを見る。そこには建物の影からこちらを見つめる黒い人影があった。
友里恵
翔吾
先輩は私の手を引きセダンに向かう。
翔吾
友里恵
私は車に乗り込む。先輩は車を勢いよく走らせる。
後ろからは黒のバンが追いかけてきていた。
翔吾
友里恵
先輩は住宅街に車を進める。すると、黒のバンは後ろから消えていた。
翔吾
その時、十字交差点の角からさっきの黒のバンが先輩の車に向かって横から突っ込んでくる。
車は縁石にあたり止まる。
友里恵
その時、私の助手席のドアが開けられ私は引きずり下ろされる。
私が車から引きずり下ろされると外には黒いフードを被った男が立っていた。
友里恵
しかし、あまりの恐怖に私は体が動かなかった。
翔吾
車からは片腕を抑え頭から血を流す先輩が降りてくる。
友里恵
男はポケットからナイフを取り出す。そして先輩を車の車体に押し付ける。
友里恵
翔吾
先輩は押し付けていた男を片足で蹴り飛ばす。男は地面に倒れる。その衝撃でフードがめくれる。
友里恵
翔吾
そこには私が所属している吹奏楽部の顧問の先生がいた。
先生
友里恵
先生
先生は立ち上がり先輩に向き合う。
先生
先生
先生
友里恵
先生
翔吾
先生
友里恵
確かに今まで先生は他の生徒より私に人一倍優しくしてくれた。しかし、先生の恋人になった覚えはない。
先生
翔吾
先生は先輩に向かって突っ込んでくる。先生は先輩の腹部にナイフを突き刺す。
翔吾
友里恵
翔吾
先輩は自分の腹部に刺さったナイフを抜き取り先生の脇下に刺す。
先生
先生はその場に倒れる。
先輩も車にもたれて座り込む。
先生
翔吾
先生
友里恵
私はキッパリ先生にそういい先輩に向かって走り先輩に寄り添う。
友里恵
翔吾
友里恵
翔吾
友里恵
そしてその後、救急車と警察が到着し先生はその場で捕まり先輩と私は病院に搬送された。
先輩と私は病院に搬送され先輩は入院する事になった。
友里恵
翔吾
友里恵
私は俯き。顔を少ししかめる。
翔吾
友里恵
私は笑みを作り先輩に向かって言う。
友里恵
翔吾
翔吾
友里恵
友里恵
外からは夕日が差し込む。夕日の温かい光が私を照らすのであった。
苦手な先輩は今日もギターを弾く [完]
コメント
1件
先輩不器用なだけのただの良いやつじゃねぇか、好き