ななもり。
…おかしいな。すとぷりハウスのWi-Fi、また落ちてる

リビングで作業をしていたななもりが、困り顔でルーターを再起動させた。
しかし、電波強度は回復するどころか、スマホの画面に「ERR_LOVE_OVERLOAD」という謎の警告が出る始末。
るぅと
なーくん、それ無駄だよ。今、さとみくんがころちゃんの隣で『愛のバリア』張ってるから

るぅとが呆れた顔で指さす先には、ソファーでころんを背後から羽交い締めにし、耳元で
さとみ
お前は俺の……俺の空気だけ吸ってろ……

ななもり。
さとみくん、それ。独占欲が高まりすぎて、身体から特殊な電磁波出てるよ。半径5メートル以内の通信が全部遮断されてる

さとみ
…電波なんていらないだろ。ころんとの間に、見えない赤い糸(光ファイバー)が繋がってればそれでいい

ころん
ロマンチックなこと言ってるけど、僕のスマホ、さとみくんが近づくだけで画面がピンク一色になってフリーズするんだけど!!

ころんがスマホを振るが、さとみがさらに密着すると、ついに部屋のテレビまで勝手に起動し、「さとみところんの思い出スライドショー」を爆音で流し始めた。
ころん
うわあああ! 恥ずかしい! 誰だよこれ作ったの!!

さとみ
俺だ。

さとみ
お前が俺以外の情報を取り入れないよう、この家中の全スマート家電をハッキングして、俺たちの愛(仮)の記録しか流れないように設定した

ころん
独占欲の使い道がサイバーテロだよ!!

そこへ、別の部屋からジェルが血相を変えて走ってきた。
ジェル
なーくん! 俺のパソコン、何打っても『さとみLOVE』に変換されるんやけど!

ジェル
これじゃあ動画の編集ができへん!

ななもり。
それはさとみくんの残留思念がWi-Fi経由でジェルのPCに感染したんだね……。

ななもり。
もはやウイルスだね…

ななもり。は溜息をつき、さとみの前に「アルミホイル製の特大テント」を広げた。
ななもり。
さとみくん。悪いけど、作業が終わるまでころんちゃんと一緒にこの中に入ってて。

ななもり。
電波を遮断しないと、グループの活動が止まっちゃうから

さとみ
いいのか? なーくん。ころんと二人きり、完全密室、通信不可。

さとみ
俺がころんをどう料理しても、誰にも助けは呼べないぞ?

ころん
さとみくん、目がガチすぎて怖いから!!

ころん
なーくん、僕を隔離病棟に入れないで!!

結局、アルミホイルのテントの中で、さらに重くなったさとみの愛(と物理的な抱擁)に包まれ、
ころん
通信環境より僕の生存環境を整えてよ……
