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【LINE144】モラハラ気質の夫が勤める旅館に、両親の結婚記念日のお祝いとして宿泊をプレゼント

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【LINE144】モラハラ気質の夫が勤める旅館に、両親の結婚記念日のお祝いとして宿泊をプレゼント

1 - モラハラ気質の夫が勤める旅館に、両親の結婚記念日のお祝いとして宿泊をプレゼント

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2022年11月09日

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リュウ

おい、レイ!

レイ

なに?

リュウ

なに、じゃないだろ!

リュウ

お前、ロクに洗濯もできないのかよ!

レイ

洗濯……?

レイ

今朝したけど……?

リュウ

だーかーら!

リュウ

今日やったってのがダメなんだよ!

レイ

どういうこと?

リュウ

俺が旅館で使う仕事着がないだろ!

レイ

えぇ……

レイ

だって、リュウが洗濯物を昨日のうちに出さないからでしょ?

レイ

私だって仕事してるんだから、

レイ

文句があるなら自分で洗濯すればいいじゃない。

リュウ

はぁ!?

リュウ

お前がやってるのは、誰でもできるスーパーのレジ打ち!

リュウ

俺はな、接客に神経使ってるんだよ!

リュウ

お前とは、責任の重さが違うんだ!

レイ

なによそれ

レイ

私だって、正社員として働いてるから責任あるんだけど?

リュウ

やってることは、パートと変わらないくせに

リュウ

なにが責任のある仕事だよ(笑)

レイ

スーパーだからってバカにしすぎでしょ。

レイ

スーパーも毎日いろいろなお客さんが来るから

レイ

神経すり減らしながら仕事をしてるのよ。

リュウ

とにかく、家事はお前の仕事だから!

リュウ

言い訳するな!

レイ

いや、たまたま私の方が帰ってくる時間が早い日が多いだけ

レイ

そんなに私ばっかりに押し付けないでよ

リュウ

ロクに家事はできてないだろ。

リュウ

そのくせに偉そうに言うな。

レイ

なによ……

レイ

あ、そうそう……

レイ

来月、ウチの両親がリュウの旅館に泊まる予約したから

リュウ

は?

リュウ

なんで勝手な事するんだよ!

レイ

勝手なことって……

レイ

リュウが極楽旅館に就職したのは、私が計画を立てた後なんだもん

レイ

仕方ないじゃない。

リュウ

マジでありえねぇ……

リュウ

まだ慣れてないのに、お前の両親にも気を遣えってのか!?

レイ

べつに気を遣って欲しい訳じゃ……

レイ

両親には、見つけても声かけないように言っておくからさ

リュウ

はぁ……

レイ

両親にはサプライズで、宿泊する1週間前に言うから

レイ

それまでは、二人に言わないでね?

リュウ

ったく、仕方ないなぁ……

リュウ

今回だけだからな

レイ

それじゃあ、一か月後よろしくね?

リュウ

今後、勝手な事するなよ!

三週間後

レイ

お母さん!

セン

あら、レイどうしたの?

レイ

来週、結婚記念日でしょ?

レイ

実はね、サプライズで……

レイ

旅行をプレゼントしまーす!!

セン

えっ、そうなの!?

セン

でも……

セン

私もお父さんも遠出は難しいわよ……?

レイ

大丈夫、近場だし、私が送迎するから!

セン

あら、そうなの……!

セン

嬉しいわぁ……

セン

ちなみに、どこへ連れて行ってくれるのかしら?

レイ

近場で申し訳ないんだけど、極楽旅館だよ

セン

え……?

レイ

どうしたの……?

レイ

景観が綺麗で、お料理も美味しいってクチコミだったから、

レイ

申し込んだんだけど……

レイ

もしかして、嫌だった?

セン

ううん、そうじゃないの。

セン

なんだか、懐かしいなぁ……

セン

って

レイ

えっ!?

レイ

お母さん達、行ったことある……?

レイ

あちゃー……

レイ

ごめん、最初に聞いておけばよかったね……

セン

ううん、いいのよ

セン

すごく思い出のある場所だから

セン

結婚記念日に旅行できるなんてすごく嬉しいわ。

レイ

そっか、それはよかった!

レイ

そうそう、実はね今リュウが働いてるんだ!

セン

え……?

セン

リュウさんって、前までホテルで働いてなかった……?

セン

それに、その前は別の旅館だったわよね……?

レイ

うん、なんだか合わないから辞めるってことが多くてさ……

セン

それ、大丈夫なの?

セン

リュウさん、お仕事そんなに続かないの……?

レイ

大丈夫大丈夫!

レイ

お母さん達に心配をかけるようなことはしないと思うからさ!

レイ

それに、今のところはすごくいいんだって!

レイ

だから、今度こそ続くんじゃないかなーって!

セン

そう……

セン

それならいいんだけど……

レイ

うん、心配しないでね。

レイ

それで、当日なんだけど少し朝早くても大丈夫?

セン

えぇ、私達は大丈夫よ

セン

でも、レイは大丈夫なの?

セン

いつも不規則な時間の勤務ばかりじゃない……

レイ

大丈夫、その日は休みだから!

セン

休みの日は休んで欲しいけど……

セン

ありがとうね

レイ

ううん、いいの!

レイ

将来、子どもが生まれたらお母さん達に

レイ

助けてもらうことが増えると思うしさ!

セン

あらあら。

セン

それじゃあ、当日楽しみにしてるわね?

レイ

うん!

1週間後

セン

レイ、ちょっといいかしら?

レイ

どうしたの?

レイ

車内に忘れ物した?

セン

ううん、違うの……

セン

今、お父さんと受付をしたんだけど……

セン

今日、私達の予約は入っていないって言われたの……

レイ

えっ!?

レイ

そんなはずないよ!

レイ

私、一週間前に予約入れたし

セン

どうしましょう……

セン

この辺、駅やバス停も見当たらないし……

レイ

ごめん、ちょっとだけ待ってもらってもいい!?

レイ

リュウに確認してみるから!

数分後

レイ

リュウ、仕事中にごめん。

レイ

ちょっと確認してもらいたいことがあるんだけど!

リュウ

なんだよ、今は朝のお迎えで忙しい時間なんだぞ!

レイ

ごめん

リュウ

で、確認して欲しいことってなんだよ?

レイ

あのね、今日ウチの両親が旅館に泊まる予約をしたんだけど

レイ

予約がされてないって言ってるの……

レイ

でも、私ネットを経由して予約してるし、

レイ

その履歴も残ってるから確認してもらえない?

リュウ

あぁ、その予約な。

リュウ

キャンセルしてるぞ?

レイ

は?

レイ

え、なんで……!?

リュウ

なんでって、お得意様が来ることになったからだよ。

リュウ

お前の両親はいつでも来られるだろ?

リュウ

だから、俺が上司に言って身内が今日じゃなくてもいいって

リュウ

言ってるからって言って、予約を消してもらったんだ

レイ

はぁ!?

レイ

リュウ、私にそんなこと言ってないじゃん!

レイ

なんで勝手なことをするの!

リュウ

勝手なことって……

リュウ

お前の両親は近場に住んでるんだ

リュウ

だから、いつでも泊まりにこれるだろ?

リュウ

だけど、お得意様の予約を断ったら今後

リュウ

関係がうまくいかなくなる可能性があるんだ。

リュウ

そんなの、どっちを優先すべきかなんて決まってるだろ!

レイ

サイッテー……

レイ

マジであり得ないんだけど!

レイ

ウチの両親、今日結婚記念日なの!

レイ

だから予約したって話したよね!?

リュウ

何年も結婚記念日迎えてるんだから、

リュウ

別に今日じゃなくてもいいだろ

レイ

本当、信じられない……

レイ

先に両親に連絡してくる

リュウ

あぁ、言っとけ言っとけ(笑)

リュウ

別の日ならいつでも予約できるってのもな!(笑)

数分後

レイ

お母さん、本当にごめん……

レイ

予約、キャンセルしたみたいなの……

セン

あらあら……

セン

それは残念ね。

セン

でも、大丈夫よ。

セン

誰にでも失敗や間違いはあるもの

レイ

……違うの。

レイ

リュウがわざとやったみたいなの。

セン

わざと……?

セン

どういうことかしら……?

レイ

旅館に、お得意様がいらっしゃったんだって。

レイ

だから、お父さんとお母さんのことは、自分の身内だから、

レイ

キャンセルして、お得意様を優先して予約しろって

レイ

言ったんだって。

セン

え……?

セン

なに、その酷い話……

セン

あ、ちょっと待ってね

レイ

レイ

どうしたの、お母さん?

セン

ちょっとお父さんから確認したいことがあるって言うから、

セン

お父さんとやり取りをしてくれる?

レイ

う、うん……分かった。

数分後

ジョウ

レイ、詳しく話を聞かせてくれるか?

レイ

うん。

レイ

あのね、今日旅館の予約を取ってたんだけど、

レイ

キャンセルされたんだ。

レイ

で、今リュウが極楽旅館で働いてるから、

レイ

予約の確認をして欲しいって言ったら、

レイ

予約は、リュウが勝手にキャンセルしたって……

ジョウ

勝手にキャンセルした理由は?

レイ

お得意様がいるんだって。

レイ

で、その人が大事で、お父さんとお母さんは

レイ

近場でいつでも泊まりに来られるから……

レイ

って

ジョウ

なるほど、そう言う事か……

レイ

ごめんね、せっかくの結婚記念日なのに……

レイ

すぐにお父さん達を迎えに戻るから!

ジョウ

いや、2時間くらいあとでも構わないか?

ジョウ

少し、旅館の人間と話してくる。

ジョウ

で、そのあとは折角だから少し観光しようと思うんだ

ジョウ

構わないか?

レイ

うん、私は大丈夫だけど……

ジョウ

それじゃあ、また二時間後に

1時間後

リュウ

おい、レイ!

リュウ

お前、なんで言わなかったんだよ!

レイ

え?

レイ

なに、どうしたの?

リュウ

どうしたじゃねぇよ!

リュウ

お前なんで父親が極楽旅館設立者だってこと

リュウ

黙ってたんだよ!

レイ

え?

レイ

ごめん、どういうこと?

リュウ

どういうことじゃねぇよ!

リュウ

さっき、お義父さんが俺の上司と話をして、

リュウ

支配人を交えて話すことになったんだ。

リュウ

で、支配人がお義父さんを見た瞬間に顔色を変えたんだ。

リュウ

娘から話を聞いたって……

リュウ

で、俺が呼ばれてクビになったんだぞ!

リュウ

どうしてくれるんだよ!

レイ

どうしてくれるって……

レイ

そんなこと言われても……

リュウ

ていうか、お前の父親がこの旅館を作ったんなら、

リュウ

ゆくゆくは俺が社長とかになれたはずだろ!?

リュウ

それなのに、そんな大事なことを黙っておいて……

リュウ

絶対得意先だっていう客より、優先するべきだろ!

レイ

いやいや……

レイ

得意先のお客さんを優先するって言ってたのは、

レイ

リュウじゃない……

レイ

それを、ウチの父親が旅館を設立したことを知ったら

レイ

手のひら返してそんな態度を取るって……

レイ

酷すぎるんじゃない?

リュウ

酷いのはお前だよ!

リュウ

ったく……

リュウ

俺が家に帰っても家のことはロクにできてない。

リュウ

それで、自分がパートに毛が生えたような仕事をしてるってだけで

リュウ

偉そうにふんぞり返りやがって

レイ

は?

レイ

それなら言わせてもらうけど、リュウは

レイ

全然仕事続かないじゃない!

レイ

リュウが求職してる間、家賃や生活費を全部払ってたのは私だよね!?

レイ

初めて会社を辞めた時から、私が払ったのをいいことに、一度も払わなくなったじゃない!

レイ

おまえけに、私が全部の家事をするって……

レイ

しかも、その家事に対して文句をつけられるって……

レイ

アンタ何様よ!!

リュウ

なんだよその口の利き方!

リュウ

もういい、前々からお前との生活には不満があったんだ……

リュウ

もう離婚だ!離婚!

レイ

えぇ。いいわよ

リュウ

へ?

リュウ

お前、俺がいなくなったら困るだろ?

レイ

なんでよ?

レイ

さっきも言ったけど、今家賃や生活費を払ってるのは、

レイ

ほとんど私なの。

レイ

逆に、リュウが困るんじゃないの?(笑)

リュウ

はぁ!?

リュウ

俺が困るわけないだろ!

リュウ

バカにすんなよ!

レイ

それじゃあ、もう離婚しましょう。

レイ

あなた、困らないんでしょ?

リュウ

あぁ、当たり前だ!

リュウ

男を立てることができない女なんて、こっちから

リュウ

願い下げだからな!

数か月後

リュウ

お義父さん、少しお時間よろしいですか?

ジョウ

リュウくん?

ジョウ

キミにお義父さんと呼ばれる筋合いはないが、

ジョウ

なんだ?

リュウ

実は少しご相談がございまして……

ジョウ

相談?

リュウ

はい、僕のことを旅館に戻してもらえるように

リュウ

ジョウさんの方からお話してもらえないでしょうか?

ジョウ

は?

ジョウ

なぜだ?

リュウ

その……やはり僕は、極楽旅館で働かせて頂きたくて……

ジョウ

違うだろう?

ジョウ

キミ、次の就職先が見つからないんだろう?

リュウ

な、なぜそれを……!?

ジョウ

一線を引いたが俺はまだまだ旅館、ホテルの業界には顔が効くけど

ジョウ

キミのように客の予約を勝手にキャンセルし、

ジョウ

ホテルや旅館の利益だけを求められては、

ジョウ

今はうまくやれても、今後残っていくのは厳しいだろうからな

リュウ

そんな……!

リュウ

普段はそんなことしませんよ!

リュウ

あれは、レイの身内だからと思って……

ジョウ

なるほど、キミはレイのことを下に見ていたんだな?

ジョウ

まぁ、キミ達は離婚したから関係のないことだな

ジョウ

だから、俺がキミの話を他の旅館、ホテルにする必要はない

リュウ

そ、そんな……!

ジョウ

人のことを見下すからこうなるんだ。

数時間後

リュウ

レイ、久しぶり……だな

レイ

リュウ?

レイ

本当、久しぶりね。どうしたの?

リュウ

レイ、俺のことを心配してくれるんだな……!

レイ

は?

レイ

いや、心配とかはしてないけど……

レイ

で、用件はなに?

リュウ

あぁ、そうだ。

リュウ

大事な話があるんだ。

レイ

なに?

レイ

手短にしてくれる?

リュウ

俺と、ヨリを戻して欲しいんだ

レイ

お断りします。

リュウ

なんでだよ!?

リュウ

少し考えてくれてもいいじゃないか!

レイ

ん-そうねぇ

レイ

お断りします。

リュウ

いや、だから考えろって!

レイ

いや、さっき考えたじゃない、2秒くらい

リュウ

お前なぁ……

レイ

というか、ヨリを戻して得をするのはリュウだけでしょ?

リュウ

な、なんでだよ……!

リュウ

お前にだってメリットがあるだろ!

レイ

メリット?

レイ

じゃあ、それを教えてもらえる?

リュウ

そうだな……癒しを与えることができる

レイ

いや、アンタから癒しなんてないし、

レイ

一緒の空間にいたら、逆にストレスになるわw

リュウ

なんでそんな酷いことが言えるんだよ!

レイ

あなた、就職先が見つからない、お金がない。

レイ

そうだ、私に助けてもらおう!

レイ

って、魂胆でしょ?

リュウ

は?

リュウ

そんなわけないだろ……!

レイ

そうとしか思えないわよ。

レイ

あなた、人の仕事をバカにしておいて、

レイ

自分の誇り高き仕事はすぐに辞めるものね?(笑)

リュウ

お前に連絡しようとした俺が間違えてたな

リュウ

お前みたいに可愛げのない女、こっちから願い下げだ

レイ

あーはいはい。

レイ

どうせ私は可愛げのない女ですよ

レイ

でも、可愛げがないからって

レイ

あなたに何を言われてもいいってわけじゃないからね?

リュウ

それはそうだけど…

リュウ

でも元旦那として

リュウ

もっと俺のことを気にかけるのが

リュウ

当たり前ってもんじゃないのか?

レイ

だからさっきも言ったでしょ?

レイ

普段から主婦だからって下に見て

レイ

父さんとお母さんの記念日も

レイ

台無しにされて

リュウ

ぐっ…

レイ

それでいきがって

レイ

勢いで私と離婚するって言って

レイ

いざ離婚して

レイ

自分が困る状態になったら

レイ

私に泣きついてくるなんて…

リュウ

それは…

レイ

あなた

レイ

客観的に見て

レイ

自分がどれだけ恥ずかしいことをしてるのか

レイ

わかってるの?

リュウ

俺は悪くない!

リュウ

だって

リュウ

妻っていうのは旦那のために働くものだし

リュウ

仕事に関しても

リュウ

あの時はあれが最善だと思ってやったんだ!

レイ

そもそもの前提が間違ってるのよね…

レイ

お互いが正社員なわけで

レイ

立場は一緒なんじゃないの?

レイ

それなのに女だからって家事をさせるとか

リュウ

それは…

レイ

いつの時代の価値観なのよ…

リュウ

だ…

リュウ

だって…

リュウ

うちは父さんが亭主関白なんだ

リュウ

だからそれが当たり前だと思ってたんだよ…

レイ

あー

レイ

そういうことね…

レイ

そういうことがあって

レイ

今のあなたができあがったのね…

レイ

かわいそうに…

リュウ

可哀想にってなんだよ…

リュウ

俺の方が正しいんだよ!

リュウ

お前がおかしいんだ!

レイ

話が通じないわね…

レイ

自分の世界だけに閉じこもって

レイ

それで幸せに過ごしていたのね…

リュウ

なぁ…

リュウ

そんなこと言わずにさ…

リュウ

頼むよ…

リュウ

俺このままじゃ

リュウ

仕事がなくなっちゃうんだよ

レイ

そんなこと言われてもね

レイ

知らないわよ

リュウ

そんな…

リュウ

お父さんにさ…

リュウ

言ってくれよ

リュウ

俺のことを

レイ

今更何を言うのよ?

レイ

こんな酷い仕打ちをして

リュウ

うっ…

レイ

さらにお父さんとお母さんに

レイ

迷惑をかけるようなことをして

リュウ

それは…

レイ

もう何も言うことなんてないでしょ?

リュウ

そうかも知れないけど…

リュウ

でもこのままじゃ…

リュウ

俺が路頭に迷うんだぞ…!

レイ

それで結構ですよーだ。

レイ

実家に帰って

レイ

自分の両親のことでも大事にしてたら?

リュウ

なんだよそれ…

リュウ

俺の実家が厳しいの知ってるだろ…?

リュウ

仕事をやってない男なんて

リュウ

生きてる価値ない!

リュウ

そんな父親だって…

レイ

そうね

レイ

あなたとこの前ご実家に行った時に

レイ

会社を辞めたり

レイ

転職をしたりで

レイ

あなたが仕事を転々としてることを伝えたら

レイ

かなり怒られたものね?

リュウ

そうだよ…

リュウ

めちゃくちゃ厳しいんだからな!

リュウ

もしこの後

リュウ

仕事が見つからないなんてことになったら…

レイ

大変なことになりそうね?

レイ

私の仕事の話をしたら

レイ

スーパーの正社員なんてって

レイ

かなりグチグチ言われたし

レイ

もっとちゃんとした仕事をしろって

レイ

怒られたもんね?

リュウ

くっ…

リュウ

そうだよ

リュウ

家に帰れないし

リュウ

絶対追い出されることになってしまうんだよ…

リュウ

頼むよ…

レイ

私にはどうしようもないわね?

レイ

頼むなら私じゃなくて

レイ

私のお父さんじゃないかしら?

レイ

まぁ、とてもじゃないけど

レイ

話を聞いてくれるとは思えないけどね?

リュウ

お前から口利きしてくれよ

リュウ

少しだけでいいから優しくしてあげてって

レイ

いやよ

レイ

自分で頑張りなさい?

リュウ

そんな…

リュウ

少し自分で話してみる

翌日

リュウ

お義父さん…

ジョウ

また君か…

ジョウ

それに…

ジョウ

今更君にお義父さんと呼ばれる筋合いはないけどね?

リュウ

うっ…

ジョウ

なんだね?

リュウ

いや…

リュウ

それが…

リュウ

なんと言ったらいいのか…

ジョウ

私も暇じゃないんだよ

ジョウ

現役を離れた身とは言え

ジョウ

色んなホテルや旅館から

ジョウ

相談を受けたりもするからね

リュウ

それは…

リュウ

すみません…

リュウ

ただ…

ジョウ

なんだね?

リュウ

やはり今一度

リュウ

私がホテルや旅館など

リュウ

観光業界で働けるように

リュウ

この辺りの方々に

リュウ

少し口を聞いていただくことは可能でしょうか?

ジョウ

これはこの前も言ったけど…

ジョウ

君みたいに

ジョウ

お客様のことを数字として見ておらず

ジョウ

心遣いなどができない人は

ジョウ

向いてないよ

リュウ

で、でも…

リュウ

このままじゃ僕は

リュウ

実家からも追い出されてしまうかもしれないんです!

ジョウ

あー

ジョウ

君のお父さんの厳しさはね

ジョウ

私も存じてるよ

リュウ

え?

リュウ

うちの父親のことをそこまでご存知なのですか?

リュウ

なんで…?

ジョウ

いや、そもそも顔合わせとかで会ってるし

ジョウ

結婚式でも色々とお話したよ

リュウ

そうなんですね…

ジョウ

その時から

ジョウ

彼がどれぐらい君のことを

ジョウ

厳しく育てていたのかは

ジョウ

聞いてるよ

リュウ

そうだったんですね…

ジョウ

それに

ジョウ

君のお父さん…

ジョウ

実はお仕事でたまに会う機会があってね

リュウ

リュウ

お仕事でもですか?

ジョウ

食材商社の社長さんだからね

ジョウ

知り合いのホテルや旅館に

ジョウ

食材を卸してもらってて

ジョウ

その時に会ったりしててね

リュウ

そうなんですね…

ジョウ

彼も色々言ってたよ

リュウ

ジョウ

君がなかなか仕事が安定せず

ジョウ

転々としていること

ジョウ

仕事への姿勢が気にいるものじゃないこと

リュウ

それは…

ジョウ

本当は君に会社を継いで欲しいらしいけどね

ジョウ

まだそこまで任せられるほど

ジョウ

君のことを信頼できないって

リュウ

うっ…

ジョウ

会社の社長になるからには

ジョウ

人との関わりをしっかりと保たないといけないし

ジョウ

ちゃんと一つのことに打ち込まないといけないからな

リュウ

そうですね…

ジョウ

今の君を見ていて

ジョウ

とてもじゃないけど

ジョウ

そんなことができそうだとは思えないからな

リュウ

そんなこと…!

ジョウ

できるのかね?

リュウ

いえ…

リュウ

できないです…

ジョウ

そうだろう?

ジョウ

そう思うなら

ジョウ

ちゃんと心を入れ替えて

ジョウ

働いて

ジョウ

その姿勢を見せないとな

リュウ

はい…

リュウ

でも…

リュウ

そのためにも…

リュウ

仕事の方を…

ジョウ

そんなにこの業界にこだわるのは何か理由があるのかね?

ジョウ

ちょっと私には

ジョウ

君がなぜそこまでこだわるのかが

ジョウ

あまりわからないのだが…

リュウ

それは…

リュウ

やっぱり…

リュウ

なんとなく仕事がわかってる方が

リュウ

働きやすいかなぁって…

ジョウ

そんな理由なのかね?

ジョウ

何かこの業界が好きな理由とか

ジョウ

そういうものはないのかね?

リュウ

あ、ありますよ?

リュウ

やっぱり人が楽しいことをしに

リュウ

旅行に来ていることを

リュウ

支えられるなんて

リュウ

嬉しいですよ

ジョウ

へぇ…

ジョウ

そうなのかね…

ジョウ

本当かね…?

リュウ

勿論ですよ!

リュウ

当たり前じゃないですか!

ジョウ

私たちの予約をキャンセルしたというのに

リュウ

あ…

リュウ

それは…

リュウ

なんと言いますか…

リュウ

色々とみんなの幸せを考えた結果というか…

リュウ

全体の幸せの最大化というか

ジョウ

そうなのかね…

ジョウ

自分のホテルの予約をしていた人を

ジョウ

利益のためにキャンセルする人が

ジョウ

本当にこの業界のことを

ジョウ

愛してるとは言えるのかね?

リュウ

いえ…

リュウ

それは…

リュウ

なんというか…

リュウ

不可抗力というか…

ジョウ

ほう

ジョウ

そうなのかね

リュウ

はい…

リュウ

そうですね…

ジョウ

興味深いね

ジョウ

ぜひその話を

ジョウ

色々なホテルなどで

ジョウ

言ってきたらいいよ

リュウ

それは…

リュウ

流石にそんなことを言ったら…

リュウ

どこのホテルにも

リュウ

入れないような…

ジョウ

自分でもわかってるようだね?

ジョウ

まぁ、恐らくそうなるだろうとは

ジョウ

思うけどね

リュウ

それは…

ジョウ

まぁ、とにかく

ジョウ

君のことを助けることはないから

ジョウ

自分で頑張りたまえ

ジョウ

わかったね

リュウ

そんな…

後日談

レイ

その後、リュウは旅館、ホテルでの採用は見込めないと知り、

レイ

他の業種の面接を受けるものの、転職が異様に多いことから、採用にはつながらず。

レイ

今は、散々バカにしていたスーパーでレジをしているらしい。

レイ

それも毎日、自分よりも年が下の社員から怒られているとか

レイ

私は一旦は独身で自分のために働き、今度はいい人を見つけようと思います。

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