テラーノベル
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Mr.銀さん
銀さんが心配そうに覗き込んでくる。
それは僕が休み時間になってもずっと席から動かなかったからだろう。
Mr.銀さん
Mr.すまない
嘘だった。
だが、真実を話すわけにもいかなかった。
ーー昼休み。
ラッシュを中心に、何人かが集まって騒いでいる。
リーダーシップのある彼は、いつも人の輪の真ん中にいる。
一方で…………
アレス
アレスは窓側で一人、本を読んでいた。
静かで、感情が読めない。
まるで、別の水槽にいる魚のようだった。
マネーが通りがかりに、鼻で笑うのが見えた。
Mr.マネー
アレス
その声にアレスが反応している。
喋ること自体が珍しい彼の声を聞いて、驚いた何人かがアレスへ目を向ける。
Mr.マネー
マネーは人を平気でからかう、そういう人だった。
僕は昔から知っている。
そう言われて、アレスは顔も上げない。
その様子を、カスミがちらりと見て、何も言わずに視線を逸らした。
僕は、その瞬間を見逃さなかった。
見て見ぬふりは、 優しさの仮面を被った暴力だ。
Mr.すまない
ーー放課後。
雨が降り始めていた。
校舎の窓を叩く音が、一定のリズムを刻む。
僕は帰り支度をしながら、旧校舎の方向を見た。
立ち入り禁止のテープが、風に揺れている。
ーー行ってはいけない。
頭ではわかっている。
それでも、足が動かなかった。
一年前と同じ雨。
同じ匂い。
同じ空の色。
過去は、鎖のように足に絡みつく。 どれだけ離れたつもりでも、 引き戻す力を失わない。
そのとき。
きゃああああああッッ!!!!!!
旧校舎の方から、悲鳴が響いた。
教室が、一瞬で凍りつく。
次の瞬間、誰かが走り出し、誰かが叫び、誰かが立ち尽くした。
僕は、動けないままだった。
胸の奥で、何かが静かに崩れる音がした。
ーー始まってしまった。
水槽の硝子が、音もなく、完全に割れた気がした。
コメント
4件
ゼファ様のオリキャラ、?めっちゃ好きです⋯🥰
えぇ〜!続きがとても楽しみです〜! 頑張って書いてください!