桃赤
もうなんなの…っ
なんで成人した俺が女子高生になって高校に行かなきゃいけないの?!
なんでこんなにスカート短いの!
俺男なんだけど!?
事の発端は数日前
赤
画面の先から聞こえる母親の言葉に俺は声を上げた
赤~母~
赤
赤~母~
その言葉に昔を思い出す
確かに可愛がってはいたけども
赤
赤
赤~母~
そういう問題か?
従姉妹というのは現役女子高生の "赤鬼 莉奈"ちゃんで俺とは全く性格が違う5歳年下の女の子
よく双子か間違われていた
だが最近は遊ぶこともないし会ってすらいないのに
一旦落ち着くために持っているカップに口をつける
赤
念のため理由を聞く
赤~母~
赤~母~
いや知らんがな
赤~母~
赤~母~
まぁ、授業とかは一回聞けばなんでも解けたりしたけどさ
赤~母~
赤
赤~母~
赤~母~
結局引き受けてしまったけどさ!!
無理に決まってるでしょ〜っ
今は全然見た目違うって絶対
莉奈ちゃんは腰まで伸びたストレートの赤髪に緑の瞳
一応ウィッグにカラコンはしたけど…
窓の反射で映る自分が視界に入る
赤
モブ
後ろから呼ばれる声に肩が動く
モブ
モブ
えっと…確かこの子は…
モブ
赤
挨拶をするとモブはキョトンとした表情を見せる
モブ
赤
早くも初っ端から疑われるわけにはいかず咄嗟に手を前に出して否定する
モブ
モブ
赤
ガラッとドアを開くと一斉に視線を向けられる
そりゃあ入学式以来なんだから当たり前か
コソコソと話されるまま教えてもらった席に鞄を置いて座る
赤
席は窓際の1番後ろで学生時代と同じ位置だった
いつもここで音楽を聴きながら窓の外を見ていた記憶がある
昔のことを思い出しているとチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた
先生
なんだかこの声もどこか懐かしい
先生
先生
赤
思わずガタッと椅子を鳴らす
先生
モブ
モブ
先生は少し黙ってから口を開くと周りの生徒たちが楽しそうに笑った
バレないように胸を撫で下ろす
その後もホームルームは続きチャイムが鳴ると先生は教室を出て生徒たちはワイワイと騒いでいる
俺は頬杖をついてずっと窓の外を見ていた
前の席に座る人が振り向いて可愛らしい笑顔を向ける
制服を見る限りは男の人みたい
赤
苗字は、だけどね
黄
礼儀正しい人だな
赤
赤
莉奈ちゃんが学校に来ることになったら話しとけばいいし
黄
黄
赤
赤
黄
赤
黄
ありがとうと言って俺は教室を後にした
ボスっと身をベッドに投げ込む
頭、痛い
きっと昨日夜更かししたからだろう
こんなこと知ったらあの人怒るかな
…………会いたい
どのくらい会ってないかな…
てか、なんで昨日の夜クラス写真とクラスメイトの名簿持ってくんの
お陰様で寝不足なのですが?!
赤
体を起こし座ったまま地面に足をつける
そろそろ一限始まるかな
今のところバレてないみたいだけど
赤
莉奈ちゃんって普段どんな性格なんだろ
赤
赤
その瞬間背後に重みを感じ、目を見開いた
名前を呼ばれ、ウィッグが外れる
正確に言うと外された
赤
鼓動が速くなるのを感じる
振り向いて視界に入ったのは
桃
さとみくんだった
え、知り合いって
この事?!
お母様…この人
紛れもなく
恋人なのですが…??
お母様…??
赤
桃
赤
さとみくんは俺をバックハグしながら首筋にすりすりと擦り寄ってくる
桃
さとみくんは少し笑い混じりに言って俺の髪を指先でいじり始めた
桃
赤
どうしよう…これ言っていいのかな
でも嘘ついて怒られたくないし
赤
桃
一通りの内容を話し終わると彼は俺の髪で遊びながら、なぜ俺が此処にいるのか理解したらしい
桃
さとみくんはどこか納得のいかない様な表情をしている
不思議に思いながら次の言葉を待つ
さとみくんはぶつぶつと何か狼狽えている
耳をすませてみれば
桃
何を言ってるんだコイツは
赤
桃
さとみくんは光の速さで俺を方を向き両肩を掴んだ
桃
赤
赤
桃
赤
桃
赤
桃
暫くして落ち着いたさとみくんは口を開いた
桃
赤
桃
赤
桃
赤
そう言うとさとみくんは楽しそうに笑った後俺を押し倒して耳に顔を近づけた
桃
桃
一気に低くなった声にビクッと体が動く
赤
耳を舐める音が久しぶりで鮮明に聞こえる
赤
さとみくんの吐く息が移動していくのを感じる束の間首筋にピリッと痛みが走る
桃
と言ってペロッと痛みの走ったところを舐めた
~ end ~