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蘭side
雨乃こさめ
美術準備室の長机に広げた お弁当の中のりんごを見て 恋醒が目を輝かせる。
桃瀬らん
私はグッと握り拳を作ってみせ 少し自慢げに頷く。
決戦という言葉にサンドイッチを 食べていた美琴の手が止まる。
桜黄みこと
桃瀬らん
思わず私が吹き出し釣られて 恋醒と美琴も笑い出した。
昼休み、私は顧問の大神先生に頼み込み 準備室を貸し切っていた。
5、6限目が選択美術という こともあり先生はあっさりと 鍵を開けてくれたのだった。
桃瀬らん
金曜日の午後は自由選択になっており 私たちは当然のように美術を 選択している。
威榴真は帰宅コースだったが最近は 映画の追い込みで最終下校時刻まで 残っていることが多かった。
それでも行き違いにならないようにと 今朝、待ち合わせのLINEを 送ったところだ。
雨乃こさめ
桜黄みこと
恋醒と美琴が頷き合うのを見て 私は首を傾げる。
桃瀬らん
雨乃こさめ
桃瀬らん
険しい顔でいきなり名前を 呼んだかと思ったら正面に 座る恋醒が身を乗り出した。
そして自分の目の下を 勢い良く指した。
雨乃こさめ
雨乃こさめ
桜黄みこと
桜黄みこと
気がつくと隣に座る美琴も 真面目な顔で私を見つめていた。
2人の優しさにじわりと 視界が滲んでくる。
桃瀬らん
桜黄みこと
美琴はそっと手を掴み 念を送るように「むむむ ... 」 と唸り出す。
その光景に恋醒も手を伸ばし いつになくキリッとした表情で言う。
雨乃こさめ
桜黄みこと
雨乃こさめ
美琴の天然っぷりに恋醒が きょとんとした顔で ツッコミを入れる。
なんていうことのない やり取りだったが私は肩の力が 抜けていくのを感じた。
桃瀬らん
今日こそ本番をと意気込んだは いいけれど一方でガチガチに 固まっていたらしい。
言葉だけで終わらない 友情に感謝しながら 私は鞄の中からコスメの 入ったポーチを取り出す。
桃瀬らん
ファスナーを開けると 恋醒達が目を輝かせる。
雨乃こさめ
桜黄みこと
雨乃こさめ
桃瀬らん
恋醒と美琴が興味津々で 私のポーチの中身を眺めている間に 軽くくまを隠して唇にグロスを塗る。
平然を装いながらも刻一刻と迫る 約束の時間に私の鼓動は 高鳴るばかりだった。