テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
90
270
ミユリス
315
コメント
1件
読了しました〜!第6話、入学式からの教室の空気感がすごく丁寧で、透くんの緊張がひしひし伝わってきました。同じクラスになれた雫とのやりとりもほっこりするし、担任の神凪先生の「喰紋だけで人の価値を決めないで」って言葉、すごく深くて印象に残りました。これからどんな出会いが待ってるのか、すごく気になります。次話も楽しみにしてますね🌙🤍
コム(主)
――合格発表から数時間後。
喰紋皇学院の体育館。
新入生たちが、整然と並べられた椅子に座っていた。
壇上には学院の校章。
その下には、巨大な文字で――
『入学式』
と書かれている。
透は静かに周囲を見渡した。
自分と同じように緊張している人。
友達と楽しそうに話している人。
すでに仲良くなっている人。
本当に、いろんな人がいる。
心晴雫
紡綴透
心晴雫
紡綴透
心晴雫
雫はいつものように、柔らかく笑った。
心晴雫
その瞬間――
壇上へ、一人の教師が上がった。
先生
先生
その言葉とともに、大きな拍手が起こった。
透も静かに拍手をする。
――今日から。
本当に始まるんだ、
自分の選んだ道が。
入学式が終わると、新入生たちはそれぞれの教室へ向かっていった。
廊下には人が溢れている。
A
B
そんな声が飛び交う中、 透と雫は掲示板を確認した。
1年1組
その文字の下に――
紡綴 透 心晴 雫
二人の名前がある。
紡綴透
心晴雫
心晴雫
二人は教室へ向かった。
一年一組。
扉の前。
透は一度、深呼吸する。
紡綴透
心晴雫
雫が聞く。
紡綴透
紡綴透
心晴雫
雫は扉に手をかける。
心晴雫
ガラッ――。
扉が開いた。
そこには、まだ名前も知らないクラスメイトたちがいた。
窓際で外を眺めている生徒。
友達と楽しそうに話している生徒。
机にうつ伏せている生徒。
本を読んでいる生徒。
一人で静かに座っている生徒。
教室の中には、それぞれ違う空気が流れていた。
透が席へ向かおうとした、その時。
クラスメイト
明るい声が飛んでくる。
透が振り返る。
クラスメイト
紡綴透
まだ名前も知らない。
だけど――
これから三年間、一緒に過ごす仲間になる。
そう思うと、透はなんだか緊張しなくなった。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った。
ガラッ。
教室の扉が開く。
入ってきたのは、一人の男性教師だった。
白い髪。
そして、その毛先だけが黒く染まっている。
黒いロングコートを身にまとい、静かな足取りで教壇へ向かう。
神凪 零
そして振り返る。
神凪 零
穏やかな声だった。
神凪 零
神凪 零
神凪 零
生徒たちは一斉に頭を下げた。
「よろしくお願いします!」
神凪は微笑む。
神凪 零
そして、教室を見渡した。
一人。
また一人。
全員の顔を確認するように。
その視線が、透のところでほんの一瞬だけ止まった。
神凪 零
透は気づかなかった。
神凪は何事もなかったように視線を戻す。
神凪 零
神凪 零
教室が静かになる。
神凪 零
神凪 零
神凪 零
神凪 零
神凪は優しく微笑んだ。
神凪 零
その言葉に、透の目が少しだけ揺れる。
神凪 零
神凪 零
静かな言葉だった。
けれど、不思議と教室全体に残った。
神凪は黒板へ向き直る。
神凪 零
神凪 零
教室が少しざわつく。
神凪 零
神凪 零
一番前の生徒が立ち上がる。
「はい!」
そして――
透は自分の順番を待ちながら、周囲を見渡す。
この中に、
――になる人がいるかもしれない。
――――になる人がいるかもしれない。
いつか、―になる人がいるかもしれない。
そんなことを、この時の透はまだ知らなかった。
ただ一つ。
今の透でも分かる。
後の透も分かる。
この日が――
すべての始まりだった。