テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
第2話、めっちゃ胸にきた…。ヴァイスが心を癒す能力でザフィーアを支える一方で、それが依存になってる自覚に気づいていく流れが辛いし、切なかったわ。逃げようって手を差し出したシーンはめちゃくちゃ熱かったし、あの無防備な寝顔にそっとキスするところ、優しさと危うさが混ざっててグッときた。依存し合う関係って言葉だけなら重いけど、2人の間では温かくも感じられるのがまた…。続き、どうなるんだろう?
1,031
耀聖(ようせい)
1,623
椿
27
あれから、かなり時間が経った。
ザフィーアとは親友になり、館に泊まることも多くなった。
そんな中、ザフィーアも段々と悩みを打ち明けるようになってきた。
ヴァイス
ザフィーアの腕や脚には切り傷が見え隠れしていた。
その指摘を受けると、ザフィーアは固まって、下を向いた。
ヴァイス
ザフィーアは静かに頷いた。
ヴァイス
ザフィーア
ザフィーア
ヴァイス
ヴァイス
ザフィーア
それからもザフィーアの傷は日に日に多くなっていった。
傷が多くなっていく度に、心まで傷ついていった。
オレが止めようと思っても相手は魔王。
オレに出来ることは、ただ治すことだった。
ザフィーア
ザフィーア
ヴァイス
ヴァイス
ザフィーアの目は虚ろになっていく。
ザフィーア
ザフィーア
ザフィーア
ザフィーアの心が濁っていく。
ザフィーア
ヴァイス
ヴァイス
ヴァイス
ヴァイス
オレはザフィーアの濁った心に手をかざして、綺麗にしていく。
虚ろだった目に生気が宿る。
ザフィーア
ザフィーア
ヴァイス
ヴァイス
ヴァイス
この能力を初めて使った日だった。
それからオレは浮かれて、ザフィーアが悲しむ度に元気にしてやった。
ザフィーアの笑顔が見たくて。
ラピス
ラピス
ザフィーア
ザフィーアに妹が生まれて、よく3人で遊ぶようにもなった。
何もかもが平和に思えた。
気づけば、ザフィーアはオレの身長を越していて、魔力もオレより多くなっていた。
もうすぐオレ達は成竜になる。成竜になるということはザフィーアが魔王になるということだ。
ザフィーア
ヴァイス
ザフィーア
ザフィーアは角も成長して、角張ってきて、尻尾も抱えれるくらい大きくなった。
だが、昔のように心の底から笑うことはなくなった。
いつも心のどこかで絶望している。 それは治しても治らない、ずっとある傷。
昼はいつものように外へ出て、大量発生している雪兎を狩って過ごす。
オレは館にあったショットガンを借りて、襲ってくる雪兎を次々撃ち抜いていく。
ザフィーア
ヴァイス
ザフィーア
ヴァイス
ザフィーア
ザフィーアはにこっと笑おうとするが、顔が強ばる。 そのまま力が抜けるように雪の上に寝転んだ。
ザフィーア
ヴァイス
ザフィーア
ザフィーアは横で仕留められた雪兎の血を手に付ける。
ザフィーア
ザフィーア
ザフィーアの心はもう限界だった。
長年、魔王になるために虐待にも近い訓練を受け、なりたくもない魔王の座を羨んで、ザフィーアを追い詰める奴だっている。
それを今まで耐えてきたことが異常だったのかもしれない。
ヴァイス
ザフィーア
ヴァイス
ザフィーア
ヴァイス
オレは手を差し出した。
ヴァイス
ザフィーア
ザフィーアは静かにこくっと頷き、オレの手を取った。立ち上がるのも待ってられず、オレは走り出した。
ザフィーアを連れてとにかく走った。西へ、西へと。
そこから始まったこの逃走劇は過酷なものだった。
二人で協力して木材で簡単なツリーハウスを作って、そこ一帯にステルス魔法をかけた。
歩く度にミシミシと不安になる音が響くが、とりあえず寝られる場所は確保できた。
疲れて寝ているザフィーアの不安な心をオレがまた癒す。
最近になってやっと母さんの言っていた危険性が分かった。
心を治すというのは、根本的には治せていない。ストレス源がある限り、それは一時的な薬のようなものだ。
一時の開放感と引き換えに、現実に引き戻されるあの感覚。
これには依存性がある。
ザフィーアはもうこの薬がないと生きていけないだろう。オレに縋って生きているようなものだ。
そんな関係に安心感を覚えてしまった。
ここにはふかふかの布団も、ホットココアも無いが、すごく暖かい。
ザフィーアの長くなった髪に触れる。
ヴァイス
少し顔を近づけて、寝顔を覗く。
ヴァイス
その長い前髪をかき上げて、額にそっとキスをした。
ヴァイス
オレもまた、ザフィーアに縋って生きている。