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前編

1 - 前編

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2021年10月16日

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僕は生まれたときから体が弱かった。

何度も入退院を繰り返した。

その度に親に迷惑かけて、

ほんとに親不孝だよ。

そんな僕にも幼なじみがいたんだ。

一つ上の男の子でね。

桃色の桜のような綺麗な髪に、吸い込まれるような深くて美しい藍色の瞳。

その頃は僕より身長が小さくて可愛かった。

元気になったから海外に引っ越して家族と暮らすってこの病院を出てっちゃったんだ。

名前は____

もう忘れちゃったな、

きっと今は元気に暮らしてるよ。

深夜に少し胸が苦しくなって目を覚ました。

久しぶりのことで目が冴えて、再び寝ることは難しかった。

ちょうど満月の夜。

月の光が寂しい病室に道をつくるように差し込む。

そのまま目を瞑って寝転んでると窓が開く音がした。

起き上がってそこを見てみると空いた窓があるだけで

寂しそうに桜が少し揺れてるだけだった。

それにここは六階、誰も窓からなんて入って来れないだろう。

……なんだろ…

独り言を静かに呟く

____こんばんは。

ぇ…?

反対側に目を向けると、

僕よりうんと背が高くて、黒っぽいコートでフードを深く被った男、の子?

足が透けてる、

この子は人間じゃない、直感でそう思った。

誰…?

不思議と怖くはなくて

低く、優しい声は

どこか、懐かしい気がした

初めまして、俺は死神です

あなたの魂を貰いに来ました

手には大きな鎌を持っている彼を

月明かりだけがスポットライトのように照らす

死神なんて絵本でしかみたことない。

ほんとに、死神さんなの…?

…はい、そうですが

じゃあ僕の命、今貰ってよ

は…?

もうここにいるのも疲れちゃったんだ、

1人でずっとここにいるのなんて、もう嫌だもん

…俺のこと、怖くないの?

なんで? ぜ~んぜん怖くないけど…?

……それに、今すぐ魂を貰うことはできません

ぇ゙、じゃあ明日は?

明日もできません

じゃあ明後日、

明後日も無理です

じゃあ、しあさ___

できません

なんて淡々と喋る死神に少しイライラする

それに、なんでそんなに死にたがるの?

命が惜しいと喚く人は多いけど、…君のように早く死にたいっていう人は初めてだよ

別に、どうでもいいでしょ

ただ、ただ早く死にたいだけ…

なんで?

なんでって…ッ

なにか理由があるんでしょ?

だから、!!…僕がいると、迷惑だから…

…迷惑?

そうだよ、家族にも、友人にも迷惑がかかる、!!

無意識に声を荒らげてしまった僕の言葉に

フードの中で彼が息を飲むのが分かった

なんでこんなに怒っているのか、自分にもよく分からなかった

……そっか

それに、あの子にももう絶対会えない、

だから別に死ぬのなんか怖くない

そう強がったけど、死ぬのは怖い

いつの間にか強く握っていたシーツを離す

それで、いつ死なせてくれるの?

彼は小さく咳払いをして話を続けた

君は16歳、蒼井 青さん。小さな頃から心臓を患っていて入退院を繰り返している。

これは君のことであってるね

うん、そうだよ

それでさっきの話戻るんだけど、君の命はもうすぐ尽きる

うん、

具体的に説明すると、俺は三十日以内に君の魂を貰うよ

…三十日内のどこで死ぬか分からない、と…

ただし、俺たち死神はその三十日以内に君たちのような人が笑顔で死を迎えられるように

手助けをしなくちゃならないんだ

そのためにこの三十日以内で君の願いを三つ叶えなければならない

またまた、絵本みたいなことを…

でも、死までの期間を短くすることは出来ないんでしょ?

まぁ、そうだね

じゃあなにをしてくれるの?

そうだなぁ…、簡単に言えば君の心残りを消すこと、だね

心残り…?

そう、やり残したこととか

簡単な小さいことでもいい

それを、叶えてくれるの…?

あぁもちろん

ん~とね、じゃあ早速一ついい?

あ、うん

僕が死ぬ日まで、話し相手になってよ

げ、まじ…

まじ、もちろん毎日ね

焦ってオドオドしてる死神さんを見るとなんだか笑えてくる

ふは笑

よろしくね、死神さん

にっこり笑ってみせると

ッ~、君は_____ね、

頬が少し赤く染って、彼がなにか呟いた気がした

へ、なんか言った~?

いや、なんも…

じゃあ、また…

えぇ、ちょっと待ってよ

…なに

まだ話したいんだけど、

、悪化するよ

っ、…

っぁ、ごめん…

寝るまで一緒にいるから、

…ほんと、?

うん、ほんと、

、ありがと

その後、彼と話を続けた

ほんとに僕が寝るまでずっと隣で、嫌な顔もしないで話を聞いてくれてた

目が覚めたときはもう朝で、死神さんはいなかった

今日も、来てくれるよね…

その日も、その次の日も彼は僕に会いに来てくれた

それから僕は夜が楽しみで、

君が来るたび、胸が高まるんだ

あっという間に三十日間の半分を切ってしまった

まだまだ死神さんと話していたいのに

最近は体調が優れない

そろそろだと実感した

フワッ…

ぁ、死神さんっ

いらっしゃい

笑顔でお出迎えすると

彼も最初と会った時のような冷たく淡々とした声じゃなくて

優しく、嬉しそうに返事をしてくれる

こんばんは

そう言って優しく声をかけてくれる死神さんを見ると

気が狂うんだ

どこか懐かしくて、胸が苦しくなる

あのね、死神さん、

、うん?

僕ね、空、飛んでみたい…

………

あッ、ごめんね、…やっぱさすがに無理だよね

いや? 余裕だよ

軽く答える彼に少しびっくりした

へ、…でも、どーやって…

これが2つ目の願いでいいの?

ぁ、うんっ、!

頷いて答える

と、体がいつの間にか宙に浮いて星が輝く夜空が視界に広がる

わぁあッ、すごい…

しっかり掴まってろよ

うんッ、!

300タップ超えましたッ!

読んでくださりありがとうございます…🙇‍♂️💞

無言ブクマ🙅🏻×

次回もお楽しみに!

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655

コメント

5

ユーザー

ブクマ失礼します.ᐟ.ᐟ.ᐟ

ユーザー

ブクマ失礼します!

ユーザー

めちゃくちゃ好き、!! 続きも楽しみ‪…!!🥰

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