主
深夜テンション2
冷蔵庫署・地下倉庫。
今日も俺の心は冷えていた。
冷凍庫よりもな。
トマト巡査
刑事、また一人で飲んでるんですか
声の主はトマト巡査。
すっかり赤く熟して、もう新人じゃない。
ブロッコリー刑事
ふん……これは酒じゃねぇ。
ブロッコリー刑事
栄養ドリンクだ
トマト巡査
それ、ただの“青汁”じゃないですか
ブロッコリー刑事
だろ? 俺にぴったりだ
ドアがバタンと開く。
入ってきたのは、キャベツ署長。
葉の端に包帯を巻いている。
キャベツ署長
ブロッコリー、事件だ。
キャベツ署長
加工場で“ポテトサラダ爆弾”が爆発した
ブロッコリー刑事
また奴らか……
キャベツ署長
そうだ、“ドレッシング残党”だ。
キャベツ署長
シーザー将軍の仇を取るつもりらしい
ブロッコリー刑事
……野菜にしては根が深ぇな
現場。
辺り一面、ポテト、きゅうり、卵、ハム。
地獄の食卓だった。
トマト巡査
ひ、ひどい……これ、まるでお弁当箱の中みたいです……!
ブロッコリー刑事
そうだ。人間どもは笑っている。
ブロッコリー刑事
“おいしいね”ってな……
俺は拳を握る。
ポテトサラダ爆弾――通称“マッシュマイン”。
奴らは食品工場に潜伏している。
工場内部に突入。
マヨネーズの匂い、じゃがいもの残骸、そして――
ポテ将軍
待ってたぜ、ブロッコリー刑事
現れたのは巨大なポテト。
顔はマッシュされているのに、声はやけにダンディだ。
ポテ将軍
俺の名はポテ将軍。
ポテ将軍
貴様ら生野菜の時代は終わりだ。
ポテ将軍
これからは“調理された者”が頂点に立つ!
ブロッコリー刑事
バカ言え。
ブロッコリー刑事
火を通した時点で、お前の魂は柔らかくなっちまってる!
ポテ将軍
それが進化だ!
ポテ将軍がフォークを構えた。
フォークvsフォーク。
野菜界最大の食器対決が始まった。
ポテ将軍
喰らえ!マッシュクラッシュ!!
ポテ将軍が自らを押し潰し、巨大な芋の津波を放つ。
ブロッコリー刑事
うおおおおおッ!
俺は転がるレタスを盾にしながら飛び出した。
ブロッコリー刑事
俺の固さ、なめんなよッ!
フォークが閃き、芋の波を突き破る。
粉々に砕け散るポテト。
ポテ将軍
馬鹿な……こんな……生のままで……!
ブロッコリー刑事
生でいることが、俺たちの誇りだ
ポテ将軍は崩れ落ちた。
マヨネーズの涙を流しながら。
翌日。
トマト巡査
お疲れさまです、刑事。やっと終わりましたね
ブロッコリー刑事
ああ……だが、ポテ将軍が言ってた“冷凍勢力”ってのが気になる
トマト巡査
れ、冷凍勢力……?
ブロッコリー刑事
ああ。ブロッコリーの宿敵、“冷凍ミックスベジタブル軍団”だ
窓の外。
遠くのスーパーの冷凍コーナーが光った。
次の戦いの火種が、静かに冷えていた。






