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主
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主
主
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27,焦熱の檻
炎の赤が夜を塗りつぶしていた。
瓦が弾け、梁が崩れ落ちる音が轟き、焦げた煙が空を覆う。
桃李
らんは足を止め、言葉を失った。
目の前に広がる光景は、教科書に載っていた「大火」などという文字では到底言い表せない。
現実の炎は、世界を食らい尽くす怪物だった。
茈月
いるまが肩を押す。
茈月
茈月
六人は炎と煙の渦の中を駆け抜けた。
だが進むほどに熱気は増し、息を吸うたび喉が焼けつく。
遊郭の者たちが桶を手に走り回り、叫び声が飛び交っていた。
女衆が泣き叫び、幼い禿が煙に巻かれて咳き込む。
その混乱の光景が六人の胸をえぐった。
紅鶴
なつが扇を握りしめ、蒼白な顔で呟く。
紅鶴
黈羽
みことが袖で口を覆いながら叫ぶ。
黈羽
黈羽
そのときだった。
激しい突風が吹き込み、炎が一気に広がった。
煙が道を塞ぐように押し寄せ、六人は思わず足を止める。
蒼霞
こさめが袖で口を覆いながら前へ踏み出した。
だが、その足取りは徐々に重くなる。
蒼霞
次の瞬間、こさめの膝が崩れた。
桃李
らんが駆け寄り、肩を支える。
こさめの顔は真っ青で、瞳が虚ろに揺れていた。
蒼霞
翠嵐
翠嵐
すちが焦りの声を上げる。
翠嵐
茈月
いるまがこさめの背を叩く。
茈月
茈月
紅鶴
紅鶴
なつが声を張り上げた。
紅鶴
紅鶴
二人が両側から支えると、こさめは力なく身体を預けた。
唇は紫に変わり、息を吸おうとしても空気を得られない。
桃李
らんは歯を食いしばり、涙目で叫んだ。
桃李
桃李
五人は煙の薄い路地へ必死にこさめを運んだ。
そこでようやく、こさめが喉を鳴らしながら浅い呼吸を繰り返す。
蒼霞
肺に空気が戻った瞬間、こさめの身体が震えた。
黈羽
みことが安堵の声を上げる。
黈羽
紅鶴
なつが険しい目を向ける。
紅鶴
紅鶴
こさめは弱々しく瞼を持ち上げた。
蒼霞
茈月
いるまが低く言い放つ。
茈月
すちも震える声で続ける。
翠嵐
翠嵐
遠くで楼が崩れ落ちる轟音が響いた。
夜空はますます赤く燃え、火の手は止まる気配を見せない。
桃李
らんが唇を噛み締めて言った。
桃李
桃李
六人の視線が重なり合う。
それぞれの顔に恐怖と決意が入り混じっていた。
炎の渦の向こうには、まだ救える誰かがいる。
たとえ足が竦んでも、進まなければならない。
六人は再び立ち上がり、燃え盛る吉原の奥へと足を踏み入れた。
27・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡280
主
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