主
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 花魁パロ⚠️
主
主
主
28,割れた水面
楼が崩れ落ちる轟音が、まるで地鳴りのように響き渡る。
火の粉が夜空を舞い、炎の渦が行く手を阻んでいた。
黈羽
みことが額の汗と煤を拭いながら叫んだ。
桃李
らんは歯を食いしばり、こさめの腕を支えたまま走る。
こさめの足取りはまだ重いが、必死に前へ進もうとしている。
翠嵐
すちは咳き込みながら袖で口元を覆う。
翠嵐
やがて、視界の先に見慣れた楼の輪郭が浮かんだ。
桃野屋――かつて自分たちが笑い合い、夢を見た場所。
だが、その姿は既に炎に呑まれつつあった。
紅鶴
なつが震える声で呟く。
茈月
いるまが叫ぶ。
茈月
その瞬間、楼の奥から崩れ落ちる梁の音とともに、光を反射する何かが一瞬だけ煌めいた。
桃李
らんが目を凝らす。
それは、展示室で目にしたあの鏡だった。
縁に細かな彫刻が施され、鈍く光を返す。
しかし表面は大きくひび割れ、炎を映して歪んでいた。
翠嵐
すちが息を呑む。
翠嵐
黈羽
みことの目が大きく開かれる。
黈羽
紅鶴
なつが低く首を振る。
紅鶴
紅鶴
桃李
らんは叫んだ。
桃李
六人は必死に炎の中を駆け抜けた。
屋根が崩れ、火の粉が髪や衣を焦がす。
喉は焼けるように痛み、足は鉛のように重い。
それでも――鏡の前に立った時、全員の胸に同じ思いが宿っていた。
翠嵐
すちが震える声で言った。
茈月
いるまが続ける。
こさめは弱々しくも笑みを浮かべ、
蒼霞
と呟いた。
紅鶴
紅鶴
紅鶴
なつは、自分を落ち着かせるために呟いた。
鏡の表面は水面のように揺らぎ、亀裂から眩い光が漏れていた。
六人は互いに手を取り合い、輪を作る。
桃李
らんが叫ぶ。
紅鶴
なつが言葉を詰まらせる。
紅鶴
黈羽
みことの叫びが、炎の轟音を裂いた。
次の瞬間、鏡が砕け散った。
飛び散る破片が光の粒となり、六人を包み込む。
翠嵐
眩さに目を閉じると、重力が消えたような浮遊感に飲み込まれた。
耳鳴りが響き、意識が遠のいていく。
炎の熱も、焦げた匂いも、次第に消えていった。
――目を開けると、そこは白い壁と蛍光灯の光だった。
聞き慣れた校内放送が流れ、窓の外には灰色の梅雨空。
らん
らんが呆然と呟く。
らん
皆が互いの顔を見合う。
汗も煤も、炎の気配も消えていた。
衣装も、元の制服に戻っていた。
全て夢のようだった。
ただ、胸に残る痛みと記憶だけが、確かに現実を物語っていた。
すち
すちが小さく息を吐く。
こさめは机に手をつき、まだ苦しげに息をしながらも頷いた。
こさめ
いるま
いるまがかすかに笑った。
いるま
なつも拳を握り、瞳を伏せる。
なつ
なつ
みことが涙を拭いながら笑った。
みこと
みこと
六月の午後。
曇り空の下、窓の外には何事もなかったかのように日常が広がっていた。
だが六人の胸の奥には、炎の赤と、あの夜の熱が確かに残っていた。
――彼らが生きた、吉原の記憶として。
28・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡290
主
主
コメント
4件
コメント失礼します! 一気読みしました!! てらーではあまり見ない系のお話でわくわくどきどきはらはらしながら読んでました!! 続きが楽しみです! 待ってます!!!
語彙力がもう … 作家になれます大好きです ストーリーだとか長編すぎない丁度いい長さだとか全部が調和を保ってて大好きです