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舞夢達は由叶に似た少女に誘導され、静かな所へ移動した

すると少女は話し出した

由乃

突然お呼びしてしまって申し訳ございません

由乃

そこの彼は…リドール教の信者ですね?

白町 凪紗

そう…ですね

はるは少女の前で跪いたままでいる

そんなはるの前にしゃがみこんで少女は言った

由乃

どうか顔をお上げください

優來 はる

え?

由乃

私は、あなたが信仰する神とは関係ありません

優來 はる

は?…え?

はるは困惑しているようだった

由乃

私はかつて世界の神であった“エルゼ・リドール”様の眷属、由乃と申します

由乃 ユノ

《神の眷属》 本人曰く、『かつて世界の神であった“エルゼ・リドール”の眷属』である少女。 リドール教の信者で由乃に対して敬意を示した優來はるに対して『私はあなたが信仰する神とは関係ない』と言い放った。

白町 凪紗

はるの信仰する宗教の神は“ルン・リドール”だと聞きました

白町 凪紗

あなたの仕える神は“エルゼ・リドール”なんですよね?

白町 凪紗

関係ないってどういうことですか?

由乃

…関係ない、と言い切ってしまうのは嘘にはなってしまいますが…

由乃

一言で説明するならどうしても言葉の綾でこの言葉になってしまいますね

由乃

実は、はるさんが信仰するリドール教には2つの派閥があるのです

優來 はる

派閥が…2つ?

由乃

はい、派閥の名前はそれぞれの神の名前を取っただけなのですが…

由乃

“ルン派閥”と、“エルゼ派閥”です

吟羽 舞夢

もしかして、由叶とあなたが似てるのって…

由乃

……!

由乃

やはり由叶を知っているのですね…

六月 真奈

うん、この前会ったんだ

吟羽 舞夢

由叶と由乃はどういう関係なの?

由乃

…それは、今の私からは言及しかねます…

六月 真奈

まあ、何か神のルールみたいのがあるのかな…?

由乃

…まあ、そういうことにしておいて下さい

白町 凪紗

六月 真奈

それはそうと!

六月 真奈

さっきの世界で私達を助けてくれたの、由乃ちゃんなんだよね?!

由乃

あっ…すみません、差し出がましいことを…

六月 真奈

いやいや!

六月 真奈

すっごーく助かったんだよ!

六月 真奈

ありがとう!

由乃

…!

由乃

いえ、こちらこそありがとうございます

白町 凪紗

ところで、さっきの人を助けなきゃ……

凪紗が先程のアリスを気にしていると、由乃は冷たく言い放った

由乃

行くだけ無駄です

由乃

この世界はもう手遅れ

由乃

あなた方が何をしてももう、この世界は滅びます

白町 凪紗

そんなの、やってみなきゃ…!

由乃

いいえ、わかります

由乃

私はたくさんの滅ぶ世界を見てきた

由乃

この世界も、同じなのです

六月 真奈

そんな…

由乃

私はもうこの世界を去ります

由乃

あなた方も、一緒に飲み込まれる前に、他の世界へ行くことをおすすめします

由乃

それでは

由乃は世界の出口を開いて世界を去っていった

吟羽 舞夢

…どうするの?

舞夢が呟いた

白町 凪紗

決まってるよ

白町 凪紗

あの人が何を言おうが、僕は目の前の人は見捨てたくない

優來 はる

……

吟羽 舞夢

私も同じ意見だよ

六月 真奈

飲み込まれるってなんだか怖いけど、その前に助けちゃえばいいだけだもんね!

六月 真奈

私も賛成!

白町 凪紗

そうと決まったら急ごう!

六月 真奈

うん!

凪紗達は先程アリスが居た方向に向かう

優來 はる

……

優來 はる

(ほんとにいい、のか…?)

優來 はる

(右目は…)

はるは空っぽな右目を抑える

優來 はる

……

優來 はる

(痛くない)

優來 はる

(神はこのことに対して何も思っていないのか…)

はるも凪紗達を追う

先程の場所に戻ってくると、戦っていたアリスは既に息絶えていた

六月 真奈

そんな…

そして、石ころに手足が生えたような形をしている影が無数に蔓延っており、アリスの体を貪っていた

貪られた体は徐々に崩壊している

吟羽 舞夢

っ…!

そんな衝撃的な光景に4人は固まっている

由叶

これはこれは、かなりショッキングなものを目撃してしまったね

背後から声がした

白町 凪紗

え?

振り返ると、そこには由叶がいた

優來 はる

ゆ、由叶様…?!

はるは急いで跪く

由叶

いいよ、立ってて

由叶

跪くのも疲れるでしょ?

優來 はる

ありがとうございます

由叶

お困りのようだね

由叶

何があったんだい?

由叶が尋ねると、凪紗達は由乃と出会ったことや言われたことについて説明した

由叶

なるほどね

由叶

それは酷いことを言うねぇ

由叶

ま、仕方ないかな

由叶

由乃の仕えてるエルゼ・リドールは悪い方の神だからね

由叶

悪いことばっかして信仰心がなくなり、“世界の神”の座を奪われたんだよ

六月 真奈

そうだったんだ…

由叶

そういえば、この世界のことについては聞いたのかい?

吟羽 舞夢

いや、聞いてないかな

白町 凪紗

この世界は手遅れだからとしか…

由叶

そうか…

由叶

人の善意を踏みにじろうとするなんて、酷いね

由叶

私がこの世界について教えてあげるよ

由叶

この世界には、白來武器屋っていうお店があったんだ

由叶

その武器屋では色んな武器を売ってたんだけど、その中で1つ凄い発明品があってね

由叶

それが魔力銃なんだ

六月 真奈

あ!もしかしてさっき、この世界のアリスさんが使ってた氷の銃!

由叶

お、既に見たんだね

由叶

その通りで、その銃を発明したのが、白來武器屋の白町凪紗と優來はるなんだ

白町 凪紗

へぇ、この世界の僕達、そんなすごいものを作ったんだね

由叶

この発明品は、弱い魔力を入れたら遊びとしても使えて、強い魔力を入れたら戦闘にも使える優れものだったんだけど、ある日、白來武器屋の2人が行方不明になっちゃったんだ

由叶

それと同時に影が大量に現れた

吟羽 舞夢

他の世界よくあるパターンだね

白町 凪紗

うん、この感じだと、影の主はこの世界の僕とはるの姿だ

由叶

ご名答

由叶

まあ、大量に現れた影を倒すために、人々は魔力銃で影を倒すんだ

由叶

さあ、ここまで聞いて君たちは何をするかな?

白町 凪紗

そんなのもちろん、影を倒して世界を救う!

六月 真奈

うん!

由叶

君たちならそう言うと思ってたよ

由叶

きっと影は白來武器屋にいるだろう

由叶

武器屋はあっちにある

由叶

行ってみるといいよ

由叶は武器屋がある方角を指差した

六月 真奈

ありがとう!由叶さん!

優來 はる

感謝いたします

由叶

大したことないよ

由叶

頑張ってね

由叶は舞夢達を見送ると、無害な優しい笑顔から含みのある微笑みへと表情を変えた

由叶

さて、彼らはどこまでやれるかな?

由叶

きっと彼らは私を信頼していることだろうし、計画のためにそれなりに実力があってもらわないと困るんだよね

由叶

まああとは、この世界の限界があとどのくらいか…だけど…

由叶

ま、最悪切り捨てればいいや

そしてしばらくして

由叶の言う通りに白來武器屋で影を倒した舞夢達は、影の落とした宝石を拾った

白町 凪紗

よし!これでこの世界も救えるね!

六月 真奈

うん!

吟羽 舞夢

それじゃあ──

舞夢が宝石を持ってクリスタルの方へ足を進めようとした瞬間、地面が激しく揺れる

六月 真奈

えっ?!何っ?!

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

地面は揺れ続け、立っていることができなかった

地鳴りもものすごい音が鳴っていて、ところどころ地面が割れたりもした

白町 凪紗

なんで急に…!

一方その頃、舞夢達の様子見がてら白來武器屋の近くを散歩していた由叶ははあっとため息を吐いた

由叶

あーあ

由叶

この世界もおしまいか

由叶

彼らには悪いけど、助けるのもめんどいし切り捨てかなぁ

由叶

実力は良かったんだけどね

そう吐き捨てると由叶は世界から出て行った

六月 真奈

きゃっ!

吟羽 舞夢

【ザキスト】!

真奈の頭上に木の枝が落下してきて、舞夢はシールド魔法で直撃を防いだ

白町 凪紗

はる…!

白町 凪紗

早くこの世界から出た方がいいんじゃ…!

優來 はる

わかってる!

優來 はる

ただ、足場が安定しなくてIF魔法を唱えられない…!

六月 真奈

え…

4人とも、顔を青くした

その次の瞬間

吟羽 舞夢

きゃあああああ!!!

舞夢の悲鳴が聞こえた

六月 真奈

舞夢ちゃん?!

真奈は隣にいた舞夢を見るが、舞夢は地面に空いた穴のような空間に落ちていくところだった

六月 真奈

舞夢ちゃん!

真奈は手を伸ばして舞夢を掴もうとするが、その手は空を切り、掴むことができなかった

そのまま舞夢は穴の中に入ってしまい、空間は穴を閉じた

六月 真奈

舞夢ちゃん!!!!

真奈は叫ぶが、空間はもう開かないし、地面も揺れたままだった

そして次第にボロボロと地面や建物、そして景色までもが崩れていく

白町 凪紗

え?!何これ…?!

優來 はる

なんだか、やばい予感が…

六月 真奈

なんだか…眠く…──

白町 凪紗

う…なんか僕も…

真奈と凪紗は意識を失ってしまった

優來 はる

おい!

優來 はる

くそ…

地面や景色などが完全に崩れ落ちると、辺りは宇宙空間のように無重力で浮かんでいた

優來 はる

なっ…?!

ただ、宇宙空間と違うのは、何かに吸い寄せられることだった

優來 はる

くっ…

木の破片がものすごい勢いではるの横を横切った

その方向には黒い渦のようなものがあり、そこに木の破片は吸い込まれていく

六月 真奈

白町 凪紗

そして、意識を失っている真奈と凪紗もその渦に吸い込まれていく

優來 はる

凪紗!!真奈!!

叫ぶが2人は起きず、そのまま吸い込まれてしまった

優來 はる

くそ…

そしてはるも、吸い寄せられる力に逆らうことが出来ず、渦に吸い込まれそうになる

優來 はる

くっそ……!!!

抵抗しようとするが、努力も虚しく、はるも吸い込まれた──

異世界旅路〜失われゆく世界を旅する少女〜

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