祈励!何だその髪は?
身嗜みはいつも完璧にするようにといっているだろう!
98点?ふざけるな!!何だこの体たらくは!
味噌汁が濃い!!こんなので将来我が家にーー君をお迎えできると思っているのか!!
葉桜の長女として恥ずかしくないのか!?
葉桜祈励
祈励、どういう事だ?
さっき友達と名乗る子供が来たぞ
あんな頭の悪そうな連中とつるんでるのか!?
葉桜の長女として、友達は選べといつも言っている筈だろう!
あの子達とはもう関わらないこと、追い返したから勉強に集中しなさい
葉桜祈励
葉桜の長女として、が父の口癖だった
葉桜は代々祈祷師の家系らしい
毎年お正月は神社で演舞を披露する
妹たちも巫女の資格はあるものの、私は長女だからいつもその一番大変な役を担っていたのだ
それだけのこと。
あれ…でも、おかしいな
私だって、小さい頃は護励と沢山遊んだ
遊んだのよ
それに前は優しい父だったと思うのに
気付いたら遊ぶ事なんか許して貰えなくなっていた
きっと母が実家に帰ったせいだ
今日も外へ遊びに行った護励や稔励が、ほんの少しだけ羨ましい
葉桜祈励
自分の部屋へ戻って、溜め息をつく
枕の下に隠した、護励に借りた一冊の漫画
“東京リベンジャーズ7巻”
私の大好きな人が表紙の、でもとても悲しいお話
覚えたくもない許嫁の名前を聞くたび、私は彼の顔を見て自分の純潔を思い出すのだ
場地圭介
場地圭介
場地圭介
葉桜祈励
胸が高鳴る
ああ、それはなんて素敵な夢
夢。
夢なんだ
彼が私を縛っているお父さんを、葉桜家を殴り倒して、私を連れ出してくれる何と都合の良い夢
妄想なら咎められることは無いのだから、今だけ心をその気持ちで満そう
そうすれば私は、明日からまた完璧な自分に自惚れるのが愉しくなるんだから
恋する女の子は、お化粧が上手く行くだけで心が踊るものでしょう?
いつそんな妄想が現実になっても良いように、私は自分を妥協しない事に希望を賭けているんだ
葉桜祈励
作者
作者
葉桜祈励
葉桜祈励
音も気配もなく、何もないところから突然姿を表したその女
不法侵入者…?でも、今の私はそんなものにすら魅力を感じたい気分だった
作者
作者
作者
葉桜祈励
作者
葉桜祈励
作者
作者
葉桜祈励
作者
作者
作者
作者
葉桜祈励
女は私の漫画をペンの柄で小突きながら言う
作者
作者
作者
葉桜祈励
今、なんて…?
いやいやそんな、馬鹿な
だってこれは漫画で、私は現実に生きる人間で
でも、もしこの人の言う事が本当なのだとしたら…?
いや、本当じゃなくても良い
そんな甘い話を、“信じてみたかった”
作者
作者
葉桜祈励
自分でもどうかしていると思う
でも今日は嫌なことが起こり過ぎて、夢見心地な思考に逃げたいのかもしれない
作者
葉桜祈励
作者
どうしてそれを…?
明らかに私の思考を読まれた気がする
作者
作者
作者
作者
作者
作者
作者
作者
葉桜祈励
初対面でのお馬鹿な印象からは想像も出来ない程女は真剣に話し出す
私を試すような、値踏みするような目
でもそれは心地良いとすら思えた
だって私は、今まで努力してきたんじゃないか
勉強を怠らなかった者にとってテストは評価されるチャンス
逆に日々を怠惰に過ごしていたならそれは公開処刑も同然だ
私は前者だと思うから
葉桜祈励
葉桜祈励
作者
作者
作者
女が差し出したのは、日本刀…?
作者
作者
自害しなさい
葉桜祈励
葉桜祈励
葉桜祈励
あれ…声が震えてしまう
自害しろだって?そんなの…
作者
作者
作者
作者
作者
作者
葉桜祈励
作者
作者
作者
作者
作者
葉桜祈励
葉桜祈励
葉桜祈励
葉桜祈励
葉桜祈励
葉桜祈励
作者
作者
作者
作者
葉桜祈励
葉桜祈励
こんなにも奇怪で非現実な話に騙されて、命を投げ出してしまいたい気分だったのかもしれない
だけどそれ以上に、私はこの世界を、この人を愛しているらしい
刀を抜き、それを自分の喉へ突き立てる
恐怖を緩和する文句より、私の胸には希望が勝っていたのだから
家族や友達…人生を捨てる覚悟はある?
ええ、あるわ
命の重さを知った上で?
勿論
それでも1%に賭けたの
どうしてそこまで出来るの?
決まってるでしょ、好きだからよ
端から見ればお父さんから逃げたように見えるかもしれないわ
でも不幸だった訳じゃない
恋がそれよりも重かったに過ぎないの
小娘の軽薄だと思って、侮らないで
くすくす…
うん、よく知ってる
キミの口から聞けて嬉しいよ
少女の鮮血は花の刺繍を縫う
葉桜祈励は檻を出て“夢主”の資格を得た
作者
私は彼女を閉じ込めていた、もう空の世界を“デリート”する
それはあまりに飛躍した可笑しな出来事
眠りながら見る夢のような話
だけどそれは些細な問題だった
作者
作者
作者
作者
作者
コメント
1件
やばい!名言ありすぎ!w続き楽しみ!!