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友達1

ええーーー!!

友達2

えぇーーー?!

えぇえーーー!

私を含めた三人の女子(うち二人は友達)が、一斉に驚きの声を上げた。

場所は学校の吹奏楽部の部室。私たちは並んで座り、スマホでショート動画を見ながら駄弁っていた。

最近の動画は面白いものが多く、暇つぶしにはもってこいだ。

三人が同時に声を上げたのは、その動画が教えてくれた意外な豆知識のせいだった。

友達1

ハモったーー!www

友達の一人が笑いながら言う。女子ならよくある光景だ。

驚きの声が偶然重なって、ハモリのように聞こえてしまうあの瞬間。

続けざまに、もう一人が言った。

友達2

アハハ!

友達2

しかも今、三和音だったよね?!

友達1

ウチらすごくなーい?!w

三和音――『ド』『ミ』『ソ』のように、一つの音に三度上と五度上を重ねた和音。

吹奏楽部なら誰でも知っている。

意識せずに三人がぴったり三和音を出すなんて確かに珍しい。

だが私は二人とは違った。

ポジティブな高揚ではなく、全身を駆け巡るネガティブな緊張に支配されていた。

私は、生まれつき二つの能力を持っている。

ひとつは『絶対音感』

楽器の音はもちろん、日常のちょっとした物音でさえ正確な音程として聞き取れる。

そして、もうひとつは..

『音色認識』

音の色を聴き分ける能力で、誰がどの声を出したかなど簡単に判別できる。

口パクだってすぐに見抜ける。

だからこそ私は鳥肌が立った。

三人の声は、確かに 三和音に聞こえた。

しかし、私の耳にはこう響いていたのだ。

友達1

──五度上(ソ)

友達2

「──主音(ド)」

──主音(ド)

……そう、鳴っていたのは『ド』と『ソ』だけ。

『ミ』はどこにもなかった。

なのに、どうして私にも二人にも

三和音に聞こえたのか。

答えは単純にして恐ろしい。

三度上──『ミ』の声を発したのは....誰?

私たち三人以外に、もう一つの声が確かにそこにあった。

――四人目が。

部室にいたはずのない誰かの声が、和音を完成させていたのだ。

気づいた瞬間、背筋を冷たいものが走り抜けた。

それ以来、私たちは部室でショート動画を見るのをやめた。

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