テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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今宵は君の夢を見て　この夜が明けるまで

第24話 - 大切なモノほど…

2,011

2025年03月21日

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わわ

青山　直斗

風洋　ヒロ

おはよ～！

青山　直斗

おはようございます！

黒川　瑠衣

よっ！

青山　直斗

…？そちらの方は、？

風洋　ヒロ

俺の…まぁ、おかしな友人

風洋　ヒロ

「うり」って呼んで！

黒川　瑠衣

よろしくな！

青山　直斗

そうなんですね！

風洋　ヒロ

ここでたまたま会って、ｗ

青山　直斗

僕、青山直斗って言います！

青山　直斗

好きなように呼んでください！

黒川　瑠衣

じゃあ、これからどっか出かけるんだろ？

黒川　瑠衣

じゃあ、俺はここまでな！

風洋　ヒロ

うん！じゃあまたね！

青山　直斗

行ってしまうん…ですか、？

黒川　瑠衣

まぁ、な！

黒川　瑠衣

別に、付いてきていいって言うなら喜んでいくけど

黒川　瑠衣

やることないからぶらぶら散歩して、ここに来ただけだしｗ

風洋　ヒロ

ず、ずいぶん遠くまで来たね…

青山　直斗

じゃあ、付いてきてください！

青山　直斗

お願いします！

二人がそっと目配せをするのがわかりました

…その目は好意的なもので、僕は心から安心しました

この人に…なぜか惹かれたんです

ヒロくんと…ゆあんくんと同じような感じで、

無償の居心地の良さを感じました

黒川　瑠衣

わかった！

黒川　瑠衣

よろしくな！、直斗

青山　直斗

うりさん！よろしくお願いします！

…何をする気なのでしょうか、ヒロくんは

なーんて、わかってますよ、…

ゆあんくんに会いに行くように、促すに、

決まってるじゃないですか、っ…ｯ

風洋　ヒロ

行こうか！

黒川　瑠衣

ところで…どこに行くんだ？

青山　直斗

そうですね！僕も何も言われてないですが…

風洋　ヒロ

別に、大したところじゃないよ

こういう時は…海に行くのが定番ですね

別に、それはいいんですけどね！

普通に、楽しむとしますか！

風洋　ヒロ

さて、行こうか！

黒川　瑠衣

え、待ってマジでどこ行くの？

青山　直斗

えっと…？

青山　直斗

う、海とかではなく…？

風洋　ヒロ

ｗ、海は溺れて何もわかんなくなっちゃうからダメなんだよ！

黒川　瑠衣

なるほど…？

風洋　ヒロ

じゃあ、うりに決めてもらおうかな！

風洋　ヒロ

どのカフェに入りたい？

青山　直斗

か、カフェ?!

風洋　ヒロ

うん、そう！

風洋　ヒロ

…俺の話…聞いてくれる、？

風洋　ヒロ

うりさんにも、誰にも、

風洋　ヒロ

言ったことがなかったこと

黒川　瑠衣

…そっか、

黒川　瑠衣

…ｗ，二人してさ、

黒川　瑠衣

エリートって、どんだけ悩み抱えてんだよ、w

彼の口調に嫌味がないのは、

その奥にも褪せない悲しみと思いやりが見えるから

風洋　ヒロ

まぁ、目的はゆあんくんなんだけどね、ｗ

黒川　瑠衣

それは知ってる

黒川　瑠衣

お前なら、どんな手段を取るのか、めっちゃ楽しみなんだけど、ｗ

あぁ…この人は、

本当に、心からいい人なんだ

ヒロくんも、うりさんも

青山　直斗

ふｯ…あはははっ、www

もう…もう、いいですっ

青山　直斗

とことん付き合ってやりますよ！

どっちが先に折れるでしょうか

…なんか、もう

ほとんど僕、折れ曲がってますけどっ！

着いたのは、おしゃれな小さなカフェでした

ドアが前後するにつれ、ベルが高く、清らかな音を上げます

店員

いらっしゃいませ！

店員

あちらの席へどうぞ！

店内はほどよい人混みで、

流石、うりさんとヒロくんだなと思いました

店員

ご注文がお決まりになれば、お呼び出しください

店員

では！

風洋　ヒロ

で、2人はどうする？

風洋　ヒロ

俺がお金出すからいいよ！

青山　直斗

えぇ?!悪いですって💦

黒川　瑠衣

だったら俺も半分出す

黒川　瑠衣

てか、せめて細かいほう出すから

風洋　ヒロ

今度一緒に来た時に、それでいいでしょ？

風洋　ヒロ

じゃあ、適当に飲み物選んで！

青山　直斗

料理とか、デザートとかはいいんですか、？

風洋　ヒロ

うん！

風洋　ヒロ

もう、決まってるから！

黒川　瑠衣

今日、やけに元気だな、ｗ

青山　直斗

たしかにそうですね、ｗ

風洋　ヒロ

ｗ，別にいいでしょ

風洋　ヒロ

俺からすれば、一番中の良い2人が集まった感じなんだから、そりゃテンション上がるよ！

青山　直斗

なるほどです、ｗ

黒川　瑠衣

じゃあ決まったか？声かけていい？

風洋　ヒロ

ありがと！

黒川　瑠衣

すみませ〜ん！

店員

はい！お伺いいたします

風洋　ヒロ

ハンバーグ3つと、俺は…アイスミルクティーでお願いします

青山　直斗

僕は、ん～…ジンジャーエールにします！

黒川　瑠衣

じゃっ、俺メロンソーダで！

店員

かしこまりました

店員

少々お待ちください

青山　直斗

ハンバーグって、…

風洋　ヒロ

直斗が…ゆあんくんに、作ったんでしょ？

風洋　ヒロ

ゆあんくん、悲しそうに話してたよ

黒川　瑠衣

そうだったな～

青山　直斗

…、

黒川　瑠衣

最近、そっちの学校はどうだ？

青山　直斗

なんだか、最近は、…勉強に集中できなくてですね、ｗ

風洋　ヒロ

ね、ｗ高校から入ってくる人たち…優秀らしいけど、抜かされそうで怖いよ

黒川　瑠衣

あ～、受験ないんだもんな…

青山　直斗

はい！

青山　直斗

僕は、親が教育熱心だったもので、…ｗ

黒川　瑠衣

そうなんだな、！

黒川　瑠衣

まっ、俺は受験捨てたから！ｗ

青山　直斗

www大丈夫ですか？

黒川　瑠衣

まぁまぁ、なんとかなるなる！

風洋　ヒロ

あっ、早いね

風洋　ヒロ

料理、もう来ちゃった

店員

お待たせいたしました～

青山　直斗

あっ、ありがとうございます！

…いろいろあって、全員の手が進み始めた時、

ヒロくんがふぅ、と息を吐いて口を開きました

風洋　ヒロ

さて、そろそろ話そうかな

風洋　ヒロ

俺の昔の罪

黒川　瑠衣

…、

思わず、手が止まってしまいました

水色の澄んだ目は、少しくすんでいるような気がして、

少しだけ…あの、忘れられない紫色の瞳に重なりました

風洋　ヒロ

二人は…人が死んで、笑ったことってある？

黒川　瑠衣

いや…まぁ、ないけど…な

青山　直斗

そうですね…ないです

風洋　ヒロ

…俺は、

風洋　ヒロ

親が死んだときに笑った

黒川　瑠衣

…え、？

黒川　瑠衣

おま、っ…孤児…？

風洋　ヒロ

うん、両親ともに事故で中１の夏に死んで、そっから孤児

風洋　ヒロ

俺さ、別に勉強好きじゃないし、どちらかというとみんなと笑ってたい性格なんだけど、…まぁ、小学校のころ勉強三昧で、

風洋　ヒロ

まぁ…成績が不振だったら、いろいろボロクソに言われてさ、

風洋　ヒロ

…首の後ろの傷跡…わかる、？

風洋　ヒロ

ようやく薄れてきたんだけど、…

青山　直斗

はい、わかります！

風洋　ヒロ

それ、一回母さんにお皿を投げられて、切れた後

風洋　ヒロ

いったかったなぁ、ｗ

黒川　瑠衣

…っ…、

風洋　ヒロ

まぁ、そんなわけで俺は親が嫌いだった

風洋　ヒロ

それでもそれなりのところには入れたから、それは間違ってはいなかったんだろうね

風洋　ヒロ

だけど、「大嫌い」それは、一度も変わらなかった

風洋　ヒロ

家族の温かさは知らないし、最後に頼れるのは家族だって言うのも信じらんない

風洋　ヒロ

一度だって、俺を抱きしめてくれたことがあるかと言われたら…きっと、俺が小さな小さな赤ちゃんの頃だけだと思うよ、ｗ

風洋　ヒロ

それで…親は、中１の夏に事故で死んだ

風洋　ヒロ

母は一週間、父は一か月も生と死の間をさまよって、

風洋　ヒロ

苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんでから死んだんだ

風洋　ヒロ

笑いが止まらなかったよ

風洋　ヒロ

父さんの訃報を聞いた時

風洋　ヒロ

「ざまあみろ」って

風洋　ヒロ

お腹が痛くて痛くて仕方がなくて、そのまま全部、びりびりに引き裂いてやった

風洋　ヒロ

家族写真とか、母さんが置きっぱなしだった書類とか、全部破って、

風洋　ヒロ

親の物は全部捨てた

風洋　ヒロ

葬式は、一応行ったよ

風洋　ヒロ

冷たくなったモノを見て、笑ってやろうって

風洋　ヒロ

…でもさ、…俺は、行かないほうが良かったんだ、絶対に

風洋　ヒロ

そこで、父の知人から話を聞いた

風洋　ヒロ

…父さん、俺のことしか考えてなかったんだって

風洋　ヒロ

四六時中、俺のことを考えて、口を開けば俺の自慢話しかしなかったそう

風洋　ヒロ

で、みんな口をそろえて言うんだ

風洋　ヒロ

『こんなに優しいお父様をなくされて、さぞかし悲しいことだとは思いますが、まっすぐ前を向いて頑張っていってください』

風洋　ヒロ

『泣いていたら、お父様もお母様も悲しんでしまいますから、駄目ですよ』って、

風洋　ヒロ

…その時の涙、おかしくてたまらなくて、笑いをこらえてた時の涙だったんだ

風洋　ヒロ

手で拭って…すぐにハンカチで葺いた

風洋　ヒロ

父さんと母さんがいい人だったとは、今も思わない

風洋　ヒロ

だけど、…また、聞いた話、

風洋　ヒロ

父さんも母さんも、…俺と同じように育ってきたんだって

風洋　ヒロ

学力とか、就職先とか、社会的にちやほやされる称号が一番だって言われて

風洋　ヒロ

…でも、手元に残った大金を見て、俺は笑ってた

風洋　ヒロ

今、その金で生活して、学費も払ってる

風洋　ヒロ

こっちの方が、俺は今、よっぽど幸せ

風洋　ヒロ

だから、俺は人が死んで笑ってる

風洋　ヒロ

…でも、今になって、ちょっと思ったことがあって、

風洋　ヒロ

父さんも母さんも…大切なものほど、…大切に思うからこそ大切にできなかったんじゃないかって

風洋　ヒロ

どう？本当に直斗は、大切にできないの？

青山　直斗

…いえ、…僕は

風洋　ヒロ

聞き方変えるよ

風洋　ヒロ

大切にでき”て”ないの？

風洋　ヒロ

ゆあんくんはさ、…大切じゃなかったの？

風洋　ヒロ

…もし、大切じゃなかったら、なんで今こんなに哀しそうなの？

青山　直斗

…それ、…は、…

青山　直斗

ゆあんくんには、もっ、と…

風洋　ヒロ

居ない

風洋　ヒロ

誰と比べてるの？それ、

青山　直斗

っ…

いつになく迫ってくるヒロくんに…もう逃れられないことを知りました

青山　直斗

にげたかったんですｯ、…

青山　直斗

自信が、ないから、…

青山　直斗

だか、らっ、…

青山　直斗

…僕は

青山　直斗

僕は、ゆあんくんから逃げたかったんですｯ…

青山　直斗

言いたいこと、わかりますよ？自分の都合で振り回して『最低』だって

青山　直斗

引き受けたあの時だって、ほんとうは逃げたかった…

青山　直斗

ヒロくんのこと、少しだって助けたかったから…だから、僕は

青山　直斗

だから、僕はやっただけですｯ…

青山　直斗

もぅｯ…これ以上、ヒロくんを苦しめたくなかった、から…

青山　直斗

何もできなかったら、…きっとｯ、自分が、本当に嫌いになる、ので、…

青山　直斗

…自分には、いつまでたったって自信はつかなかった、…

青山　直斗

僕は、まっすぐに立てないっ…

青山　直斗

僕は、最低です

青山　直斗

知ってます

青山　直斗

知ってるから…もう、これ以上期待させて、苦しめたくなかった、…

青山　直斗

だから、僕はｯ…！

青山　直斗

…っｯ…もう、嫌ですっ…

青山　直斗

僕なんて、僕なんて、

青山　直斗

僕なんて、いなけりゃｯ…っｯ

青山　直斗

もう、っ…嫌ですｯ…

青山　直斗

消えちゃえばっ…ｯ、…みんな、

楽っ…ｯ

ｷﾞｭｯ

黒川　瑠衣

落ち着け

黒川　瑠衣

今、話してるのは本心だろ？

黒川　瑠衣

見失っちゃだめだ

黒川　瑠衣

『まだ、やんなきゃいけないことあるだろ？』

青山　直斗

っ…?!

黒川　瑠衣

…ここ、乗り越えれば、

黒川　瑠衣

青空が見えるからさ！

黒川　瑠衣

ちゃんとゆっくり…話してみろよ

青山　直斗

…はい、…っ

風洋　ヒロ

…自信がない？、まっすぐに立てない？

青山　直斗

…はい、

風洋　ヒロ

何いってんの

風洋　ヒロ

あの日の夕方さ…座り込んでてた俺を絶たせてくれたの、誰だっけ？

青山　直斗

…それは、あの…

風洋　ヒロ

直斗でしょ

風洋　ヒロ

直斗が立ててなかったら、どうして俺は今、立ててるの？

青山　直斗

…っｯ…！

風洋　ヒロ

…立ててるよ、直斗は

風洋　ヒロ

…あとは、…ね、？

青山　直斗

…

青山　直斗

…僕は、

青山　直斗

…僕がやるべきことって…なんですか、？

青山　直斗

わかるんですよ…まだ、…消えちゃいけないって

青山　直斗

ですけど…やるべきことが、わからないんです…

風洋　ヒロ

…自分の、一番大切な人を笑顔にしてくる

風洋　ヒロ

ほら、ゲームと同じ！

風洋　ヒロ

初めの選択肢って、一つしかないでしょ？たいていの場合

風洋　ヒロ

でも、それをクリアしたらどんどん選択肢が増えてく

風洋　ヒロ

まず、それをやってみなよ！

青山　直斗

一番…大切な人って、…？

風洋　ヒロ

…もう、わかってるでしょ

風洋　ヒロ

本当に大切なモノほど…見落としたくなっちゃうんだよ

ただただ優しい、凪いだようなヒロくんの瞳

ただ隣で…隣で、体温を分けてくれる初対面のうりさん

あふれそうになった涙を、やっとのところで止めました

店員

あ、あのぅ…大丈夫、ですか…？

黒川　瑠衣

あっ、すみません大丈夫です！

店員

あっ、は、はい！よかったです…？

風洋　ヒロ

ほら、うり流石にそろそろ離れないと昨日の会話が本当になるけど？

黒川　瑠衣

ひっ、ｱ､ｵﾕﾙｼｦ…

青山　直斗

…？

風洋　ヒロ

ｗ、まぁ、そろそろ食べようか！

風洋　ヒロ

冷めちゃう

青山　直斗

あっ、そうですね！

黒川　瑠衣

てか、直斗ほとんど食べ終わってんじゃんｗ

青山　直斗

食べるの、もともと早いんですよ！

風洋　ヒロ

いいな～、なんかうらやましい…

青山　直斗

あははっwww

青山　直斗

ごめんなさい、ほんとうにありがとうございます！

風洋　ヒロ

ううん！…でも、

風洋　ヒロ

俺の方こそ…ごめんねって、

風洋　ヒロ

…直斗、

青山　直斗

…、

青山　直斗

僕も…ごめんなさい

風洋　ヒロ

俺は…俺も、ここまでしか行けない

風洋　ヒロ

だから…俺は、行けとは言わない…言えない

風洋　ヒロ

どうするかは、…直斗に…任せる

風洋　ヒロ

じゃあ、俺はここで左だから！じゃあね！

青山　直斗

はい！

青山　直斗

…本当にありがとうございました！

前と同じく、笑顔で答えてからヒロくんの姿は見えなくなりました

青山　直斗

…ほんとっ…ずるいですよｯ…

青山　直斗

僕にも、勝ち目ぐらいくださいよっ…ｗ！

紅　優安

『ねぇっ…ね、ぇ！…なおｯ兄…！』

紅　優安

『おいしいっ！ありｯ…が、とっ…！』

紅　優安

『なお、兄…？』

紅　優安

『ねぇ、待って、待ってよｯっ…！ｯなお兄っ…』

紅　優安

『大好き、だよっｯ…』

青山　直斗

…っｯ…

青山　直斗

…はぁ〜…

…僕は…

青山　直斗

…僕は…

ゆあんくんｯ…

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2,011

5件

なお兄がんばれ~!!!

自然と涙出ました…、なお兄、頑張れ…！

頑張って……なおきりさん……！

わわ

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