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紫
翠
フライドポテトマジック
「「胃袋上限突破!」」
桃
呆れる桃を宥めながらポテトに手を伸ばすが
食えども食えども減る気配を見せない
箱の中で繁殖しているのかと疑うほどに
芋の妖怪が猛威を奮っている
紫
紫
紫
翠
翠
翠はリュックからタッパーを取り出し
宝石店に押し入った窃盗団のような手付きでトレーのポテトをかき集めた
桃
紫
紫
桃
それ以上
桃は何も言わなかった
ハンバーガーショップを後にすると
真夏の洗礼が容赦なく全身を覆う
土曜日の街は人が溢れかえっており
嫌になるくらいの熱気が波のように押し寄せた
翠
紫
紫
一ヶ月ほど行われる祭りの中でも
特に多くの人が集まり
前夜祭と後夜祭の二つが存在する
七月の十四日
十五日
十六日は前夜祭にあたり
十五日と十六日には街に屋台がずらりと並ぶ
桃
桃
桃がぽつりと呟く
とても小さなその声は
独り言だろう
事実
喧騒にまぎれて翠の耳には届いていない様子だった
俺は何でもないように
同じくらいの声量で返事する
紫
紫
桃
桃
紫
紫
桃
紫
桃
桃はそう吐き捨ててから
大きな瞳で俺を覗き込んだ
桃
桃
桃
桃
力なく微笑む桃は
今すぐ消えてしまいそうだった
生きている俺と
死んでいる桃
行動を共にしていても
同じ風景を同じようには楽しめないのだと傍観しているのがひしひしと伝わってくる