sparkle

スーツ着るのひさびさ…

のあさんに呼ばれて桃虹組の本宅へ

高校に入ってから別邸にうつったから 約三年ぶりくらい。

人がいない

あまりにも静かすぎる

ウチの組、人が減ったのかな

よくない方向に向かってないといいけれど

父さんが生きてた頃、入ったっきりだ…

重たい扉を開いた。

最後に会ったのは文化祭 あれから二ヶ月近く会えてなかった

ほぼ部屋に篭りっきりだって ヒロくんが言ってた。

真剣なのあさんの目

ついに世代交代とか？

ドン、と置かれた大量の書類

なんだ

まず執務からってことかな

一枚とって目を通す

…

あ？

そう問えば 待ってましたと言わんばかりのしたり顔で

のあさんが解説しだした。

増えてるけど。

埒が開かなくなったのあさんは こほんとひとつ咳払いをした。

パチパチパチ👏

真顔でたっつんが手を叩いてる。

その横で なおきりさんが何かに気づいた顔をした。

またかよ！！！！

組のハナシじゃないんかい！！

分厚い紙の束に背を向けた。

るなとふたりで考えての クリスマスでしょーよ…

二人が雷に打たれたみたいな顔して …そのまま固まった。

のあさんが神に祈るように手を組んで オレに近づいた

パソコンパーツ見に行きたいが いくらなんでもるながかわいそうだろう。

オレそこまでアレじゃないです。

何言ってんだなおきりさんは！！ 盛り上がる大人たちどうにかして欲しい。

それに お泊まりなんて言ったら (しないけど)

天龍会保護者一同が黙っちゃいない

さすがに捨てるのはあれかな。 厚い紙束を見つめるのあさんに同情した。

キラキラと目を輝かせてるのあさんに

これ絶対事後報告求められるやつだよな？ と思いながら…(不都合な茶会ふたたび）

後退りするしかなかった…

パタン…

どうやら保守派が資金調達のために 違法な取引をしているらしく

そのやりとりが横浜港で行われている らしいのだけど

私たちもなにもしてないわけじゃない

下の方にいる子たちには辞めると同時に就職を斡旋してあげたり、別の組に引き取ってもらったりしている。

地道だけど組の縮小化は進んでいた。

誰にお願いしようか考えていると

バダン！

勢いよく扉が開いた

ヒロくんはなおきりさんの部下だもんね　 心配だよね

さっきまで気配なかったのに 私が呼ぶとわかったからかな

私以外、声がする方向へ振り向いた。

たっつんさんが顔を右往左往動かした。

そりゃそうよね

部屋の隅にもういたんだから

じぃいってヒロくんが うりさんのこと見てる。

特に仲悪いとか聞いてないから

大丈夫だよね？

一連の出来事を説明したら

紙束を上下左右に観察するるな。

小さい頃から 厳しく育てられたのあさんだから

お友達と遊びに行ったらとか 彼氏ができたらとか

こんなことしたいなって 思うところたくさんあったんだろう

頭の中にデータがあるんだろうな。

もちろん参考にはするけど まずはるなの希望を聞かないとな

そうか のあさんだけじゃなくて

るなも… 女のこならみんなそういうものなんだな。

るなとなら別にどこでもいいんだよな〜 楽しそうにしてる顔見れたら もう、それでいいかな…

来年のクリスマスには オレはもう組に入っているはずだ

今と同じように 太陽の下を歩けてるかすらわからない

けれど

るなと離れるなんてありえない ずっと一緒にいるためにも

絶対に強くなって みんなを支えていくんだ。

ふわん、とする甘い空気に触れたくて

そっと距離を縮める

けれど、しっかり邪魔が入った。

嫉妬したのか るるがるなの膝の上にどかりと座った。

るなと一緒に撫でてやると るるは嬉しそうに喉を鳴らした。

あのふたり誕生日一緒なのか

天龍会のお誕生日会凄そうだな… 馬鹿騒ぎしてそう

いつもお世話になってるから るなもお祝いしたいよな

しかし初めてのクリスマスかぁ 楽しみだな

そう思いふけていると

よいしょ、ってるなが隣にくっついてきた

邪魔してきたるるは るなの膝の上で寝こけている。

照れながらも くっついてくるるながかわいい

オレがるなとの距離を縮めたら るるが怒る(寝てたんじゃないの？)

仕方なく るるの喉を撫でていたのでした。