俺が雨の日に拾ったのは……

ﾎﾟﾜ…

なにか薄ピンク色に光るものが浮いている

それはとても小さくて、俺以外 気づいてないみたいだった

近づいてみる

俺を導くかのようにどこかへ動き出す

俺はそのままそれを追いかけた

さっきまで隣にいたはずのゆあんくんが いなくなってる

ゆあんくんはちょうど店の外に出ようと いていたところだった

俺はそのままゆあんくんを追った

あんまり行きたくない道なんだけどな…

だけど、そんなこと言ってる暇ない

ゆあんくんは何かを追いかけるように 走り続ける

俺もそれを追い続けた

行きたくない場所に真っ直ぐ向かってるん だけど？？

いや…まさかね

嫌な予感は的中

俺がわざと避けて通っていた海に着いた

ｽﾞｷﾝ

まただ

また頭が痛くなる

ここに来るとどうしてもこうなるんだ

そして…声が聞こえる

…じ…ゃ……ぱ……

……じゃぱ…

聞きたくない

その声で俺の名前を呼ばないで

俺は…この声の主を知ってはならない

だって知ったら

また幸せが崩れてしまいそう だから

追いかけていたものが静止して動かない

そう思った瞬間

急に空高く飛んでいった

一瞬で姿が見えなくなる

なんだったんだろ…

あ…じゃぱぱ

追いかけてきてくれてたの？

なぜだかとても早く帰りたそうだ

どこからか声が聞こえる

……ゆ…ん…

ゆ……んく……

…ゆあ……ん…

……じゃぱぱの声…？？

あの特徴的なじゃぱぱの声を聞き間違える はずがない

俺はここに誰かと一緒に来たことがある

記憶がなくてもなぜだか確証して言える

その相手は……

思い出しちゃ駄目だ

思い出しちゃ駄目なんだ

必死に今にも開こうとする自分の記憶の 箱の蓋を抑える

だって………

あんな気持ち…思い出したく ない………

思い出してしまったら

俺はまた鬱になってしまう

じゃぱぱっ！

あぁ…ハッキリ聞こえるように なってきてしまった

嫌だ…嫌……

少しずつ記憶が戻ってきて… やっとわかった

俺とゆあんくんは一緒にいちゃ 駄目なんだ

俺のせいなんだよ！！