君
乾杯!
俺
乾杯
君
今日もお疲れ様
俺
あぁ、ほんとに上手くいって良かった
そう言って俺はグラスを揺らす
君
機嫌がいいね
俺
当然さ
君は揺れるグラスを一瞥すると
同じように2回揺らした
君
ふふっ
俺
ウィム社の協力さえあれば
俺
俺たちの会社はもっと有名になるぞ
君
仕事熱心だね
俺
当然さ
俺
この仕事に誇りを持ってるからね
カランカラン
君はグラスを2回揺らした
そして1口お酒を飲む
君
私仕事熱心な人好きだよ
君
どうせ働くなら楽しまなきゃね
俺はグラスを揺らし、1口飲んだ
君
ふふっ
君
わかりやすい人だね
俺
別にいいでしょ
君
別にいいよ?
カラン
君
あんまり飲みすぎて変な酔い方しないでね
俺
わかってるよ
俺
君の方こそ酔いつぶれるなよ
君
私が酔いつぶれたらお持ち帰りしていいよ
俺
しないさ
俺
そういう関係じゃない
カランカラン
君
冗談だよ
俺
よかった
俺
君は良くない冗談を言うな
君
そう?
俺
正直ドキッとするからやめて欲しい
君
そんなに心配してくれるなんて嬉しい
俺
そういうことじゃなくてだな
君
気にしてくれてるってことでしょ?
俺
はぁ
カラン
君
大学生のときもさ
君
お酒の席でよく気を使ってくれたよね
俺
君は思ったよりお酒に強くて
俺
俺なんか必要なかったけどな
君
でも、とても頼もしかった
俺
あー、もう
カラン
俺
もうあと1回しか鳴らせないんだけど
君
私の勝ちかな?
俺
悔しいな
君
それ、だいぶ強いお酒でしょ
俺
うん
君
もう、やめといたら?
俺
いやだよ、ここで引きたくはない
君
どうして?
俺
それは…
君
それは?
俺
…言いたくない
君
負けたくないから?
俺
違うよ
君
じゃあ、どうして
俺
うーん…
俺
気にしなくていい
俺
それよりとても美味しいお酒だった
君
それはそうだね
君
私のおすすめ、いいでしょ?
俺
ああ、気が向いたらまた来よう
君
それって来ないやつじゃ?
俺
どうだろう
俺
酔いたくなったら来よう
君
そんな日が来るの?
俺
君と居たらね
君
それってどういう意味?
カラン
俺
さっきのさ
俺
飲み比べ続ける理由
俺
ずっと一緒に居たいからって素直に言えるようになりたいってこと
俺は恥ずかしくなって
そそくさと帰る準備をする
君はそれを一瞥すると
同じように2回揺らし
残りを1口で飲んだ
君
今回はあいこで終わりだね
俺は空っぽのグラスを揺らした