美月
あーあっ、嫌だなあっ
美月
もう冬になっちゃった
梓
え?冬、嫌いなの?
美月
うん、夏が好きなんだ
美月
夏の窓際って暑いけど
不思議な気持ちにならない?
不思議な気持ちにならない?
梓
ん〜…?
美月
あははっ、分かってないね〜っ
美月
まー、梓も来年の夏やってみなよ
梓
そうだね
美月
あっ、聞くの忘れちゃった
梓が好きな季節
梓が好きな季節
梓
ん、私?
梓
私…は、春かな
桜とか綺麗だし、暖かいし
桜とか綺麗だし、暖かいし
美月
春…
美月
春か〜っ!
梓好きっぽいよね〜!
梓好きっぽいよね〜!
梓
そうかな?
あっ、そうだ!美月!
あっ、そうだ!美月!
梓
来年の春、お花見にでも行こうよ
ふたりで
ふたりで
美月
そうだね、
美月
っうん!行こっか!
梓
うん!
指切りげんまんっ…
指切りげんまんっ…
梓
…嘘ついたら針千本のーます
春を越して、夏になった
桜をふたりで見ることも無く 彼女が好きと言った夏になった
夏の窓際に立っても、彼女の言う 不思議な感じ は分からなかった
彼女がいたのなら、きっと 不思議な感じが分かったかもしれない
いや、あれは彼女だけが わかる感覚なのかもしれない
もう来ることのない最後の夏 窓際に立って夏を感じていた
彼女だけがわかるのかもしれない
彼女は春が好きだったのかな 今年の桜は彼女にきっと似合っていた