客室乗務部に向かって歩いていると、ドア付近に、見覚えのある人影が、立っている事に気づく。
向こうも同時に、俺の存在に気づいたようで、愛好を崩し、歩み寄ってきた。
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
南雲梗平
チーフパーサー(先任客室乗務員)は、誰の目から見ても分かるように、一般CAと制服、スカーフの色で分けられている。 ※JALはチーフパーサーではなく、SU(キャビンスーパーパイザー)と呼んでいたりする。航空各社によってもよりけりなので、パーサー呼びのとこもある。 ※航空会社によっては、バッチのみのとこもある。
梗平さんは、俺の制服姿を感慨深そうに見つめる。
小峠華太
南雲梗平
南雲梗平
声を弾ませながら、梗平さんは確認をかねて尋ねてきた。
機長であっても、コックピット・ブリーフィングで、顔合わせするまで、自分の操縦する便に乗る、CAメンバーは知らされていない。だから、同僚であっても、どの便に誰が乗るか、通常は知らないのだ。しかし、俺達は付き合っているので、お互いの勤務表を送りあっていた。
小峠華太
今月は今日と月末に、梗平さんと勤務が重なっていた。国内便であっても、朝食は九州、昼食は北海道、夕食は東京なんて事はざらだ。同じ航空会社に勤めていても、勤務が重ならないと会う事さえ難しい。
久々に見る、恋人の顔をもう少し眺めていたい。
南雲梗平
無情にも時間が、それを許してくれない。
南雲梗平
小峠華太
梗平さんと別れた後、俺は客室乗務部に入った。
チーフパーサーは、他の客室乗務員より、早めに出勤し、アロケーション・チャート(任務配置表)を作成しなければならない。
自分のメールボックスに入れられているインフォメーションやボードに貼られている注意事項を確認しながら、チャートを作成していく。
資料がまとまって、数分後、次々と他のCA達も出勤してくる。
出勤してきたものから、当日の便ごとに決められた、机に円を囲むように座っていく。
お互いに挨拶と自己紹介を終え、アロケーション・チャートを配布する。チャートには、緊急時のドア操作の担当や、誰がどの業務を担当するのか、事細かく指示内容を記載している。
つつがなく、ブリーフィングを終えた後は、ターミナルへ移動し、ターミナルピルの通関を済ませ、機内へ搭乗する。
搭乗後、すぐに機長達と、コックピット・ブリーフィングを行う。
南雲梗平
南雲機長から、自己紹介と飛行計画、気象状況、ベルトサイン点灯時の注意事項などの説明を受ける。
南雲機長の説明が終わると、アロケーションを配布し、今度は俺から、機長達にチャートに基づいて説明していく。
小峠華太
搭乗するCA、全員の自己紹介と担当についての確認と、搭乗される乗客のインフォメーションなどの報告を行う。
小峠華太
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
ブリーフィングを終えた後は、すぐに搭乗案内を開始する。
乗り込んでくる、お客様をお迎えを行う。
乗客が全員着席しているか、荷物棚が閉まっているか、アナウンスを挟みつつ、不審者や、体調不良のお客様がいないか確認をする。
飛行機の離陸準備が整ったので、機体最前列左側のL1ドアの付近に着席する。 ※チーフパーサーは、航空会社が違っても、この席に着席すると決まっている。
チーフパーサーは、離陸後も、他CAはどのような対応をしているか、安全面や快適性に問題はないか、常に気を配る必要がある。揺れの状況によっては、サービス方法の変更の指示を出す。
その後も順調に航行を続け、到着予定地の関西国際空港が近づいてくると
予定通り、梗平さんによる機内アナウンスが流れる。
今までも、梗平さんの操縦する機体には乗った事はあるが、梗平さんが、機内アナウンスをした事はなかった。
だから、梗平さんが、どんなアナウンスを披露してくれるのか、乗客だけではなく、俺も楽しみにしているのだ。
南雲梗平
南雲梗平
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
俺の名前が出てくるとは思わず、名前を呼ばれて、驚いた。
南雲梗平
何で、その事を知ってるんですか。梗平さんには、話した事ないのに。
南雲梗平
南雲梗平
南雲梗平
南雲梗平
南雲梗平
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
~~~梗平さんの馬鹿////!!
南雲梗平
機内に笑いが起きる。
南雲梗平
南雲梗平
機長のアナウンスが終わると、乗客達から、拍手と共に、祝福の言葉を贈られる。
そして、CA達からは、目配せで『水くさい。どうして報告してくれなかったの?事前に言ってくれたらお祝いしたのに』って、詰ってこられる始末。
いや、これは梗平さんのサプライズであって、俺は何も知らない。それに結婚の話だって、話題にのぼった事はねぇ。本当に寝耳に水なんだ。
その後、関西国際空港に着いた後、乗客を笑顔で見送る。
降りていく、乗客達から『旦那さんに大事にして貰いなよ』『素敵な旦那様ですね』『婚約おめでとうございます』と口々に祝福の言葉を掛けられ、今にも顔から火が出るかと思った。一応、これでもプロなので、顔色に出さないようには努める。
乗客が全員降りたか、忘れ物がないか、確認を行う。
確認作業を終えると、先程のフライトについての反省や改善点についてのミーティングを行う為に、降機する。
何時もなら、真っ直ぐに会議室へ向かうのだが、梗平さんに一言文句をつけるため、降機してきた、梗平さんの元へと向かう。
こんな恥ずかしい思いをさせられたんだ、今回ばかりは文句を言ったって許されるはずだ!
降りたら絶対に、文句を言ってやるんだ!
そう心に決めていたのに
いざ、顔を見たら首に腕を回し抱きついていた。
抱きつく俺を梗平さんが、抱き締め返す。
南雲梗平
小峠華太
おわり
あとがき これは元ネタあり。元ネタは、バンクーバー空港の管制官が、乗客の彼女に通信を使って、プロポーズする話を見て、なぐかぶで書きたいなと思って。 因みに元ネタは、YouTubeで見れるよ。元ネタがある場合は、あとがきに記載してます。記載されてない時は、自分で考えてるよ。 昔よりは、ハードル下がったけど、相変わらず、CAになるには、年齢、身長、体重制限があるんやな。昔は160センチ以上、体重何キロまでとか、具体的な数値までかかれてたらしいけど、今は158センチから、よっぽど太ってたり、痩せ過ぎてなければみたいな、記載に変わってるのな。 これを南雲ニキの誕生日祝い小説にするつもりだったんだけど、違う話を思い付いたんで、そっちを上げる予定。今日は青山ニキ誕生日なんで、書くのが間に合えば、あおかぶ上げる予定。
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